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伝統文化の藍染を初心者が体験してみた話②
2021/12/12(日) BKC学園祭の日
こんにちは。引き続き金井ゼミ二期生の武沢がお送りします。
前回の記事を読んでいただいた方、ありがとうございます。
好評のお声もいただき、大変嬉しく思います。
金井ゼミnoteでは『ゼミ活動の「面白い」を共有していきたい!』というコンセプトのもと、体験や学びについてお送りしていきます。
今回は実際の体験の様子を交えて、藍染の工程について説明していきたいと思います。
藍染って難しい?
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https://shop.a-eru.co.jp/product/honnaizome-babyclothes/
さて、いよいよ「藍染」スタートです。
前回の記事は、最後に「実は藍染は簡単です!」という締めくくりをしました。『それって本当に簡単なの?』という疑問の声には、こんなイメージがあるのではないでしょうか。(イメージ画像)
職人のような人がなにやら使い方のわからない道具で難しいことを…
私自身も、藍染というものの正体を全く知らなかったので、和紙を作る職人みたいな想像をしていました。
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http://nagaragawastory.jp/1612
こういうやつです。
よくわからないけど、見るからに難しそうですよね。
実は『難しそう!』というイメージの半分は正解で、藍染の染料を作る工程に秘密があります。染料として使えるように加工するには、非常に手間がかかるんです。
簡単に説明させていただくと…
①まずは蓼藍の種を蒔いて栽培し、収穫後3カ月ほど寝かせます。その間にも適切な温度や湿度管理が欠かせません。
②寝かせることで「蒅」の状態になった藍を、液体にします。
蒅を染め液にするにはまず土中に埋められた藍甕などに水、蒅、石灰や灰、小麦粉や糖、酒などを加え温度を30度くらいに保ちます。
微生物が働きだし更に発酵し堆肥のような匂いがしてくると1週間ほどで完成。
伝統的な紺屋の染め場では、火を入れる事ができる火壷の周りに染め液が入った藍甕を並べ温度管理をします。
https://wa-gokoro.jp/traditional-crafts/Dyeing/296/ 20211212
③染め頃になると泡が盛り上がり、染め時を知らせてくれます。
この一連の工程を「藍建て」と呼びます。
最後の染め時を決めるときは、職人が手の感触や舌ざわりなどによって確認します。このタイミングを見極めるのがまさに職人技と言えるでしょう。
藍染を始める前に準備をしよう
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長めの前置きを挟みましたが、ここからが本題のコーナーです。
はじめに、私たちが藍染をするきっかけとなったのは
「個性的なクラスTシャツが欲しい!」
というアイデアからです。
藍染では自分で模様を作ることができるため、それぞれが全く違うデザインになります。さらに伝統文化という特性も相まって、最高に個性あふれるクラスTシャツを作ろうという狙いです。なかなか愉快なゼミです。
さて、先ほど染料作りの難しさについて説明しましたが、「染める」工程はとっても簡単です。
つまり…結論から言うと
「できた染料を買っちゃえばいい」
ということです。とても簡単ですね。
■いろいろな準備を整えていく
そうすると『染料はどこで手に入れられるの?』という声も聞こえてきそうですが、今回は京都の「田中直染料店」様から購入させていただきました。
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天然藍濃縮液 | 染料と染色材料の専門店 田中直染料店 (tanaka-nao.co.jp)
さすがに本物の藍を使った染料には手が届かなかったので、入門編としてインド藍の染料を代用することになりました。
今回は4kgを購入しましたが、結果的に1kgあたりTシャツを20枚以上染められることがわかりました。異なる柄のTシャツを一気に量産できるという、値段と手間を見ても非常にコスパの良い手法です。まさに「庶民的」とでも言うべきでしょうか。
あとは染めるものが必要ですが、今回はクラスTシャツ製作なので真っ白なTシャツを用意しました。
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ちなみにTシャツに模様をつけるために「絞り」という段階があります。絞りを入れることで藍色の中に余白ができ、それが模様となります。
