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無価値にみえる空き家にどうにか価値を見出す

空き家に「価値がない」というのは簡単です。
そこにどうにか価値を見出したい。

このことについて考えてみましょう。

最初に少しばかり、なぜ無価値と言われるかの話。

空き家問題の裏には、様々な事情がありますが、大体は「相続問題」が絡んでいることが多いです。

「平成26年空き家実態調査」によると、居住用家屋が空き家になった原因の56.4%は相続よる取得です。

つまり、空き家問題の半分以上は、相続から始まったと言い換えることが出来ます。

実際に、これまで私が関わってきた空き家の9割は、相続が原因でした。

ただ、このことは、具体的な統計を見るまでもなく、ほとんどの人が実感できるのではないでしょうか?

例えば、
親が一戸建てに住んでいたけど、子は別のところに家を買って住んでいた。
しばらくして、親が亡くなり、親が住んでいた古い一戸建てを子が相続。
自分の家がある子は、親の家を相続したけど、特段使い道がない。

かつては、親が子に家を残すという流れがうまく回っていた時代もあったようですが、今の日本人の平均寿命は80代。

とすると、相続発生時点で子も既に50代以上であることが多いことでしょう。

つまり、子は既に自分で家を持ち、今更築50年程度経過した家を相続しても、使い道に困る、というのは当然のことです。

そして、ここから空き家所有者にとって少し耳の痛い話。

「使わないなら売れば良いじゃないか。そもそもローンだって返し終わってるし、親が大金を出して手に入れた不動産を相続できてラッキーだろう」
と考えるかもしれません。

しかし残念ながら、時代は変わったと言わざるを得ません。

都心や駅近ならまだしも、田舎にある築古の家の価値は、相当下がってしまっています。

この事実を受け止めなければなりません。

マイホームは、人生をかけて相当な大金を支払って買うものであるので、当然今でもその家に価値があると思ってしまいます。

しかし現実には、まず古くなった建物の価値は0円。

そして、土地価格が高くないエリアになると敷地全部で数百万円という値段が基本。

土地価格よりも古くなった建物の解体費用が高くて、値段がつかないなんてこともザラです。


さて、ここからが大事です。

「価値がない」というのは簡単ですが、そこにどうにか価値を見出すことができないかを考えるのが有意義な思考ではないでしょうか。

まず、価値がないというのは、あくまで「住宅としての価値がない」という意味です。

空き家(空き店舗は除きます)というのは、住宅としての使用目的で建築されているため、住宅の視点でみると、ボロボロの状態だと使えないから当然価値がないということになります。

しかし、何も住宅としての使用にこだわる必要はありません。

ここで、用途地域について考えてみます。
用途地域は、その土地のエリアに、どのような用途の建築物を建てられるかを定めたものです。

出典 東京都都市整備局

用途地域で認められる使い方であれば、住宅以外の使用を検討してみることができます。

例えば、近隣商業地域。

近隣商業地域では、事務所、店舗、宿泊施設など、幅広い用途が認められています。

用途地域を確認してみると、一見閑静な住宅街に見えても、意外と「近隣商業地域」や「準工業地域」といった、幅広い用途が認められているエリアであることも少なくありません。

また、「第一種住居地域」という用途地域も、名前からは住居だけが認められているような印象を持ちますが、意外にも事務所専用での建物が認められています。

さて、なぜこのような話をしたのかと言うと、空き家を住居として再生して利活用することは、非常に大変だからです。

やはり、人が住めるレベルに再生するのであれば、風呂やキッチンなど、綺麗なものを設置しなければなかなか入居者は見つからないでしょう。

また、住むとなれば、天井や壁の細かな汚れや傷なども気になってきます。

しかし、例えば事務所として使う場合はどうでしょうか?

まず、お風呂は必要ありませんよね。

キッチンも最低限手洗いができれば問題ありません。

部屋全体も綺麗に越したことはありませんが、住むことに比べれば、ずっと許容範囲は広がるのではないでしょうか。

つまり、住居としての使用を前提とせず、事務所、店舗、施設など、他の様々な用途を検討することで、一見無価値に見える空き家に、新たな価値を見出すことができます。

私の場合は、許認可等申請業務を専門とする行政書士ですので、日頃から許認可等必要とする事業者をサポートしています。

その許認可等を取得するには、事務所や店舗などの物件的要件を満たす必要があり、幸いそれらに精通していました。

そこで、許認可等申請の審査基準をクリアする物件へと再生することが、私が空き家に価値を見出した方法です。

私の例は、ほんの一例だと思います。

他にも、無数に利活用方法は存在するはずです。

ビジネス的な視点で、様々な発想を持ち、空き家の利活用を考えると、現在無価値とされている空き家にも大きな価値を生み出すことができるのではないでしょうか。

空き家所有者で悩んでいる方は、この視点で考えてみましょう。

それでは!

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