7月10日は「ウルトラマンの日」#400字小説
「しかし、大きいなぁ」
「うん、大きいねぇ」
見上げる親子。その手には近くの土産物屋で買ったオリジナルキーホルダーとまんじゅう、絵ハガキが入った袋があった。
「こちらでガイドから説明があります。もう少し近くにお集まりください」と団体旅行の添乗員の声がする。
「あの手の形は何か意味があるのかな?」男の子はお父さんにたずねる。
「うーん、どうだろうな。きっと何かしらの意味があるはずだけど、分からんな」とお父さん。
「見て見て」と男の子が手の形を真似する。
「おぉ、そっくりじゃないか」と笑うお父さん。
「それではこれから説明を始めます。こちらがウルトラマンの立像です。数百年前に宇宙から来る怪獣と闘う姿とされています。なお、あの手を十字にした形は、ウルトラマンの勝利の喜び表したものとされていて……」
帰り道、男の子は夢中でウルトラマンの手の形を真似していた。
7月10日は「ウルトラマンの日」