[工芸の五月]若草薫るてまり展(2022.5.12~24)
「手仕事商會すぐり」さん。
中町通りから伸びる細い路地を歩いていくと、つきあたりにある。コンセプトは、「すぐれたてしごとを ひとつひとつよりすぐり よりすぐれたかたちで おとどけする」。一階では、木工、ガラス、布、紙細工など信州にゆかりのある作家の手工芸品や、オリジナルグッズなどを販売している。季節のスイーツやフレッシュジュースなども、テイクアウトにて楽しめる。二階が、今回の展示が行われているギャラリーになっている。民芸・工芸の作家による個展や、世界各地の手仕事を紹介する企画展、そのほかワークショップも開催している。入り口すぐ左の階段を上っていくと、小さなてまりが所狭しと敷き詰められた正方形の額縁が壁に掛けられている。
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「草木染め粒てまり カラーチャート」とある。桜、ハルジオン、ヨモギなどの草木の名前が並んでおり、これらのてまりの糸が草木から色をとったものであることが分かる。草木染めならではの淡く繊細な色彩は見ていてとても心地よく、また、春夏秋冬それぞれの季節を、小さな100個のてまりから感じ取ることができる。
こうして階段を上りきると、ふわっとした、柔らかな雰囲気に包まれる。蔵を改装した建物の木の温もりと、優しい色合いのてまりの相性の良さを感じる。
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展示には、木の枝や丸太、白い薄手の麻のような生地の布、植物のモチーフなどの自然や優しさが感じられる素材が多く用いられていた。それによって、空間としての雰囲気が統一されると同時に、草木染めの繊細な糸の色が潰されること無く、最大限に活かされているように感じた。
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すぐれたてしごとをひとつひとつよりすぐり、よりすぐれたかたちでおとどけする…手仕事商會すぐりのこの場所だったからこそ、てまりたちがより生き生きと、魅力的に感じられたはず。この場所が作品を、また、作品がこの場所を、活かし合っているような、そんな展示だった。(M. N.)
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