アンパンマンの哲学
高知へ来て、2年が過ぎようとしている。
2年前は神奈川の川崎市に住んでいた。川崎と言ってもだいぶ西の方で、藤子・F・不二雄が住んでいたとかで、ドラえもんのモチーフに溢れた街だった。
今住んでいる高知県香美市は、やなせたかしの故郷ということで、アンパンマンに溢れている。
アンパンマンの石像、アンパンマンの電車、アンパンマンのバス…。
これまで、アンパンマンには何の思い入れもなかったのだが、ここにきて急激にハマってしまっている。アンパンマン自体ではなく、その主題歌「アンパンマンのマーチ」に。
子供向けと侮るなかれ。アラサーの心をこれでもかと揺さぶってくる。
なんのために 生まれて
なにをして 生きるのか
こたえられないなんて
そんなのは いやだ!
いきなりの哲学。何も考えずに社会の歯車と化した30代会社員に、突き刺さりまくる。
すみません!何も考えず日々の作業をこなすだけの会社員ですみません!
2番も…
なにが君の しあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのはいやだ!
ぼーっとしてたら彼氏いない歴5年。もう何も考えたくない。将来どうしたいかなんて考えてる暇がない!!なぜって??仕事が忙しいからだよ!!!
結婚?出産?するの?でもリミットが!と、ただただ焦る30代女をボッコボコに殴ってくる歌詞。
最後のサビ前も…
時は はやく すぎる
光る星は 消える
諸行無常
盛者必衰
もう、言ってることが仏教。
やなせ先生は仏なのかな。
アンパンマン寺を建立してくれ!お布施をさせてくれ!徳を積みたい!
…と、ついつい取り乱してしまうが、全体を通して読むと普通に救いがある。(「アンパンマンのマーチ」で検索して読んでみてください)
限界アラサーの心を救済してくれるのは、冒頭のこのフレーズ。
そうだ うれしいんだ
生きる よろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも
このワンフレーズで、ほんとうに救われる。
夜に聴いては、「明日も頑張ろう」と思い、
朝に聴いては、「今日も一日頑張ろう」と思う。
チョロいアラサーだよ、私は。
アンパンマンは宗教だ。子どもがアンパンマン教に入れ込むのも分かる。
昨年出産した友人が「子どもってみんなアンパンマン好きだよね。うちの子もいずれ、どハマりするのかな…」と言っていた。
たぶん、そう!そして、子どもの時にアンパンマンのマーチを浴びて育ったら、たぶんグレない。たぶんだけど。根拠は一切ないけど。
何かと迷い、惑う30代、「アンパンマンのマーチ」を胸に頑張っていこうと思ったのだった。
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