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打ち合わせなし、なりゆき任せのトークイベント


綿密に計画を練りたがりな私に対して、藤本さんは「打ち合わせなしで、大丈夫大丈夫!」と言った。

私は藤本さんが話し出すその瞬間まで、ドキドキが続いた。



編集者の藤本智士さんをお迎えして、トークイベントを開催した。


KAKAMIGAHARA STANDにて、定員30名のところ増席を繰り返して結果40名以上の参加。ご予約の方はキャンセルもなく全員来店され、期待値の高さが伺えた。


今まで私が企画したトークイベント(数回だけだけど)は、全て事前に打ち合わせをしてきた。

相手によって異なるけれど、「はじめにお互い自己紹介して、スライドは何を見せて、だいたい何分くらいの時点で質問をもらって、ゴールとしてはどんな方向に話を持って行くか」的な、トーク全体の流れをおおよそ決めることが多い。

さらに人によっては、具体的にこう言うワードを用いたいとか、こう言う話を入れ込みたいとか、写真はこれを使って、このシーンではこう言う意味合いで・・・など、具体的なことまで決めることもあった。

トークの直前にじっくり話し合うことも、メッセンジャーなどで事前にやりとりすることもある。


これは、相手が打ち合わせを求めることもあれば私から相談することもあるが、今までは大抵どちらともなく「ちょっと打ち合わせしときましょうか」となっていた。


が、今回、初めて「打ち合わせなし」

藤本さんにとってはごく普通どころか「打ち合わせしないほうがいい」という発想だったから今思えば当たり前なのだけど、打ち合わせを今までしてきた者としては「しなくて大丈夫かな・・・」と若干不安になった。


自己紹介はどうするんだろう、するのか、しないのか、みんな藤本さんのことは知ってるだろうからいいのか、質問とか受け付けたほうがいいのか、ずっと藤本さんが喋るのか、私はどこまで話せばいいのか、話が盛り上がらなかった場合のために私からの質問も準備がいるか、タイムスケジュールは?、タイムキーパーは誰?、締めはどうするの?みたいなことが何もわからなくて、始まるまではそわそわした。


実際に、「何かあった時のために質問くらいいくつか用意しておこう、とっさに言葉が出ないかもしれないし、私もウンウンとしか言えなかったらまずい」と思って、藤本さんの本を読み返し、気になる部分にあらかじめ貼っておいた付箋を見直して、メモしようとしたけれど・・・


すぐに「なんかそう言うことじゃない気がする・・・準備いらないって言われてるんだから、いらないんだ、多分やるだけ無駄かも」と思い直して、何も考えないことにした。その時間まで、機材や会場準備だけはちゃんとして、内容については一切考えないようにした。


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実際に始まると、突然、「サウナ好き、サウナ行ってきた、平和湯最高!」って話が導入になり、自然とアイスブレイクが起こり、会場は勝手に沸いた。

その調子で、2時間があっという間に、楽しく過ぎていった。

心配していたのが嘘のように、何も大変なことなんて起こらず、私自身も楽しく合いの手を入れさせてもらいながら和やかに時は過ぎ、お客様も笑いながら頷きながら、とても学びのある時間になった。


話の内容はまた別のnoteで書くとして、私がまず学んだのは、この「打ち合わせなし、計画なし、偶然の出会いや即興的な思わぬ爆発力を期待する」ことだ。


打ち合わせや計画はすなわち、「失敗しないため、スムーズにことを運ぶための儀式」だ。

もちろんそれはお客様を快適にもてなしたり、間違いなく楽しみを提供するために必要なこともあるけれど、計画の根底は保険であり、保身のための行為なのかもしれないと思った。

100点を目指して努力すれば、80点や90点は取れるし、100点かも!と言うことだってある。仕事でも、プライベートでも、多分そういう生き方をしてきた。

だけど、それは101点にはなり得ないかもしれない。


「即興的な爆発力にかける」というのは、50点かもしれないし、150点かもしれないということだ。思い切りコケるかもしれないし、思わぬ盛り上がりを見せるのかもしれない。

計画通りにはいかなくても、そこには大きな何かが生まれる可能性がある。

そして、未知との遭遇的な楽しみ方がある。


私は今まで、綿密に計画を立てることで安心を手に入れると同時に、それ以上の爆発的な楽しみや成功を逃していた気がした。なんだかそれって、もったいないし、楽しみをあえて減らしてしまっている気がした。


思い当たる節は今までも色々ある。

例えばラジオを撮るとき、基本的には一発撮りだけれど、相手や場合によっては「こんな話をこんな風にまとめよう」と少し話し合ってから収録することもある。

でも、あれ、さっき打ち合わせた時の方が面白く話せたな、とか、二回も同じこと話すとテンション下がるな、とか、打ち合わせではああ言ってたけどなんかニュアンス違ってきちゃったとか、色々思うことはある。

はじめから打ち合わせなしで、撮ればいいのだ。

失敗したと思ったら、もう一回収録すればいい。

そういう、計画的なことで得られる楽しさや魅力より、即興的な楽しさや魅力の方が高い可能性があるのは、もしかしたら多くのことに共通しているのかもしれない。


突発的でいいじゃないか。

何も考えなくても大まかな枠さえあれば、その中で自由に踊れる。

失敗を恐れて決まった道筋を作るより、どうなってもいいから思い切り面白い方、どうなるかわからない思わぬ奇跡にかける。

そっちの方が楽しい気がした。


とはいえ、そもそも今回のトークイベントは、すでに相当な場数をこなしていて、お話のベテランの藤本さん相手である時点で、私が小さなことをいちいち気にしたり心配したりする必要なんてなかったのだ。

プロに対して素人が「準備しなくて大丈夫ですか?」というようなものだ。失礼以外のなにものでもない。


音声でもこのことについて配信した。(もちろん、打ち合わせしようとするコージ氏を差し置いて、すぐ撮ろう!と提案した)



これからもなんどもトークイベントやいろんな企画をするだろう。

もちろん、相手によってや企画内容にもよるけれど、自分なりに「打ち合わせなしの現場ファーストなやり方」を試していってみようと思った。


さて、実際のトーク内容の「編集」についてはまた別のnoteで書く予定なのでお待ちあれ。


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