4月20日は「珈琲牛乳の日」
「なに飲んでるの?」
小学校の低学年くらいの子かな、その子が指さした先には私が飲んでいるビンがあった。その子はきれいな黄色のワンピースを着て、髪はまだ濡れていた。
「コーヒー? でしょ、大人が飲むやつだ」
「ぶぶー」と言ってあげた。なんか自分で口で言うのは古臭いな、昭和だなと自分で笑った。持っているビンも相まって昭和レトロな人みたい。
「え、違うの? じゃあ、何? 土の水?」
土の水……知らない言葉が出てきた。まぁ色的にそう思うのかな? 近くに子供がいたことがあんまりないので、子供の発想が分からない。
「正解はコーヒー牛乳です!」と正解発表。
一時停止する女児。
「あ、えーっと大人はコーヒーを飲むの、でもおねーちゃんは牛乳を混ぜて飲んでるのね。あー」
すごく申し訳なさそうにそう言った。なにがあーなのだろう。
「コーヒー牛乳おいしいよ。今度飲んでごらん」
「うん。でもおねーちゃんはもう大人なんだから、牛乳は卒業したほうがいいと思うの。コーヒーだけ飲めるように頑張ってね。応援してます」
そういって丁寧にお辞儀して女児は去って行った。飲み終えたコーヒー牛乳のビンにはものすごく背中を反らせないと飲めないくらいの量のコーヒー牛乳が残っていて、それをビンの底から覗いて確認した。いつもだったらその最後の一滴までビンをひっくり返して、なんならビンの底をトントンし残さないで飲むが、どこかであの子が見ているような気がして、そっとビンをゴミ箱に捨てた。
明日から銭湯に来たときは何を飲むべきか、真剣に考えながら家路についた。
4月20日は「珈琲牛乳の日」