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【自己紹介】習い事としての歌舞伎②

前回、私が子供歌舞伎に出会い「おひねり」という名のおこづかいを貰いながら「歌舞伎」という習い事していた話を書いた。

今回は「習い事としての歌舞伎」の
メリットデメリットについて。

さて、習い事として歌舞伎をするメリットは、前回も書いたが「お月謝がかからない」だけでなく「おこづかい(おひねり)がもらえる」という経済的な面もある。ただ、「では、一番のメリットはなんでしたか?」と聞かれたら私は

「他の人がやっていない習い事だったこと。」
と即答するだろう。

独自性の形成、です。

当たり前ですが、クラスメイトに「私も歌舞伎習ってるよ!」という友人はいなかった(最初親友を一人誘ったが、すぐに辞めてしまった)。そして、大学に行っても就職しても、「私も小さい頃から歌舞伎の舞台に立ってた~!」という仲間に会うことはなかった(そりゃそうだ)。

これが、私の人生において、
いつ役立ったのか。

まずは、中3の時に出場した
英語のスピーチコンテストです。

私は弁論大会に出て、「KABUKI」というタイトルで私の歌舞伎役者としての経験と現代の歌舞伎への関心の低さについてスピーチを行い、地区大会で優勝し、全国大会へと出場することが出来た。

「なるほど~、そうですか。英語が出来る自慢ですか。」いやいや。違います。言いたいことはそこではないのです。

当時の私は、英語の発音が良いわけではなく、スピーチの経験もなし。なんなら、同じ地区大会に出ていた子たちは、外国経験がある子や私立の中学に通い発音もネイティブレベルに上手で、訓練されてきた子たち。
では、なぜ私が勝つことが出来たのか。

「内容がめずらしかったから」だと思う。

皆、部活での経験や仲間の大切さ、外国での体験など、よくある中学生のスピーチっぽいスピーチをする中、一人、

「私歌舞伎役者なんですけど、みなさん歌舞伎を観てください!」です。目立ったわけです。

審査員も、スピーチのスキルはないけど、この話、全国でも通用するのでは?と思ってくれたのだと思う。でも、自慢話かよ、と思った皆さん。安心してください。全国大会では、それだけでは通用せず、ちゃんと予選敗退した。

しかし、あの時あの全国大会で出会った全国各地の仲間とは25年経ったいまでも連絡を取り合う仲だし、あの経験がなければ、私は上智に入ろうなんて考えてなかったと思う。あの経験が私の人生を変えたのです。

次に役立った場所。
それは、「推薦入試の面接」。

私は、今までの進路をほぼすべて推薦(基本面接のみ)で勝ち取ってきました。

小学校受験(面接あり)
中学校受験(連絡入学だけど面接はあった)
高校受験(推薦で面接のみ)
大学受験(小論文と面接のみ)
就職試験(2回の面接のみで内定)

「また自慢かよ。」
はい、ちょっと自慢しました。
特に就職のあたり。すみません。

「歌舞伎」の経験話が特に役立ったのは
高校受験と大学受験である。

高校受験の際は、特技や中学生活で頑張ったこと、いや、それ以外の質問も、何を聞かれても歌舞伎の話につなげようと思っていた。
それは、とにかく記憶に残りやすいから。とはいえ、高校の推薦試験は落とすための物ではないので、それ以上の効果はそんなになかったように思う。

次は、第一希望の上智大学の自己推薦面接試験。これは、ちゃんと落とされる。当時は倍率も2倍ほどだった。受験する人数もそこそこいた。私の前に面接室から出てきた子は、泣きながら部屋から出てきた。めちゃ血の気が引いた。
私は、大学に事前に提出する書類に、最後に演じた念願の女役「義経千本桜」舞台上での静御前の写真を同封しておいた。

高3最後の舞台で演じた、念願の女役。

何キロもある重たい赤い豪華な打掛を着て、これまた重たいかつらを被り、片手に短剣を持って狐忠信に迫るシーン。なかなかの映え写真。

これは効きました。
「え?この写真、キミなの?」と面接官が食いつき、そこから、歌舞伎の話から始め、自分の話したい分野の話題にもっていく練習をしていたので、そこから自分を売り込んだ。あれは手ごたえがあった。

「人とは違う習い事をする」というのは、財産になる。
それが自分の人生を助けてくれる。

もちろん、「うちの近くに歌舞伎習えるところなんてないよ!」というのは重々承知の助です。それでも、フラメンコでも、武術でも、女子ラグビーでも、セパタクローでも、なんでもいい。あなたのお子さんが興味のある、他の人があまりやってない習い事をひとつするのは、きっと将来あなたのお子さんを助けてくれる。

あと、矛盾するようだけど、最終的には珍しくなくたっていい。(え、独自性の形成はどうした。)
バレエ、サッカー、水泳、そして英語。
みんなが習っているものでも、みんなが到達できない頻度やレベルまで行ってしまえば、歌舞伎と同じ効果は得られると思う。

あなたのお子さんが受験する時、推薦試験の面接官が、

「え?君、ローザンヌ出てたの?」
「え?君、U18の日本代表なの?」
「え、君、泳いでドーバー海峡渡ったの?」
「え?君、中学校で準1まで取ったの?」

となれば同じ効果が得られる。
大人たちは、人とは違った大変な経験をしてきていることは感じ取ってくれる。そして、それがあなたのお子さんにどんな良い影響を与えたのかも推測し、今後を期待してくれる。

本気を出して取り組んだ「習い事」は、ちゃんとあなたのお子さんをの人生を助けてくれます。どうぞ、本人が頑張れるように、ポジティブな励ましを与え続けてくださいね。

ちなみに「習い事としての歌舞伎」の
唯一のデメリットを最後に。

それは、「歌舞伎やってんの、恥ずかしい。」

それだけ。

地方公演が終わった次の日学校で好きな男の子に
「お前、耳の後ろなんか白いぞ。」
と言われる恥ずかしさ。
(顔の化粧は必死で落とすけど、耳の後ろとか襟足に化粧残りがち。歌舞伎役者あるある。)

「バレエの発表会、来てね!」と話す友人に、
「私も歌舞伎の公演があるから来てね!次は僧侶の役なの☆」と言えない思春期女子。

現場からは、以上です。












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