見出し画像

夫婦アラフォーでも「妊活」を安易に乗り越えた理由

間もなく、アラフォー卒業。近年全くときめきがない。まぁ、当たり前か。

しかし!

このまえ、久々に思春期に戻ったかのような興奮を一瞬だけおぼえた事件が勃発したのである。

寝床に就こうとしたとき、スマホが不思議なブルり方をした。LINE でもメールでもアプリ更新通知でもないブルブルパターンで、何やら気持ちが悪い。瞬時に貞子の『♪くる~きっとくる~♪』が頭の中をよぎる。ホーム画面を恐る恐る見渡すと、めったに開けないアプリに赤丸がついているではないか...

えっ?今どき?

超アナログ的ショートメールが来ているではないか!

サカイです 久しぶり。突然だけど、ルミちゃん離婚したよ。知ってた?

なるほど。確かにこれはショートメールになるわけだ。高校同級生のサカイとは20年以上会っていない。フェイスブックは遥か昔にやめたし、LINE は嫁としかやらない主義の自分を旧友が捕まえるには25年使い続けているこの携帯番号宛のSMS しかないからだ。それにしてもかなりの胸キュン文春砲をかましてくれたじゃん?

ルミは、自分が高1のときに人生で初めてコクった同じクラスのコだ。ちなみに結果はNGだった。確か彼女は30歳手前で商社勤めのエリートと結婚して、働きながら二人の子供を育てているバリバリのキャリアウーマンになっていたハズだ。エンターテイメント系の上場会社で課長さんだとか。それ以後は知らない。とにかく高校時代は‘’頭よし、顔スタイルよし、性格よし‘’の三拍子そろった完璧な生徒会長だった。そういうコ、どこにでも必ず一人いますよね。

サカイの近況は全く興味ないのでSMは返信もせずシカトして、すぐさまフェイスブックで偽アカをおこして、ルミを徹底サーチしたのだが...

( ̄▽ ̄;) あれれ...見つからない

彼女の友人の名前思い出して、そっち経由でも探したが、見つからない。もうこれはアカウントごとオトしたに違いない。

そりや、消したくなるよな。俺も離婚したときにフェイスブックやめたし...誰にも探されたくない局面っで、人生で何回かはやってくるんだよね。

かくして、団塊ジュニアのアラフォー期というのは、みな人生が綻び始めるのである。自分の周りで普通の家庭を維持できている奴(いわゆるNHK のニュースででてきそうな夫婦+子供二人の一般サラリーマン世帯みたいな?)は、むしろ少数だ。いや、そもそも普通の家庭って何なんだ?状態。そんなの今どきいるのか?ってさえも思う。自分も30代半ばで離婚に直面して、一旦立ち直れないくらいボロボロになった。

で、ちなみに...その後の自分だが、

再婚は自分が40歳のとき。相手は39歳。同じ会社で共働き。妊活1年で妻妊娠。その後、妻は41歳の高齢にして初産。保活して最寄りの認可保育所に0歳児枠で4月入園決定、今自分は世間で言われるイクメン。なお母子ともに健康。

↑しれっと書いたが、この中には10個くらいミラクルが隠れている。これって色んな努力と準備と偶然が重なって、最短かつノーミスで目標にたどり着いた”世にも珍しい”アラフォー”珍”事例なのである。なぜ自分はそんなことができたのか?

答え:周りの人間があまりにも素晴らしい反面教師だったから。

自分には年に1回以上実際に会ったりするような付き合いが続いている友人は、大学で同じクラスだった4人しかいない。で、この仲良し5人組の人生は、かなりダイバーってる!
(皆だいたい43~45歳)

A氏
33歳で姉さん女房をもらい、夫婦ともに‘’子供好き‘’で、即妊活開始。1000万以上つぎ込んで10年間頑張るも、敢えなくギブアップ。夫婦の共通の目標が消え、会話もなくなり、最近は‘’夫婦とはなんたるか?‘’をひたすら哲学する日々。
B氏
28歳で同じ歳の女性と結婚。ずっと仲は良いが、子供を作ろうという意識がなく、ダラダラ10年すごしたが、40代直前にやっぱ子供欲しい!と突然奥様が言い出す。でもすでにB氏は‘’嫁だけED‘’状態。慌てて夫婦で 不妊治療にいそしむも、経済的にも体力的にもそろそろギブアップの模様。
C氏
34歳で年下後輩とデキ婚するも、長男誕生直後に妻が他界し、シングルファーザーに。母を田舎から呼び寄せなんとか凌ぐ。最近、ステキな年下の再婚相手を見つけるも、彼女が起業したて&子供嫌いで、なんと当面は連れ子の同居拒否!母&息子の家と、新婚愛の巣を往き来する日々。
D氏
おそらくこの仲間のなかで最もマトモな性格&家柄&ルックス。D氏が一番早く結婚して家庭を築いて、全うな人生を送るだろうと疑わなかったが...43歳現在、未だ婚歴なきソロ。結婚願望はあり、みんなに女性を紹介されるもうまくいかず...だんだん生涯ソロも視野に入ってきた最近。

なんというか、とにかく今回のルミの件含め、いわゆる‘’普通の家庭‘’を『築き』そして『全うする』のはとても大変なことである!ということだけは、よーくよーく身にしみて分かっていた。

だから再婚を意識し始めたた40歳手前のころ『自分が自分じゃないと思えるくらい徹底的にアットホームパパになる覚悟を以ってもう一度結婚生活に突入する気概があるのか?』→これをしつこく何度も何度も自問自答したのである。

