20歳のソウル

 映画「20歳のソウル」を観に行った。
 吹奏楽が映画作品になることはよくある。吹奏楽人口は多く、人気の高いジャンルだから。
   正直、自分の学校の作品が1番だと思っていたけれど、今回、同じくらい大切にしたいと思う作品に出会うことが出来た。(テイストが全然違うので、比べるものでもないのかもしれないが。)

 20歳のソウルは、吹奏楽経験者ならほとんどが知っているであろう、「船橋市立船橋高校」が舞台。「いちふな」の愛称で親しまれている。私も、例にもれなく憧れていた強豪校の1つだった。実話を元にした感動のストーリーは勿論、出演者に音楽エリートの関西ジャニーズJr.佐野晶哉(Aぇ!group)くんが出るとのことで、公開前から観に行くことは決めていた。
 小説を読んでから観に行ったので、しっかりとストーリーを理解しながら観ることが出来た。小説には小説の、映画には映画の良さがある。それもどこかで語れたらと思う。

 終始ワクワクと感動でいっぱいだった。吹奏楽とは、部活とは、音楽とは、仲間とは、生きるとは……。考えさせられることがたくさんあった。自分の青春時代とも重ねて観ていた。観終わった後の幸福感がたまらない。
 大義君は生前もたくさんの人に愛され、評価されていた人だったけれど、亡くなった後もこうしてたくさんの人に愛され、評価されるだなんて、なんて幸せな人だろうと思う。そして、周りの人も幸せだな、と思う。中井由梨子さんが大義くんに出会ってくれて、高橋先生と市船に出会ってくれて。そのおかげで私たちのところまで届いている。この作品制作に携わった全ての方々にお礼が言いたい。

 映画で何度も言われていたけれど、高校生活は一生に一度。高校の吹奏楽部で一生懸命になれるのも3年しか無い。その3年間で赤ジャのみんなが積み上げたもの、得たものって何だったんだろうと考える。告別式に164人もの人が演奏に集まってくれた。これが、大義君の生前の活躍を物語っている。私がそれをここで語っては面白くないので、皆さん是非劇場へ。

 映画館では物語が進むにつれ、鼻をすする音が増えていった。観る人の心を動かす、素敵な作品であることを肌で感じた。一緒に観に行った吹奏楽部の生徒たちは、序盤から泣いていたようだ。一緒に来られてよかった。もし公開期間が延びたら、今回来られなかった子たちともう一度観たい。

 映画を観ていて思い出したのだが、私は高校時代、市船吹奏楽部にお世話になったことがある。東京での大会の朝、練習場所として市船吹奏楽部の皆さんが音楽室を貸してくださったのだ。千葉県のどこかの学校に行ったな、という記憶はあったものの、遠征の一部分ということもあり、中々思い出せなかった。映画の音楽室を見て、吸音のために壁に敷き詰められたであろう段ボール製の卵パックに見覚えがあり、確信した。
 そして、ふと思った。大義君はもしかして私と同い歳かな。ということは、私は大義君と会ったことがあるのかな、なんて。だとしたら、大義君にお世話になった一人に私も入れてもらえたりして。

 
 改めて、吹奏楽って、部活って、音楽って、仲間って、生きるって幸せなことだなと感じた。日々目の前にある当たり前に感謝しながら、音楽を楽しんでいきたい。
 きっと私は、いくつになっても吹奏楽から離れられないのだろう。だって音楽は生き続けるから。色褪せないから。それを改めて教えてくれたのは、大義君と市船の皆さん。本当にありがとうございます。
 これからも共に、「いい音楽」を。

 
 
 

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