さまざまな手法がありますが、ゼミのみなさんにはあらかじめ輪ゴムで好きなように絞ってもらい、それぞれこだわりを込めていただきました。
他にも用意するもの一覧
・(染料)
・(Tシャツ)
・バケツなど底の深い容器(最低3つ)
・大量の水
・大きなビニール袋
・新聞紙
・ゴム手袋
・割り箸
・酢
・作業スペースと排水場所の確保 など
このあたりが挙げられます。
汚れやすい染料の扱いが難しいので、作業スペースはなるべく広く取りましょう。この日は金井ゼミ生の先輩に、広い庭のあるご自宅をお借りして作業させていただきました。
また藍色に染まった水が大量に発生するので、汚れても大丈夫な排水場所の確保は必須となります。同様にコンクリートに付着した藍色も落ちにくいため、新聞紙をたくさん敷いておくのが望ましいです。(失敗しました)
いよいよ始まる藍染体験
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場所と道具の準備が完了したら、さっそく藍染を始めていきましょう。
この時点で水を満たした容器4つを用意しています。染めるための容器2つと、洗うための容器2つを分けておきました。
写真撮影は同じく金井ゼミ二期生の杉山さん、羽立さんが担当しました。
①藍染液を作る
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※以下は説明書に準拠しながらも、独自の解釈で作業したため本来の正しい手順とは異なる場合があります。ご了承ください。
まずは購入した染料を、ビニール袋で覆われた容器に投入します。
ビニール袋で覆うことで、あとで容器を洗う手間を省くことができます。
これくらいの大きさの容器であれば、約300g程度の染料を混ぜれば良い具合になります。
ちなみに、染料は酸化が早いため水面につけるようにしながら投入するのがなお良さそうです。
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それと同時に、染料に付属しているハイドロも投入します。粉末状なので、風の強い屋外で使用する場合は十分注意しましょう。マスクをしていても、油断して吸い込むと強烈にむせます。
染料と水だけでは混ざらないので、ハイドロはその溶媒としての役割を果たしてくれます。
染料とハイドロを投入したら、割り箸などでかき混ぜて、封をしてしばらく待ちましょう。空気に触れないよう、ビニール袋の口を閉めておくだけで良いです。
複数人で作業する場合は、同じ要領で人数分の藍染液を作っておくと捗ります。(この時点で1kgで済んだので染料を買い過ぎたことに気付きました)
②Tシャツを藍染液に浸す
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染料の準備ができたら、いよいよ染めていきます。
先に一度Tシャツを水で濡らした後、ゴム手袋をつけてTシャツを持ったまま藍染液に漬け込みます。先に濡らすことで染料が全体に行き渡りやすくなります。
「液に浸す(1分)→空気にさらす(数秒)」を5セットほど繰り返しました。酸化の段階を利用して藍色の発色を良くする効果があるようです。
最後のセットが終わったら、用意しておいた水で洗います。絞った後は、そのまま輪ゴムを開かずに新聞紙の上に乾かします。
この写真はちょうど1セット目を写したものです。
藍色の液体に浸したのに、実際に染まるのは緑色になりました。不思議な現象に、現場では驚きの声が飛び交っていました。
この時点で最後に洗った水がどんどん藍色に染まっていくのですが、この後も何度か洗うのであまり気にしないでも大丈夫そうです。
10枚ほど洗ったら水を変えるくらいの頻度が理想だと思います。なぜなら水を捨てる工程が面倒だからです。
ビニール袋に入った大量の水をこぼさずに、小さい排水溝にそそぐ行為は非常に難しく、もっとも職人技が問われる瞬間のように感じました。
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新聞紙の上に並べていくと、途端に色の変化が始まりました。
緑色だったものが順番に濃い藍色に染まっていくのが分かります。これは藍が空気に触れて、酸化していくと同時に生地に定着している様子を表しています。
とはいえ、今度は濃すぎる藍色になってしまいました。なので次は色を適度に落としていく工程に移ります。
③水と酢で洗って適度に色を落とす
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再び容器の中の水を捨て、新しい水と、酢を適量混ぜた水を用意します。
