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微笑んでいる。



毎日、やることに追われている。
タスクの数や量が増えるほど、精神的に追い詰められていく。予定があることが負担になる。平日は子どもたちを朝送り出し、どこの家庭でも同じだろうが家族のご飯の用意。通院、個人面談、説明会、習い事の送り迎えーー 夜勤中に書類仕事が無ければ勉強、仕事が多ければなんだかんだ夜勤明けに昼まで勉強して力尽きる。

大学の授業は一期が三ヶ月、そのうちの二ヶ月はオンライン授業視聴と小テスト、残りの一ヶ月が単位認定試験。試験が終われば次の学期まで休憩できる。

先週、スクーリングのため初めて学校に登校した。同じようにほぼ社会人、年代は20〜50代。仕事や介護をしながら、合間を縫って勉強している人がほとんどだった。自己紹介で、忙しすぎて辞めようと思ったときもあったけど、マイペースで卒業したいと思いますと言うと、先生も他の生徒さんも賛同してくれた。
皆、それぞれの事情があるからこそ通信制大学に通っているのだと思う。

しかし、対面での授業は本当に楽しくて、皆で知恵を振り絞って課題をこなしたり、協力して作り上げた成果を発表したり、机の上で何時間も勉強するよりスッと知識が入っていった。
できれば通信じゃなく普通に学校に通いたかったなぁなどと思ってしまった。


仕事中と同じように、初対面の人たちの前で、笑ってよく喋って、質問する。
わたしを見る人の誰がわたしを鬱だと思うだろうか。

夜勤中、皆が寝静まってひとりになると、急に動けなくなる時がある。涙が止まらなくなったり、何も出来なくなる。
わたしはたぶんいつも笑っていて、ふざけていて、よく喋っている。
医者から言われたわけではないけれど、微笑み鬱だと思う。職場にも診断書を提出しているが、PTSDの時より理解が得られない。PTSDはDVによる後遺症だと言えば分かりやすく、鬱は気分の落ち込みやパニック障害、目に見えた形ではそれといって現れないからか。
たぶんわたしが心のうちで常に死ぬことを考えていようが、笑っているせいだと思う。

一月、ひとり親医療証の資格を喪失して、自立支援医療の申請をした。これは精神疾患を抱える人が自己負担一割で医療を受けられるサービスである。申請には医師の診断書が必要だった。主治医が書いた診断書を覗き見ると、PTSD寛解後、職場のストレス、育児のストレスにより抑うつ状態を発症、のようなことが書いてあった。PTSDも治ってはいない。調子が悪いと耳栓をしているし、車に人を乗せられない。

人に理解を求めても仕方ないので、ただやるべきことを淡々とこなすことにした。文句は言わない。分からない人は分からないでいい。親しい人にはSOSを出す。子どもにはきちんと説明する。

一週間のうち一日でも、平和な気持ちで眠れたらいい。
この病んでる期間、ただ微笑んでいようと思う。外面だけでなく、内面も笑えるように。


医者に言われた。
「お子さんとは関係なく、何か楽しめることができるといいですね。」

ひとまず、髪を短く切って、明るい色の服を買って、花瓶に花をいけて、観葉植物を育てはじめた。去年あった苦しかったこと、全部忘れられるように。



SIGMA dp1 Merrill 2023



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