明治大学国際日本学部と合同ゼミを実施しました
執筆者: 加藤マリア・後藤亮太・藤原佳枝(平山ゼミナール)
明治大学 国際日本学部の皆さんと交流してきました
あなたは「サブカルの聖地」と聞いてどこを思い浮かべるでしょうか? 下北沢、秋葉原などは有名ですが、中野駅前にある中野ブロードウェイもその一つ。その中野ブロードウェイから歩いて程近くのところに、明治大学中野キャンパスがあります。2022年5月18日、先生を含めてたった4人で構成される我々平山ゼミ(担当:平山昇准教授)は、明治大学国際日本学部の眞嶋ゼミと第1回合同ゼミの為に中野に足を運びました。
明治大学中野キャンパス
第1回合同ゼミでは、平山先生の特別講義と、明大で眞嶋先生が担当される授業のグループプレゼン報告会を見学しました。
平山先生は今回、新聞を使った歴史文献の探し方をご教授くださいました。新聞は情報のアップデートが早いので調べたい事象が変化した正確な時期を知ることができるという資料的性質があることも発見でしたが、個人的(後藤)に特に驚きだったのは、戦前の新聞広告は一般人のかなり私的な出来事や呟きなどを掲載していたということでした。例えば「あの人と絶交します!」などという私的極まりない報告が堂々と紙面に載ったりしていたそうです(ちなみに一番多いのは「禁酒宣言」だそうです)。他にも面白くも有益な情報がたくさん盛り込まれていました。
グループプレゼン報告会では、学期末のプレゼンに向けた明大の学生の皆さんたちの中間報告を拝聴しました。眞嶋先生の熱誠指導に食らいついていく学生の皆さんの姿がたいへん印象的でした。
このように第1回合同ゼミは新たな発見と驚きに満ちたものでしたが、実は我々平山ゼミにとっての本番は、この2日後に行われた第2回合同ゼミなのです。
眞嶋ゼミをみなとみらいキャンパスにお招きして
中野遠征の2日後の5月20日、今度は我々が眞嶋ゼミのみなさんをみなとみらいキャンパスにお招きしました。
第2回合同ゼミの献立としては、平山ゼミの学生2人が分担して眞嶋先生の御著書『「肌色」の憂鬱 近代日本の人種体験』(中公叢書、2014 年)を要約発表、さらにそれぞれがこの本に対してどのようなことを考えたかを発表する書評報告、そして眞嶋ゼミの皆さんと本の内容について議論する、といったラインナップでした。
眞嶋先生が書かれた『「肌色」の憂鬱』は、日本が戦前に欧米の人びとに対して抱えていた劣等感や彼らから受けた人種差別などについて書かれていました。日露戦争や第一次世界大戦を経て世界を代表する「一等国」となった日本でしたが、実際には様々な場面で欧米から手厳しい扱いを受けていたことに衝撃を受けました。そしてそれは日本人と欧米人の肌の色や体格などの身体的差異による「人種の壁」が大きく影響していたのです。それでも日本はどうにか欧米列強の仲間入りするために試行錯誤していました。しかしその願いもむなしく1924年、米国で排日移民法が成立してしまいます。その苦しみや悲しみ怒りが、日本を戦争へと突き動かしていく要因となっていきました。私たち学生にとっては、新しい知識であり、議論の時間が足りなくなるほど考えが溢れ、我先にと意見交換を行いました。そのような議論の場に身を置くことができて、とても充実した時間でした。
後半の2大学のゼミ間の議論では、各々独自の視点からの意見が飛び交い、中には異なる人種の人々と接触した経験談なども出てきて、各々の個性や背景に基づく建設的な議論ができました。この、「各々の個性や背景」が議論に出てくるところが、今回の合同ゼミの一番重要な意味だったのかな・・・と考えています。
皆さんは、人種問題に果たして終わりがあるのかどうかを考えたことがあり ますか? 私たちは議論が進み、考えれば考えるほど、なんだか終わりのない暗い道を彷徨っている気がしてきました。眞嶋先生の著書のタイトルにもある「憂鬱」にぶ つかってしまったのです。しかしここで何か特効薬となるような解決策を見つける のではなく、この議題で議論すること自体に価値を見出すことができたと感じました。
「交流」の魅力
平山先生は時々、「いなくてもいい人なんていない」ということを授業の中で仰います。先ほども書いたとおり、今回の交流で私たちは他大学のゼミと交流し話し合う中で、ひとりひとりの「個性」「バックグラウンド」といったものが光るということを改めて感じました。今回の議論に参加したメンバーの誰かひとりでもいなかったとしたら議論は全然違う方向に向かっていたかもしれない。一人の人が周囲に及ぼせる影響力というのは必ずあるということも今回得た大きな学びの一つです。また、明治大学の国際日本学部との交流もこの先恒例化していきたいと思いました。
あの議論の場にいた皆さん全員に、楽しい時間と大きな学びを与えてくれたことに心から感謝致します。
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