で、決断した。
自分は、残りの余生を、とても難易度の高い『普通の家庭を築き、そして、全うする』ことに集中することを誓います!と。

新嫁は言った。『年齢的にどうかわからないけど、子供は欲しい』と。

即座に自分は答えた。

お互いがこの年齢で子供を授かる可能性は20%未満だ。不妊の理由の49%は男性側にあるというから、まずは俺が産婦人科に行って精子の確認をしてくる...と。

で、検査結果はというと......シロだった。自分の精子の運動率やら奇形率やら量やら質やらには全く問題はないとのことだった。むしろ、若い男性とあまりかわらないですよと太鼓橋を押された。それでも自分は全く安心せず、即座に次のステップへの移行を新嫁に促した。

お互いの年齢を考えると、自然妊娠にこだわり続けるのはかなりリスクが高い。そもそもこの年齢での自然妊娠率は5%だ。だから3か月か6か月間、タイミング法で自然妊娠をトライしてだめだったら、さっさと諦めて、次のステップに進もう。

新嫁は驚きの毎日である。旦那はまるで妊活コンサルタントのように日々動き、ときには自ら産婦人科へも赴いて不妊に取り組み、ときには不妊アプリのように『今日はあの日だ!』とか叫び出す。もはや趣味かよっ!みたいな。

なんてことはない、不揃いの団塊ジュニア仲間たちの助言・失敗談に対して真摯に向き合い、新嫁に無駄な動きを一切させまいとする自分がそこにはいただけである。

自分の中ではもう西新宿の加藤レディースクリニックか東池袋の慶愛クリニックへむかうイメージだけがあった。不妊、体外受精や顕微授精の最高峰、みんなが必ずや一度はいくことを検討するメッカ的クリニックだ。自分的には色々自然な形を試して時間をロスするより、先にケツをだせよ、みたいな感じだった。(冷静に考えて恐ろしい旦那である)

結果はというと、金が莫大にかかり始める体外受精の手前で、妊娠が発覚。近所の産婦人科レベルでろくに金もかからず妊活終了。無事出産に至った。

繰り返しになるが、この奇跡のアラフォー妊活成功の要因は、男である自分の異常なまでの『妊活参画意識の高さ』である。そのうえてバイブルとなったのは、かなりダイバーってる4名の友人たちの‘’人生‘’そのものという教科書だ。

さて、それはさておき、問題はルミである。別になんかコトを起こすつもりはないが、近況を確認はしたくなるじゃん?初恋の相手だし....っつうことで、仕方がなく、付き合いもそんなになかったどっちかというと嫌いだったサカイにSMで文春砲の続きの有料部分的な話を聞きだすことにした。

それがね、超予想外の展開でさぁ、ルミちゃんが会社の上司とダブル不倫しちゃったらしく、その上司の奥さんから訴えられ  /  旦那には離婚申し立てされ、親権奪われ、みたいな?上司は離婚させてもらえず、元サヤにおさまる / みたいな。だから、ルミちゃん、一人きりだよ。声かけてみたら?四半世紀以上たっても /  まだ好きだとか?!うける!

サカイは何回も文字制限の壁と戦いながら、このロングメールを4回に分けてSMで送ってきた。「うける!」とかってもう意味不明。だからこいつ嫌いなんだよとか思いつつ。

とにかく元生徒会長の不倫スキャンダル....さぞかし盛り上がってるだろう、卒業生の間では。とりあえず今声をかけるのは得策ではなさそうだ。プライドが高い人ほど、傷つくから。アラフィフの卒業論文の課題にとっておこう。

全然話は変わるが、ルミを好きになった理由のひとつに、とても無邪気なまでに向上心というか好奇心が高い点がある。高校のときの口癖がちょっと変わっていて…

へぇ~そうなんだぁ、ねぇねぇ〇〇さん、それって今までの人生で一番楽しかったこと?え?あの映画みたんだぁ で、あの映画って、今までの人生で一番よかったって言える?

なんだろう、何でも人生で一番って言えるか?って必ず確認してくるんですよ。そうでなきゃつまんない、みたいな。高校のあのころはあれが楽しかったと思えた(今ならウザいが…)。 

そんなルミが一番大好きな食べ物と公言していたのがうなぎで、毎月父親(=金持ち)に連れて行ってもらう神田きくかわ(上野毛店 )に勝るうなぎというか「食べ物」がこの世にはない!と高1のとき既に断言していた。今もそれがルミにとっての世界一かはどうか分からないが。

そんな、”神田きくかわ・うな重マニア”のルミを今の自分がデートに誘うとしたら、とりあえず箱根へのドライブだが、間違いなく昼食は小田原の友栄でうなぎですな。

あそこは、私の言うところの今までの人生の中で間違いなく一番おいしいとカンジられるうなぎを出すお店だ。肝をあてに冷酒を呑みながらのんびりアオうなぎが焼かれるのを待つ…アラフォー至福の時ですな。

誘おうかな、止めとこうかな。

やっぱアラフィフのお楽しみにとっておこう。

--------------------------

ー文中でご紹介した店ー

うなぎ亭 小田原「友栄」(ともえい)

http://www.tomoei-unagi.com/

席の予約ができません。うなぎの予約だけはできます!アオうなぎが食べられるうなぎのお店はとても少ないです。重は上のみで5000円(+税)

この記事は以下に集録されています!

『アラフォーの卒業論文』

40歳は二度目のハタチ...というが、実際はどんな数年間だったのか?書き下ろした10のエッセイ集 by 叶田(kanaita)