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8月9日は「ムーミンの日」
「あーやだ。次の英語マジで最悪」
「ねー中村でしょ? ハローエブリワンの」
美香お得意の中村先生モノマネがはじまった。
「スタンドアッププリーズ」
「いやもう分かったよ。うるせーよ」私はツッコんだ。
「絶対さー中村の英語の発音って変だよね。外国人にあれで通じるのかな?」
「ハローエブリワン」
あ、本物がお出ましだ。
それにしても中村のネクタイ謎過ぎる。そのネクタイどこで買ったんだよ。エジプトのスフィンクスのネクタイって……。この前はイワシだったし、その前はたしか枝豆。本当どこで買ってるのか謎。
「はい、では今日はlooks like~の使い方を勉強します」
「では、隣の人とペアになって、例文の英語を読んでみましょう」
出たー私が苦手なやつ。隣の席は絶対男子だから男子とやらなきゃいけないし、それにもっと嫌なのが隣が超陰キャの斎藤。
なんか斎藤は科学部であやしい薬を使って爆弾作ってるとかいうウワサだし。超やばいじゃん。
うわーこっち見てるよ……。
「ぼ、ぼくからでいい?」
私が何も言わないでいると、斎藤は例文を読み始めた。
「My girlfriend looks like Moomin」
は? 今なんて言った? ムーミン? そんな例文書いてあるわけ……
本当に書いてある! 『僕の彼女はムーミンに似ています』
いや知らねーよお前の彼女のことなんか。てかムーミンに似ている彼女ってどうなのよ? それは可愛い……のか? いや、わかんない、全然わかんないよ。
「高橋も早く読めよ」
そうなのだ。困ったことに男子と女子でそれぞれ例文を読んで終わったら座る。周りを見ると席に着いているペアがほとんどだった。
仕方ない……私も例文を読んだ。
「My boyfriend looks like Moomin」
いや、どうゆうことだよ! なんで彼氏の方もムーミンに似てるんだよ! それはもうムーミンのカップルだよ。ムーミン谷での会話かよこれ。
よく分からない例文に全然納得しないけど、とりあえず席に着いた。変だ、この例文変だ。
「オーケーエブリワン! では先生が英語でクエッションするのでその答えを英語で返してください」
では……「First question……」
「Where is Snufkin?」
いや、知らねーよ。ムーミン谷の人に聞いてくれ!
8月9日は「ムーミンの日」