髪型迷子
髪を切った。
行ったのはいつもと違う美容室。
理由は、そこの美容室のヘアスタイルカタログを見た時にときめいたから。
かわいい髪型の画像がズラリと並んでいた。「私もこうなれるのかも」と、年甲斐もなく期待で胸が膨らんだ。
あらかじめスマホに保存しておいた希望のヘアスタイルを美容師さんに見せて伝える。
私が出した希望は「丸みのあるショートカット」。イメージとしては元AKBの篠田麻里子さんみたいな感じだ。あと随分長い間茶髪でいたので、地毛に近い暗めのトーンにしてもらうことに。
美容師さん曰く「縮毛矯正がかかっているから、丸みのあるスタイルはちょっと難しいかも…でも近いスタイルにはできますよ!」とのこと。
少し違ってもいい!かわいくなれるならいいさ!と、わくわくしながら完成を見守る。
とはいっても、私はコンタクトが合わないド近眼のめがねユーザーなのでシルエットのみでしか過程を見ることができない。
「まあ、みんなかわいくなっていたし私もかわいくなれることでしょう」と美容師さんにおまかせしてぼーっとしていた。
おまかせすること2時間。
ようやく完成した。
めがねをかけて生まれ変わったであろう我が姿を見ると…
N〇Kの〇コちゃんに似てる…?
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叫んでも違和感がないくらい。
いや、〇コちゃんはかわいいけどね。
お会計を済ませ、すぐに近くのお店のトイレにこもりリニューアルされたばかりの髪型を観察する。
よく見ると、髪型自体はかわいい。
後ろも横も前もかわいい。
色は結構暗めに入ったけど、1か月もすれば少し明るめにはなるだろう。
なのになぜ違和感を覚えるのか。
ああ、そうだ。
私の顔だと篠田麻里子さんじゃなくて、〇コちゃんになるんだ…おまけに太くて短い首が以前より存在感を増して見える。
鏡越しに「自分の顔面が原因」という現実を嫌というほど突きつけられて、しょんぼりしながらトイレを出た。
ここ数年ストレートのボブにしていて、周りの人たちにも好評だった。でもいつかはショートに挑戦してみたいなと思っていた。が、いざやってみると、私には少し長めのボブが一番似合っているのかもしれないと思えてくる。首の存在感が薄れるし。
「何かありましたらいつでも相談してくださいね!」とニコニコ顔で美容師さんに言われたが、さすがに顔自体に違和感があるという相談には乗ってくれないだろうなあ。
そしてすっかり忘れていたが、今年は年末に免許更新がある。
その時までには少しでも伸びているといいのだけれど…また要らん気を起こしてカットするという暴挙にでないよう気をつけねば。