生活保護を受給するための具体的な手続きについて
生活保護制度を受けるための具体的手続きの流れ
生活保護制度を受けるための具体的な手続きの流れは、①相談、②申請、③調査・審査、④決定・通知、となっています。
まず相談は住んでいる地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当に相談に行くことになります。
そこで生活保護制度の説明とともに、他の生活福祉資金、各種社会保障施策等の活用ができないかの検討が行われます。
また、②申請があってから④決定・通知までは通常14日以内になされます。
申請してから14日以内で結果が通知される旨については、厚生労働省の公式ホームページにも記載されています。
何らかの事情があり、14日を超える場合でも最大30日以内に決定されることになっています。
具体的な手続きの内容
相談
生活保護制度を受けるための相談は、住んでいる地域の福祉事務所に相談に行くことからスタートします。
その際には、次のようなものを準備しておくとよいと言われています。
申請書
・申告書(収入申告書・資産申告書)
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真つきのもの)
・健康保険証
・印鑑
・収入に関する書類(給与明細書や年金手帳など。 状況に応じて必要)
・資産に関する書類(通帳や登記簿謄本など。 状況に応じて必要)
・そのほかの書類(賃貸借契約書や診断書など。 状況に応じて必要)
申請
生活保護の申請をする場合、保護申請書のほかに、申請する本人や家族にどれくらい収入があるのかを報告する収入申告書や給与明細書、資産申告書などの書類を提出することになります。
また、福祉事務所の担当者が申請をしても申請が通る可能性がないと言って生活保護の申請をさせないこともまれにあるようですが、申請は原則的に拒絶できません。
生活保護申請書・資産申告書・収入無収入申告書・一時金支給申請書を入手できるHP などもありますので、福祉事務所で相談時に「生活保護申請書」を万一入手できないときは、これらを使って申請しましょう。
調査・審査
生活保護の申請がされると、その申請者についての生活保護の受給可否を審査するため、調査が行われます。
福祉事務所には、個人の資産や家族などについて調査する権限が与えられています。
この調査の注意点としては、申請者がギャンブルに依存していないかも厳しくチェックされているということです。
生活保護は国民が最低限の生活をおくるために設けられた制度であり、豪遊が目的で受け取れるお金ではないからです。
生活保護を受けながらギャンブルをする問題点については、下記で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。
ギャンブルをしない人であれば問題ありませんが、趣味でやめられない人は申請を却下されないためにも隠しておいたほうが良いでしょう。
調査は、以下の6つ分類にわけて細かく行われます。
資産調査
主に、預貯金の調査(金融機関の残高照会)や自動車や不動産(家や土地)の調査が行われます。
10万円以上の現金や、売却可能な車など、「当面生活できる資産がある」と判明したら、申請を却下されるおそれがあります。
生活状況の調査(家庭訪問)
福祉事務所の職員が申請者の自宅を訪問して、主に、部屋の様子や間取り、部屋のなかにある家具・家電などを確認します。
このとき、「売却すれば当面生活できる資産がある」とわかれば、申請を却下される可能性があります。(例:大型テレビ、貴金属、宝石、高級家具など。)
扶養調査
民法上の扶養義務者に書面を送り、「援助の可否」について確認がとられます。
民法上の扶養義務者とは「配偶者(夫、妻)、両親、子供、兄弟姉妹」です。
さらに申請者が申告した場合は、上記以外の親族へ連絡する場合もあります。
もし、上記のだれかから「援助可能」の回答があり、実際に援助が見込める場合は、申請が却下されます。
ただ、書面への回答は義務ではありません。
実際のところ回答が返ってこないことも多いようです。(この場合も援助不可とみなされます)
他の公的制度について調査
生活保護以外の公的制度の利用可否が検討されます。
生活保護以外の制度で生活できる場合は、ひとまずそちらを優先することになります。
就業可否の調査
本当に働けない(仕事に就けない)状況なのかどうか、聞き取り調査が行われます。
このとき、心身ともに健康で「働ける見込みがある」と判断されたら、申請を却下される可能性があります。
借金の調査
借金やローンについても聞き取り調査が行われます。
基本的に、借金がある状態だと申請を却下されてしまいます。
借金やローンがある場合には、まず債務整理をしてから申請をしましょう。
債務整理とは法的に借金を整理する手続です。
破産や任意整理が挙げられます。
決定・通知
申請後、原則14日以内、最長30日以内に受給の可否が決定されます。
もし14日以上経っても受給の可否の連絡がない場合は、担当者に今後の見通しをたずねてみましょう。
結果の通知方法は、郵送か電話です。
郵送の場合は、保護決定通知書か保護申請却下通知書が届きます。
却下理由に納得できない場合は、不服を申し立てる(再審査を求める)ことも可能です。
まとめ
生活保護制度を受けるためには以上の手続を行う必要があります。
その申請を行う際に注意すべきことは、申請をする時には、はっきりと「生活保護の申請をする」ということを担当者に伝えること、申請を担当者が受け付けない時には法的に違反だと指摘すること、申請内容で絶対にウソをつかないこと、福祉事務所の要求(呼び出し、書類の提出、調査への協力)には応じることなどです。
生活保護制度の受給が必要な場合には、これらに注意をして、適正に申請をしましょう。