6月7日は「むち打ち治療の日」
「ようこそ、我が国へお越しくださいました。皆さまの到着を心より歓迎します」
とある島国へ、はじめて西洋の国の王様一行が到着した。迎える島国は伝統的な民族衣装で歓迎した。そして王様一行も伝統的なお揃いの民族衣装で、島国へ到着するはずだったのだが……。
行きの船は荒波で大きく揺れて、乗っていた王様は首にケガをしてしまった。慌てたのは大臣だった。
「王様、どこか痛むところはありますか?」
「大臣、わしは首が痛くて動かせん。これは困ったぞ」
そう言って、王様は少しでも首を動かそうものなら、激痛が走るのでした。大臣は同行していた医者と一緒に考えました。医者はとにかく何かで首を固定しなけてばいけません。と言います。
そして大臣は思い付きました。部下たちにありったけの布を持ってこさせると、医者と一緒に王様の首にぐるぐると何重にも布を巻いたのでした。すると王様の首は固定され、痛みは和らぎました。
しかし、もう一つの問題が発生しました。
王様をこんな格好で他国の長に会わせるなど、我が国の恥。またしても大臣は揺れる船の中で考えました。そして目的地の島国までの地図を見ながらいいアイデアを思いつきました。これから我々が向かう島国は、まだ他の国と交易が少なく、西洋人を見たことも少ないはずだ。だったら……
無事に島国へと到着した、王様一行に島国の長は驚きました。王だと名乗る者は首をぐるぐる巻きに何かで巻いていて、着ている服の襟が立っているのです。
そして、王以外の者たちはみな、ぐるぐる何かを巻いてはいないものの、やはり襟は立っていて首元は隠れています。
「はじめまして、歓迎に感謝します。我が国の伝統衣装をお披露目でき、大変光栄です。この襟を立てる服装はわたしをはじめ家臣一同、態度や姿勢を正しく改めているという正装です」そう王様はあいさつをした。
どうやら王の国では、正装するときは襟を立てて、首元を決して見せないようにするのがマナーのようで、特にマナーに厳しい王は失礼がないように、首元を一切見せないように気を付けているとのことでした。
のちに、王様一行が去った後、この島国では王様一行の服装を真似て、襟を立てて服を着るのが流行し、そこから『襟を正す』という言葉が生れたのでした。
6月7日は「むち打ち治療の日」