7月13日は「オカルト記念日」
オカルト研究会の具体的な活動内容は不明だ。
その年の4月に生徒会に提出された活動目標には「宇宙人との積極的な交流」とあり、生徒会役員にため息をつかせた。
「あれ、おたまどこいった?」料理部の部長が尋ねた。
「え? おたまはオカルト研究会の人に貸しましたけど」と部員は答えた。
「は! なんで勝手に貸すんだよ」
「え、だって部長に許可は取ったからって……」申し訳なさそうに小さくなる部員であった。
「くっそー何なんだよまったく」
そんなことは学校中の様々な部活で発生していた。
サッカー部ではボール。野球部ではグラブ。剣道部では竹刀。美術部では石膏像のアーサー君。
などなど様々な部活から借りた? 道具たちは学校の屋上に集められていた。
「部長、こんなことして本当にいいんですかね? あとで絶対に怒られますよ」オカルト研究会の部員マツイ君が言う。
「宇宙人と交信したくはないのかい? マツイ君我々の相手は宇宙人であり、人間ではない」
高らかに言う部長のサオリ先輩であった。
「いや、部長よく分からないです」
「それよりもマツイ君早く、それ取って」
「これですか? はい、どうぞ」
オカルト研究会の部員全員(二人)が集合し、作り上げようとしていたのは各部活から一時的に預かった道具たちで作る。その名も
「宇宙交信用オブジェクト」だ。
なんですか? それ? とほとんどの方はお思いだろうが、ここは優しく見守っていただけるとありがたい。部長は一度決めたことは必ずやる。有言実行の女なのです。
「これで完成だ」
そう言った部長の前には謎の超前衛的なオブジェが爆誕した。
「これで宇宙人がコンタクトをしてくるのを待とう」という先輩。
しかたなくその隣に座る僕。
はぁ、口が裂けても言えない。これでは宇宙とは交信できませんよ部長。
方向性はいいんですが、まだ地球の科学力だといくつかの部品が足りません。
屋上からは沈む夕日が見えた。火星で見た光景に似ていて少し切ない気持ちになった。
7月13日は「オカルト記念日」