書きたいけどうまく表現できない人へ
最近「書きたい」人が増えているように思います。
自分の感じたこと、表現したいことを発信したい人が増えたように感じる昨今、書きたいという声と同じくらい「うまく表現できない」「書くのが苦手」という人がいるようにも思います。
書く上では「論理的でシンプルに必要な情報を伝えらるようになる」がまずは第一ステップではありますが、そういうのは文章をたくさん読み、「小論文」とか「文章を書く」系の参考書や本を読んで実践すればある程度力がつくきがするので、それ以上の感じたことを形にする部分を書きます。
しっかり見て、感じていますか?
日常をことばにしよう、が今日のテーマ。
「書くネタが思い当たらない」という人も多くいますが、まずは「毎日見ているもので一つ選んで書いてみてはどうでしょう?」と提案させてください。
そして、それをしようとした時に気づくことがあります。
「言葉の種類を持っていない」
「書くための切り口の少なさ」
でも、これらは筋トレみたいなもので、毎日「感じていること」の言語化を繰り返していけば、そのうち形にすることができるようになるなと思っています。
人は毎日たくさんの感覚を使って生きています。
五感と言われる視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を掛け合わせると、感じられるものは無限にあります。(いまは、人の感覚は20以上分類されるとも言われているほど、感じられることってたくさんあるそうです。)
例えば、見る行為はとっても面白い情報収集の一つ。目に見えるものといっても、目が捕らえられる情報は何も形や色だけではありません。
「見る」行為だけで、光を感じ、温度を感じ、速度を感じ、ものの柔らかさや質感を感じることができます。
それは自分の体が過去に蓄積してきた経験知の集積で「見ただけでわかる」状態になっているから。すでにたくさんの情報を体内に蓄積しているので、感じる素地はどんな人にでも十分にあるものなんです。
ところで、そろそろ秋。生活の中で「今日はいい天気で気持ちが良い」と感じたりしていませんか?
その感覚、とても大切にしたほうがいいです。表現のタネです。
一方で、それがどんな気持ちの良さなのかをはっきり意識したことはありますか?この心地よさはどのくらいの気温・湿度なのか、風の流れ方なのか、光の強さなのか、空の色なのか?そして、もしかしたら自分の気分によるものなのか。
さらに、気持ちが良いといっても「穏やかな気持ち」なのか「高揚感」なのか、気持ちの種類もたくさんあります。
ありきたりな感覚も、それを言い表した最初の表現をもっと具体化し、見て感じているものの解像度を上げる作業を繰り返すと、今まで気づいていなかった新しい言葉の可能性にきづきます。
そしてこれは意識するだけの遊びなので、誰にでもできるもの。
まずは「感覚を使う場所に行く」
そして「感じる(感情)に敏感になる」
最後は、想像したイメージや感情をまずは形にし、それを言語化する。
といった感じで進められるのでトライしてみてください。
便利な言葉に頼り過ぎない
「いい匂いがする」といってしまえば「いい匂いがする」ことは伝えられますが、美味しい匂いなのか、女性の芳しい香水の匂いなのか、はたまた誰もがいい香りだと思えないようなものの香りなのかが伝わりません。
(例えば、わたしは塩素の匂いが大好きなので、あれはわたしにとってはいい香りなんです。)
その香りはどんな香りですか?目に見えないけれど、目に見えたとしたらどんな肌ざわりなのでしょうか、何を思い出させるもの、どんな感情をかきたたせるものでしょうか?
「柔らかい・優しい」をイメージしたり、夏の日差しを思い出したり、一つの感覚が思い起こさせる情景はたくさんあるはずです。そのイメージや記憶を辿って、一個一個しっくりくる言葉を選びにいく頭の中の旅みたいなものが始まります。
そんな遊びは、暇をつぶすのにうってつけで、通勤中や散歩中にしてみると、自分の語彙の足らなさ、自分の持っている感覚がいかに抽象的で何もいい捕らえられていないことに気づかされます。
書きたい!表現したい!と思ったら、言葉を探す遊びをしてみたらいいかなと思いました。
Twitterでできる言葉の筋トレ
最後に、時々わたしがTwitterでしている遊びがあるんですが、それをご紹介して終わります。
それは、「便利で端的に言いあらわせる言葉を使わずに読んでいる人に状況を届ける文章を140文字で書いてみる」というもの。
例えば「素敵な」とかの形容詞、「いい匂い」などの感覚を要約し、端的に表現できる言葉などを使わなずに、いま目の前で起きていることや感じたことを書いてみる訓練です。
一方、端的な言葉で簡潔に表現することも大切なので、140文字内にできるだけ情報をたくさん詰め込む遊びもしています。
こっちは不要な言葉をそぎ落とす筋トレ。
どんどん端的に言い表せられる言葉を掘っていくのでけっこう難しいんですが、力はつく気がします。
遊びなので、気負わず。楽しんでみてはどうでしょうか。
(なーんて、文章のプロでもないわたしの戯言、話半分に聞いてもらえれば幸いです。)