ズーカラコラム⑥

 今秋に予定されていたズーカラデルの「星に願ってもしょうがないツアー」が関係者のコロナ感染の影響で中止になった。

 ツアーに先駆けてオンライン販売されていたグッズは中止後も引き続き販売がされている。個性的なデザインのグッズの中に「アクリルスタンドバイミー」という商品がある。「アクリルスタンド」と彼らの楽曲「スタンドバイミー」を掛け合わせた商品名である。「アクリルスタンド」とは、アクリル素材の小さな板にメンバーのイラストが印刷されたものである。
 「アクスタ」や「アクキー」と呼ばれ、最近多方面で流行っているものなのだが、このような商品を販売するのはアイドルやアニメキャラクターだけだと思っていた。初めて見たとき、ズーカラデルはいつからアイドルになったのかと驚いてしまった。

 流行に乗っかり利益を求めているのかと考えたが、音楽を奏でているだけで生活が成り立つ世界なら誰も苦労はしないとも思った。
 アーティストのグッズ売り上げがどの程度なのか知らないが、結構利益が出ている価格のような気がする。何を考えているのかと思われるかもしれないが、音楽をやっていく上でお金はとても重要なものなのである。音楽をやっているとお金がかかる。(私は日々それを痛感している)

 以前、駆け出しのバンドがだんだんと売れ始め、いつしか握手会を開催するようになった話を聞いたことがある。純粋にバンドの音楽が好きで応援していたファンはそれに対し、「バンドが握手会をやるとはどういうことだ。アイドルにでもなったつもりか」などと思ったようだ。そして、そのバンドから離れていった人が多数いたらしい。

 何が好きで何を目的にバンドを応援しても悪くはないと思うし、個人の勝手だとも思う。握手会をして結果的にファンが増え、利益が上がるのなら、古参ファンを少々切り捨てても悪くはない。大人たちはそう考えるのだろう。
 音楽をやっている身からすると、ビジュアルやグッズ、音楽以外の活動目的で応援するより、純粋に音楽が好きで応援しているほうがアーティスト冥利に尽きると思う。
 しかし、先述したとおり、音楽を奏でているだけで生活が成り立たないから、そこが難しい。音楽をやっている人が一度は躓くポイントだろう。

 彼らはこの先も素敵な音楽を奏で続けながら利益を追い求めていくのだろう。どんな面白いことが待っているのかワクワクして待っていることにしたい。

奏歩


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