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ひと時のつながり

思い立って、午前中に引き出しの中の整理をした。
いろんなものが出るわ出るわ。まったくもってびっくりするほどの量だった。これまで旅した各国のコインやお札、何枚も複製した証明写真、何年も前の領収書やらどこぞやのパンフレット、絵葉書などなど、どうして今までこれらを放っておいたのか。

その中でもふと目を留めたものは、これまで出会った人たちの名刺や連絡先だった。今見ると、これ誰だろう。どこで会った人だろうと首を傾げ、すでに自分の記憶から消えている人の連絡先や名刺の数々。驚いた。意識して取っておいたものではなく、うっかり整理しそびれていたのだ。
でもこんなにもたくさんの人とつながる機会があったことに驚き、そして意外と今でもつながっている人というのは一握りしかいないということ。

私は数年で住む場所が変わるような生活を、ここ20年以上していて特にある期間、日本国外で生活するようになると、あっけなく一気にご縁がない人とのつながりは消えていく。今でこそ携帯番号は帰国時にもすぐに使えるようにしているけれど以前はその都度、解約して出かけていたから。
しばらくの間は気が合ってよく会っていた人であっても、今ではまったく会っていない人が大多数。その時に必要な彼ら彼女らは、何らかのお役目を果たしてくれると離れていくということか。
以前、家族以外には連絡せずに帰国したときに翌日電話をかけてきた友達がいる。そして唐突に「仕事探してない?」と言ってきた。え?誰にも知らせてないのに…まるでテレパシーを使ったのかと思うくらいの衝撃を受けた。帰国したばかりですぐに仕事を探しているわけではなかったけれど、連絡をくれたことは嬉しかったし面白そうならやってみたいと思った。面接を受けに行くとすぐに決まり、それから2年近く一緒に仕事をした。実際、今その彼女とはつながっていないけれど、彼女からは第6感のような不思議なこともあるのだということを教わった気がするし、そんな役割だったのかなと思う。

でもその反面、ありがたいことに長く続いている友は、見えないけれど強い糸でつながっている。これは縁というものなのだとしか思えない。しかも縁がある友はしばらく会わなくてもなぜかいつも一緒にいる感覚がある。これは多くの人が同じように感じていることだと思う。
もうここまで来たら、これまでもこれからも、見えない糸は果てしなく織り重なり素敵な模様を紡いていくだろう。数は少なくとも、そんな魅力的な友たちの存在がありがたく感謝だなと思えたのは、今日のパッション。

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