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s.o.s
“いい気味だと思ってるでしょ?”
倒れて動けなくなったわたしにあなたがキスをする。ただ黙ってご飯を作ってくれた。
“今日が最後”
そう言われた日から、
泣いて泣いて感情をぶつけた日から
何ヶ月経ったんだろう。
“あなたはそうは思わないかもしれないけど、自分はずっとあなたたちから離れないよ。一生側にいる。そう決めてるんだから”
何も言わないで話だけ聞いてくれる。
何も感じない。じゃあそれで向こうの女と別れたら、あなたはまた何食わぬ顔で戻ってくるの?わたしに男がいなくなったら、それで嬉しそうな顔をするの?
あなたにつけられた傷は消えないし、あなたのことは好きじゃないし、でも打算とか関係なく、人に優しくできないあなたがわたしのSOSを聞いて急いで駆けつけてくれる。
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“子どもたち連れて映画行ってくるよ”
“いまひとりになると死にたくなるから”
誰もいないショッピングモールの屋上から電話をかけた。寝起きの声がする。
“よく眠っていたの分かったね”
“なんでも分かるよ、あなたのことなら”
警備員が、金網に寄りかかるわたしに近づいてくる。死ぬ時に連絡するのはただ1人、あなたなんだと思う。
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