「正欲」 朝井リョウさん
朝井リョウさんの「正欲」
話題になったときから
気にはなっていて
一体どんなお話なんだろうと
頭の片隅にずっといた
映画を見ようか
原作を読もうか
というとき
私は原作派
どうしても作者が綴った
純度100%の言葉から
色々と感じたいから。
読み始めたら
止まらないやつだった
ゆっくり読もうと思ったのに
結局2日で読んだし
夜通しで読んだから
読み終わった頃は
朝日が昇ってた
★★★
率直な感想は
読んで良かったし
読まなきゃ良かった
・
・
・
昨今の色んな個性や趣味嗜好があって
自分じゃ理解できないけど
それがその人にとって
自己肯定感につながって
笑顔になれることなら
それを肯定しよう
という風潮に
私も賛成だったし
そういう世の中なんだって
理解はしていたつもりでいた
けど
わかったつもり
理解したつもり
肯定しているつもり
は、理解はできないけど
それでいいんじゃないか
という、どこか他人事の気持ち
当事者からすると
理解しているとは言えなくて
肩身が狭い一方
本当に理解できるのは
同じ趣味嗜好を持ったもの
その価値観の一致が
その者たちを安堵へ繋げる
そして、人はやっぱり
自分の理解できる範疇しか
理解ができないんだ
理解に苦しむことは
本当の心で寄り添うことは
できないんだ
上っ面な理解なら
いっそのこと関わらないことが
双方の幸せにもなる
本当の繋がりは
理解し合える者同士の
繋がりだけなんだ
って感じる。
だけど、理解し合える同士だけの
ぬるま湯のような
傷の舐め合いのような
そんな関係だけも
いいのだろうか??
色んなことがあって
色んな経験をして
傷ついた分だけ
強くも慣れるし
仲良しこよしだけも
危険なものなのかも
もはや
心の奥の奥の奥のことなんか
わかりゃしない
人のことなんて
所詮わからないのだ
そして登場人物の八重子が
自分と重なって
苦しくなった
★★★
何が本当の正しさなのか
正欲は正しい欲
自分にとっての正しさ
人にとっての正しさ
世間にとっての正しさ
色んな視点からの
正しさが目まぐるしくて
答えもなくて
ただただ何も考えたくなくなった
それがほんの少しの
読まなきゃ良かった
とも過ったけど
2024年
圧倒的に
読んで良かった本です