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格付けチェック。大事なのは格付けよりもとらえ方。


以前テレビを見ていたら、コンビニの商品がシェフの舌でテストされ合格するかという番組があった。開発した人が祈るような顔で見る中、シェフや批評家の人達が首を傾げたりしながら食べている。
番組を盛り上げるためか、まずそうな顔で食べている。
「なんかムカつく、めっちゃ文句を言っていた。
それだと番組にならないと思うし、これで不合格でもある程度コンビニの宣伝になっているんだよ。

そう思いながら、ふと次女が幼稚園の時の事を思い出した。

超絶庶民。


その日は次女の誕生日で、夜にかっぱ寿司に行くことになっていた。
かっぱ寿司は家から見えるくらい近くて歩いて行けたし、親はビールも飲める。庶民の味方かっぱ寿司。
高級ではないが、ふつうに美味しいと思う。
次女は朝から楽しみにして、ルンルンで幼稚園に行った。

数時間後、幼稚園の帰りのバスが到着した時、娘はぷりぷり怒っていた。
というか、萎えていた。

「どしたー?」

理由を聞いた。

帰りのバスの中で、「今日誕生日だからかっぱ寿司に行く!」と、友達に自慢をしたらしい。
友達や先生が「いいなー」「楽しみだね」と言ってくれている中で、1人の女の子にこう言われたらしい。

「かっぱ寿司って全然おいしくないよね」
「冷凍って感じ。シャリもまずいし」
「うちのママがよくあんなの食べる人いるよねって言ってるもん」
「ぜんぜんうらやましくない」
娘の反論も虚しく、バスは先に我が家に到着し決着はつかなかった。
肩を落として帰宅となったらしい。
降りがけにその子は「家はお寿司は〇〇しかいかないもん」と、背中からとどめを刺した。

その店はカウンターで食べる、回らない高級お寿司屋さんだった。
よっぽど悔しかったらしいく、塩をかけられた菜っ葉のように萎えていた。

「ねえ?〇〇って美味しいの?」

「そこのお寿司屋さんも美味しいけど、プリンとかデザートは全然ないんだよ。でもおいしいならそっちに行ってみるか?」
「えー嫌だ」

ちょろい娘だった。でも、娘は高校生になった今でも、その幼稚園バスでの出来事を覚えている。中学の時に、給食の配膳中、オカズに「うわ、なにこれまずいよね」なんて男子なんかが、大声で言おうものなら、
「おいしいと思って食べてる人もいるんだから言うな!オレのお口には合わないって言え」と、猛抗議したらしい。
「お口合わない」がクラスの男子で一時期流行ったらしい。

なんでもおいしい舌。


舌が庶民の話は私にもある。
過去に数年、スーパーの魚屋さんで働いたことがある。
全然センスなんかないのだけど、切るスピードが早いという理由だけで、刺身のお造り担当になった。刺身の鮮度とか味は、どんどん食べて確かめろと言われていたが、びっくりするくらい安いものが口に合った。
大間産の本マグロとか、美味しいけれど、醤油に油が浮くような大トロより、ぶつ切りの冷凍マグロが好きだ。
働いている特権で、目の前で生魚を捌いてもらい珍しい刺身も食べたが、結局冷凍の刺身が安心できる。
マイナス20°の冷凍庫でしっかりアニサキス退治をした信頼感がいい。
貰えるならガチガチに凍った刺身の柵が欲しい。つくづく貧乏舌なのだろう。

毎年、年末に魚屋のチーフがする恒例行事があった。
1000円以上する高級な伊達巻と、398円くらいの伊達巻を同じように切る。
2枚ずつ乗ったトレーが配られどっちが高いか当てるゲームだ。
必ず一番先に答えを言わされた。そして私は毎年必ず安い方を美味しいと思った。
「私のお口にはこっちが合います!こっちが高いほう?」
「はーい不正解。今年も舌が庶民だったねー」

これは、おおいに盛り上がった。
残念なくらい庶民的な私の味覚。
でも別に不幸ではない。

なんでも美味しいって思えるのは、すごく幸せだと思う。


        ココ



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