【産婦人科のリハビリ日記】#4. 切迫流産〜切迫早産で見るからに下肢筋力がない方との出会い
産婦人科でリハビリをしている理学療法士が、
妊産婦さんとの関わりの中で思うことを綴っている
\産婦人科のリハビリ日記/
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今は基本的に、
痛みなどの症状があって
困っている方を対象に
外来リハのような感じで関わっています。
先日も腰が痛いって言って
リハビリに来られた産後の方がみえました。
治療して対策をお伝えして
痛みに関しては
それでなんとかなりそうかな
という方だったんですが
なーーんか...違和感...
見るからに
足の筋力が弱そう...
/
なんか...
ちょっと足の筋力が
少なそうですね...
\
とそれとなく話を振ってみたら
それだーーーーーーーーーーーーっ!
さ、30週間...(ㅇㅁㅇ)
安静は大事だけど筋力は低下する
赤ちゃんはまだまだお腹にいて欲しいから
切迫の時に無理をしちゃいけない。
というのは大前提として。
でも何ヶ月も横になっていたら
若かろうが高齢だろうが
やっぱり筋力は落ちてしまうんですよね...
リハビリ的に考えるところの
いわゆる廃用症候群の状態です。
「廃用」とは心身を適度に活用しないために起こる機能低下状態とされ,そ の症状はさまざまな組織や臓器に現れる.
本来の疾患や病態そのものの徴候・症状ではなく, 二次的に現れる症状・病態を一括して廃用症候群と呼んでいる.
廃用症候群の病態は, 身体の不働から直接, 筋・骨格系に現れる症状と, 心・血管系での変化, そして精神 ・心理への影響に分けることができる.
(高橋龍太郎, 金丸晶子 2003 廃用症候群の予防とリハビリテーション効果より)
そこに不安を感じる人も
少なからずいたりします。
リハビリの世界だと
2週間でも寝たきりとなれば
筋力低下や関節の可動域制限などを視野に入れて
予防的な介入をしたりしますよね。
もちろん安静の指示がある以上は
むやみに歩き回ったりはできないので
ベッド上でしかできない場合も
多々ありそうですが
指示の範囲内で
筋力低下や心肺機能低下の
予防的な介入はしてあげたい...
リハビリの介入をするには?
介入してあげたい... という気持ちだけでは
なかなかできないもので。
もちろん安静の指示の範囲も
その人その人によって違うので
「できることはこれですよーー」なんてことは
到底軽々しく言えないですし
制度の問題もあったりします。
でも実は、
切迫早産による廃用症候群のリハビリは保険点数が取れるので
産婦人科もリハビリ科もあるような
大きな病院だったら介入しやすいかも...
とは思ったりしますが
大きな病院であるほどリスクの高い妊婦さんが
入院しておられる場合があるので
逆に介入が難しかったりするのかも...
というのもあります。
結局のところ
どの範囲までは動いても大丈夫
こういう状況になったら中止
などという細かい所が個々にある事ですし、
産婦人科とリハビリ職で密に連携を取りながら
安全に進めていけると
妊婦さんにとっても赤ちゃんにとっても
いいんじゃないかなって思ったりします。
廃用症候群の状態での育児
今回お会いしたママさんと私は
産後に外来でお会いしたのが初めてで、
妊娠中〜入院中にも関わりがなかったので
出産してそのまま退院して
家庭での育児に突入したわけですが、
これ正直
すごく大変な状態だと思うんです。
自分の足の力で立ち上がることすら大変な状態で
急に3kgの負荷をかけて無理して立つ・歩くとなれば
そりゃあっちこっち痛くなります。
極端に筋力が低下している場合、
「歩けば治る」ってもんでもないんですよね。
かえって膝を悪くしてしまうこともあったりしますし
そのまま回復のきっかけがなければ
ずっと無理をし続けることにも
なりかねないでしょうし...
たまたま腰が痛いって思って
産前産後リハビリの存在を知ってたから
来てくださってお会いできたので
きっかけになれましたが、
そうじゃなかったら
きっと腰とか膝とか痛くて
大変だったろうな...って思いました。
切迫の方...
妊娠中の介入でなくてもいいから
せめて...!!
産後の退院前にリハビリと繋がれたら
と願っています。