愛煙家
あたしは愛煙家だ
煙草がないだけで機嫌が悪くなるし、
やる気もなくなってしまう
吸っているのは
ハイライト メンソール
松本に引っ越してきてすぐ、
大学の新歓があった
そこで煙草を吸っていたあたしは
ひとりのべろべろに酔っぱらった先輩に
声をかけられた
ごめん、ハイメン1本頂戴
あの日からあたしは
この煙草以外に興味がなくなった
忘れられない煙草になってしまった
季節ごとに煙草を変える先輩を横目に
深夜、コンビニの灰皿の前で
煙草を吸うあの時間が大好きだった
先輩はあたしのことなんて
もう忘れているかもしれない
そうであっておくれ
そのほうが心地いいから