【プロ】違いのわからない女の私が、唯一わかる違いとは
私は違いのわからない女だ。
違いがわからないことに関しては、
家族にも友達にも、昔から定評がある。
そんな定評いらんのに。
どの珈琲を飲んでも美味しい。
サイフォン式で丁寧に淹れた専門店の珈琲も、昨日の朝淹れて冷蔵庫に入りっぱなしだった珈琲も、どちらも変わらず全然美味しい。なんなら牛乳を入れて飲むので、なんでも一緒。残念な人間。
どこのおそば屋さんも、
どこのラーメン屋さんも、だいたい美味しい。
旦那さんが横で、スープの決め手がどうだったとか、麺の味がよかったとか、その店の総評をしている横で、私もいつも「たしかに」と、ふむふむ顔で聞いているが、実際何もわかっていない。
どこで何を食べても基本美味しいから、舌が馬鹿なのかと思ったら、これが、食べ物だけじゃなかった。たとえば、芸術なんかもよくわからない。
クラシックのコンサートに行った。
みんな上手だった。
美術館に行った。
よくわからんけど全部キレイな絵だった。
もう、すべてがそんな感じ。
食べ物も、芸術も、スポーツも、イマイチ違いがわからない。大谷翔平がすごいことはわかるが、何がすごいのか実はいまだによくわかってない。
そもそも「違いがわかる」ってなんだったっけ?
と思ったら、そうだ、あれだ。珈琲のCM。
ダバダーー、ダーバ、ダバダーー、ダバダーー
のやつだ。違いのわかる男が飲む
ネスカフェ、ゴールドブレンド。
本木雅弘が出てたやつか!と思って調べたら、
モックンは歴代の「違いのわかる男リスト」にはいなかった。
たぶん伊右衛門と間違えた。
あれ?
モックンじゃなくて、唐沢寿明だったか?
私は、顔の違いもわからない女だった。
そんな私にも、最近
唯一「違いのわかる分野」があると気づいた。
さて、それは、何か。
それは「英語」だ。
やっぱり、仕事にしているだけあった。
それで気づいた。
ってことは、どんな人にも必ず一つは
「違いのわかる分野」があるんじゃないか?と。
あなたの、「違いのわかる分野」はなんですか?
今回はそんな「違いのわかる」大人になるための一歩を探っていきたい。
私はずっと、自分はスピーチコンテストの指導が不得意だと思っていた。
何を指導していいかよくわかんないし、スピーチ指導の経験がそんなになかったから、向いてないと思っていたのだ。
でも、それは思い込みだった。
指導してみたら、気になるところが、まぁ出るわ出るわ。
「不得意」だと勝手に思い込んでいただけで、スピーチの上手い下手はちゃんとわかったし、どこを改善すべきかも明確にわかるから、全然指導できた。むしろ、めちゃくちゃ熱が入った。
毎日英語を聞いて話してるので、やっぱり違いはわかるようになってるのだと実感した。
あとは、TVで誰かが英語を話しているのを聞いて、その英語がどれだけ上手いのかもわかった。
「英語が上手い」と一言に言っても色々ある。
発音が上手い。言い回し上手い。表現が的確。
そもそも英語はただの言語だ。
でも、私たちの母国語ではないから、日本人が話している英語にはどうしても上手い下手はある。
スピーチや発音が上手いのと会話が出来るのは違う。発音がキレイでも実は話せない人もいるし、元ソニーの会長やノーベル賞を取ったとある教授のように、一見発音が日本語っぽくても、話している英語の使い方も中身も素晴らしくて、惚れ惚れする人もいる。「英語が話せる」と一言に言っても、色々あるのだ。
「あぁ、この人は日本で苦労してここまで話せるようになった人なのかなー」とか、「これは家族に英語を話す人がいるか、帰国時子女だな」とか。何なら、その留学先が北米かイギリスかオーストリアかぐらいは多分わかる。
でも、わかったから何なんだ、って話ですよ。
問題は、そこから。
わかった上で最終的に思う事は、
「英語が上手いとか下手とか、ホント全然どうでもいいよなー!」ってこと。
発音なんて、全然いいのよ。通じれば。
通じればいい。
コミュニケーションが取れて楽しい時間を過ごせればいい。ビジネスの取引がスムーズに行くならそれでいい。何度もいうが、要はその人自身の中身が大事。英語で「何を話しているか」が大事なのだ。
そして、違いがわかるからこそもうひとつ思うことは、「私の英語はまだまだ発展途上だな」ということ。
私は帰国子女でもなんでもないから、本当にネイティブレベルで話せる人を見ると、やっぱちがうなー、ああなりたいなーと思う。
だから私は学び続ける。
そして練習し続けるのだ。
違いのわからないオンナの私が唯一わかる違い。
それは、やっぱりそこにかけてきた情熱と、プロと呼ばれるために努力した時間の量なんだと思う。
だから、きっと、みなさんにもある。
「私、この違いなら分かる。」
「オレは、この違いだけにはうるさい。」という分野が。
ちなみに、これを先日私の髪を切ってくれているA子ちゃんに聞いてみた。
「A子ちゃんがわかる”違い”は何?」と。
美容師のA子ちゃんいわく、彼女は街で誰かのヘアスタイルを見てるだけで、この人の髪はここが痛んでるな、とか、カラーはきっとあの色を使ってるな、とか、「なんでここのサイドの髪、残すかな~。切ってあげたいな~。」とか思うらしい。
へー!美容師さんってそんなこと思うんだ!私、人の髪を見てそんなこと一度も思ったことない。やっぱ彼女は髪のプロなのだ。
ちなみにうちの母は、毎年欠かさずローザンヌ国際バレエコンクールとショパンコンクールを見る。母はその筋に関してはただの素人なのだが、長年見続けてたら「だんだん『この人、きっと賞取る』ってわかるようになってきた」らしい。ほんまかいな。
でも、ある一定量、その分野の情報を浴びると、きっと違いが分かるようになるのかもしれない。
珈琲も、いろんなとこでたくさん飲んだら、いつかこんな私でもその違いが分かるようになるかな?牛乳入れるけど、許してくれるかな。
もし、あなたにも
「違いのわかる分野」があるとしたら。
それがきっと、
あなたの強みなんじゃないですかね。
そして、それが仕事でも趣味でもあなたの人生の多くを占めていたら、きっと人生有意義なんじゃないかと思うのです。
ちなみに、私はもう一つ、
違いがわかるものがあります。
「結婚式」です。
退職して何年たってもウエディングプランナー精神が染みついているので、その人のことはその人の結婚式を見ればわかるなって、昔から思ってた節はある。
大学時代のホテルでのバイトも含めたら、結婚式は何百組と見てきた。今まで参列した式で良くなかった式なんて一つもないけど、やっぱり新郎新婦の人となりはよく出ると思う。
優しいふたりは、優しい式に。
賑やかなふたりは、賑やかな式になる。
それが見ていて楽しいんだなー。
今週末、いとこの結婚式がある。
10年ぶりの結婚式参列。正直、ウキウキしている。きっとあたたかい式になるに違いない。
ウエディングプランナーを辞めてもう15年も経つので、さすがに「余興のタイミングはここじゃない方がいい」とか「花束贈呈のBGMが大きい」とか、インカムで指示を飛ばしたくなるようなことはないだろうし、時代も変わったし、感覚もかなり一般市民に戻っているので、きっと今は心穏やかに結婚式を楽しめると思う。
さて、
みなさんの「違いのわかる分野」なんですか?
まわりの皆さんにも聞いてみたいな、
と思っている今日この頃です。