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不妊治療ヒストリー59 ~判定日までと当日の話~

移植した日から体調の変化に「もしかして?」「これは…!」と
事あるごとに気にして、検索魔と化した。

が、あまりにもそれらしい変化もないのでそのうち検索するのをやめてしまった。放っておくと延々と検索してしまうし無駄に不安を煽るだけだ。

それと同時に、以前予約を入れていた転院予定先の病院から「予約の空きが出た」との連絡が入った。なんというタイミング!
移植をしたばかりであること、判定日は15日であることを伝えると判定結果が出たら連絡してほしいとのことだった。長くて半年~1年待ちと聞いていたが、こんなにも早く順番が回ってくるとは…。


現在の病院から4月5日と10日に注射しに来るよう言われていた。
ホルモン補充の注射だろう。

検索魔と化していた頃、判定日前でも市販の検査薬で反応があるという情報を目にしていたので、ちょっと試してみることにした。移植したのは初期胚なので5日はともかく、10日には少しくらいは反応があるのでは?と淡い期待を胸に注射に行く前に検査を試した。

結果、まっしろ。
角度を変えてみても白かった。

少しは反応してくれてもいいじゃないか。
やっぱりダメなんだ。
いや、初期胚だからまだ反応がないのかも…とグルグル思いながら、2回目の注射に向かった。

相も変わらず痛かった。

腕も心も痛かった。
どうせダメなのに、どうして私は痛い思いをしにこんなことしてるんだろう。きっと看護師さんも「どうせダメなのに」とか思ってるんだろうな、なんてネガティブなことを考えてしまう始末。

悶々としたまま判定日当日の朝を迎えた。
夫には分かり次第連絡すると伝えて出勤を見送り、そのまま検査薬を試すことに。

結果、やはりまっしろ。
驚きの白さだった。

だけどこれでけじめがついた。
病院で最終判定結果を聞いても、ショックはさほど受けないだろう。
もうその時のショックは十分味わった。

大丈夫。

お気に入りの洋服に着替えて、昼頃病院へ向かった。
採尿を済ませ結果を待つ。

待ちながらご褒美は何にしようか、晩御飯は何にするか色々と考えをめぐらす。そうそう、判定結果を聞いたら転院先の病院にも連絡しなくちゃ。

スマホを見ながら時間を潰していたら、1時間ほどして順番が来た。
大丈夫、陰性だってわかってる。
それでも心臓がドキドキしているのが分かる。手が震える。
もう分かっているんだから、最終結果を聞くだけなんだから。ホラ、ご褒美が待ってるよ、そう自分に言い聞かせて診察室のドアを開けた。

明らかにガッカリした雰囲気を出す先生。
「こりゃダメだな」と思いながら、私が席に着くかつかないかのタイミングで結果を伝えてきた。

「ごめんね、ダメだったよ」

最終結果を聞いて泣くかと思いきや、口をついて出た言葉は「でしょうね」の一言だった。いくら覚悟が出来ていたとは言え、もっとかわいげのある言葉はなかったのだろうか。

次はどうするか聞かれたので、転院する旨を伝えた。
なんとなくそんな気配は前々から感じていたのか、そういう患者さんが多いのか大して驚きもせずに先生は申し出を了解した。

そこからは怒涛だった。

転院先の病院へ結果を伝えて直近で予約が取れる日を聞くと、明日だという。紹介状は転院することを伝えた時に現在の病院へ頼んだが、いくら何でもそんな直ぐにできる代物ではないだろう。現に病院へ初診日が明日だと伝えると「ええー…」という反応が返ってきた。先方は後日でもいいということなので出来次第でいいことを合わせて伝えたが、どうやらマッハで作成してくれたらしくその日の夕方には出来上がっていた。きっと他の業務をストップして作成してくれたのだろう。大変申し訳ないと思うと同時に、移植する前にあらかじめ伝えておけばよかったと反省した。

一通り手続きを終えて、一息をつきがてらご褒美を入手しに行くことに。
色々迷ったが、ずっと行きたかったミスドへ。
念願のドーナツをほおばりながら夫と両家へ報告する。

誰も結果を責めることはなく、ゆっくり休めと言われた。
有難いことこの上ない。

大して…というか全然落ち込んではいないが、また頑張ろう。
転院先の病院でダメだったらもう運命だと思って、生きていこう。
そう思いながらドーナツを美味しく頂いた。

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