Tシャツが藍色に十分染まったところで、輪ゴムを解きます。そして、まずは水で洗うことで、余分な藍色を少し落としていきます。
次に、用意しておいた酢にTシャツを浸します。
この工程は「酢通し」といい、酸化しきれなかった藍染液の酸化を助ける役割があります。酢通しをすることで生地に色が定着し、洗濯などしても落ちにくくなります。
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(金井ゼミのみなさん)
写真の通り、洗ってしばらく経った左のTシャツは濃い色が落ちて、色も藍色に近づいてきています。
Tシャツの絞りを解いたことで急速に酸化が進み、色の変化がはっきり表れたのだと思われます。段々と形になってきました。
酢通しが終わったTシャツは、しっかり水気を絞ってまたしばらく乾燥させておきます。
ハンガーなどにかけておきましょう。
④もう一度水と酢で洗う
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※この工程は省ける可能性が高いと思われます。
干しているTシャツを見て、まだ緑色や濃い藍色が見えるものがあったので、再び水洗いと酢通しの工程を挟みました。
このあたりは、一度藍染をした経験のある先輩のアドバイスで追加工程を施しました。結果的により発色が良くなり、成功でした。
余談となりますが、この日はzoomで下回生にゼミ紹介をする日でした。
作業中にタイミング良く、綺麗な藍色模様が表れたTシャツを実況中継することができたようです。『面白いゼミだ!』ということをアピールするにはとても大きなインパクトになったと聞いています。
2回生はすでに募集が終わってしまいましたが、もし1回生のみなさんがこの記事を目にしていたら、金井ゼミに興味を持っていただけると幸いです!
⑤完成!
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全ての工程が終了したら、あとは干して乾燥させれば藍染Tシャツの完成となります。
可能であれば、実際に着用する前に1~2回洗濯機で水洗いすることで、他の衣料への色移りを防ぐことができます。酢通しがきちんと施されていれば、ほとんど色が落ちることはありません。
最後に片づけをすれば終了です。お疲れ様でした!
全ての工程に要した時間は3~4時間くらいだったと思います。
撮影・作業担当の皆さん、また場所の提供からサポートまでしていただいた先輩の皆様には、この場を借りて改めてお礼させていただきます。
感想とまとめ
感想と言っても大層なものではありませんが、まとめて締めくくりたいと思います。
Tシャツ製作は11月に行いましたが、実際にゼミのみなさんにお渡しするのは12月になりました。
「さんざん勿体ぶって、さぞすごい物を作ってくれたんだろうね」
と期待される目線を感じつつ、手渡した時はみなさんに予想以上に喜んでいただけました。自分たちもいい仕事をしたなと感心しました。
藍染をやってみた感想としては、「結構おおざっぱでいいんだな」という驚きです。
当日を振り返ってみると…何も知らずにとりあえず道具を準備し、経験者の先輩からご指導いただけるかと思いきや「自分達でやった方が実習の意味があるよ」という趣旨のお言葉をいただき少し困惑。先輩方も、実際あまり詳しく知らなくて心中は同じく困惑。
買ってきた染料は多すぎるし、途中で説明書を読もうと思ったら染料で真っ青になって読めないところがあるし、箱に入っていた付属品を無くして適当に代用するし…。それでも完成品を見れば完璧な仕上がりにびっくり。
振り返ってみれば、①服を染めて→②洗って→③酢に通すという簡単な3ステップだった訳ですが、作業している最中は探り探りで大変でした。それでも決められた工程を淡々とやるよりは、騒がしいくらいがあったかくていいですよね。とても楽しかったです。
もしも機会があれば、藍染をいろいろな人と一緒に試してみてはいかがでしょうか。伝統文化の一端を体験すると思えば、時間も費用もお手軽です。
きっと良い思い出になること、保証いたします。
後日談(当日)となりますが金井ゼミはBKC学園祭に出店し、チームカラーとして藍染Tシャツを着て一心同体、精いっぱい活動しました。本来は学園祭の広報の一環としてnoteを書いていたのですが、間に合わなかったので金井ゼミ全体の宣伝に代えさせていただきます。
今後とも金井ゼミをよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新をお楽しみに!
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