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親友それはほぼ恋人

Do you have a bestfriend? あなた、親友いる?
そんな質問を「ティッシュ持ってる?」みたいな感覚で聞くと
「うーん、どこから親友というのだろう」「友達との違いは?」「いると言えばいるんだろうって感じ」「親友の定義って何?」

だいたいこんなふうに至極あやふやっとした切れの悪い返答が返ってくる、事が多い。いるよ、と即答した人は、この人生で何人いただろうか、その数は片手で事足りる程度だ。

私には親友がいる。世界一いや宇宙一ステキな。
今日はそんな話をしたい。



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私の宝物の本。親友著。



あれは私が20才の夏、Rubiiという音楽ユニットでデビューして間もない頃、30分の深夜番組で東野幸治さんとご一緒するにあたり、私の衣装を自分でデザインしたい、でも作れないからプロ、いやデザイナーの卵達と一緒に作ったらいろいろ楽しそうってことで出会った服飾boys&girls、その中の一人がファッションショーをやるから加奈子ちゃんモデルで出てよ、いいよ、じゃあ今度の日曜私の家で打ち合わせね、他にもモデルの子達呼ぶから顔合わせ。

モデルかぁ、みんな美人で背が高くてスタイルいいんだろうなぁ、私なんかで大丈夫かなぁ160ないけどってドキドキしながら向かった卵の家、坂を登りきった所に木のベンチ、気持ちいい青空、女の子が一人座ってアイスクリームを食べていた、おそらくあの水色はガリガリ君ソーダ、”絵になる、一人で食べてる、好き” 心でつぶやいた、彼女の前を通り過ぎて卵の家に入った。

10人くらいいたかな、初めて会う知らない女の子達、それぞれに充てがわれた衣装を着て、メイクしたり髪の毛いじったりキャイキャイしてたら耳に飛び込んできた「誰かクシ持ってない?」の声の方に目をやると、あ、さっきのアイスクリームgirlだ、モデル仲間だったのか、あぁ、可愛い・・・!友だちになりたい、なろ。

「クシあるよー」「あ、ありがとー」「さっきベンチでアイスクリーム食べてたよね?」「あぁ、うん笑」「すごい好き、って思った、名前なあに?」「まどか」「まどかちゃんね、私、加奈子」「加奈子ちゃんね」「今度あそぼー」「うんあそぼー」

多分その後しばらくして、遊んだ記憶。最初は誰かも呼んで、そのうち二人で。一応言っておくと、私はいわゆる普通の女の子で、恋に落ちる相手は男の子、でも思い出すと不思議なのは、彼女に会う時、私はいつもどこかドキドキしていたのよね。まるでデートよ。なぜって、彼女は・・・


とにかく可愛い、とても美人、髪の毛が柔らかくてツヤツヤ、肌が白くて綺麗、胸と太ももがまあるくてセクシー、声が可憐、私の中の男が欲情してしまう程に女らしい女(の子)なのよ。その中身は・・・

思考フェチ。話が合いすぎる不思議。特に人間の滑稽な姿・行動言動についてのツッコミとその心理を紐解く遊びに夜通し興じるフシがある二人。「なぜそうなったのか〜5夜連続〜」みたいな。
大勢での飲み会に二人で行った、誰かの何かに同時に吹き出した、うつむいて肩を揺らし「クックック」と笑いをこらえる私達を誰かが「そこで笑うのは可愛そう(失礼・不謹慎、なんかそのへん)だよ」と言った、それを聞いて目と目を合わせ、また吹き出すといった具合。
また他の誰かはそれを「ブラックだなぁ笑」と苦笑した。性格が悪い、とも捉えられがちなこの視点(リアリストと呼んでほしい)を、彼女は臨床心理士、私は音楽という形に活かすことで生きているから大目に見てほしい。人が好きなだけよ。



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目がいいよね、大型ネコ科。


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だいたい下北沢で飲んでた、motherというアジアンフードなお店でご飯して、マイヤーズソーダ5杯くらい飲んで、タバコが切れたらコンビニ行って・・・なにこのコーン、ちっさいんだけど!うーわちっさ!何を守ってるの、あなたそれで何を守れるっていうの?どれくらい小さいか写真撮ろうよ、サイズ感お伝えするためにタバコ置くわ、でもちっさいから寝っ転がらないと、じゃあ寝っ転がればいいじゃん、地面冷たいんだけど、ほらコーン指差して!あっひゃっひゃ、腹痛いって昼も夜も道にうずくまって笑ってた私達。

京本政樹さんのことを「きよもとまさき」と私が間違えれば
「きょうもとまさきでしょ」と訂正され、それを信じない私が「きよもとだってば!」と言えば言うほど彼女の身長はだんだんと縮み、地面にうずくまって笑う、それを見た私も笑いながら震えた声で「きょうもと・・・」と繰り返しながらうずくまる、だいたいそんな日々だった。


Rubiiを経てspeenaになっても、speenaを経てYvonne Sistersになっても、私の親友は彼女ただ一人、変わらなかった。
月に1回必ず遊んでた、時にはお互いの恋人を交えて(でも私の勝手なのは彼女の恋人を ”私の次” に位置づけていたところだ、私に男性器が生えていなかった事をありがたいと思え)、仕事や男、どんな愚痴でも聞いてくれた、カラオケで「これ最高じゃない?」とCHARAや椎名林檎を歌う私にいつも冷めた顔で「加奈子の方がカッコいい」と、吐くようにつぶやいた。

出会った頃の彼女は小説を書いていて、私はそれが好きだった、いつしか始めたブログもやっぱり大好きで、文才のある彼女に憧れた、自費出版だけど本を出すか出すまいか相談された時、出しちゃえ(私が100冊いざとなれば買うし)、と言った記憶。
女の子なら誰でも頷ける、心の深い所でしっかりと、そんな感情が煌めいている。上からでも力強くでもない、ふわん、と、でも確実に、そばにいてくれるバイブルなのだ。



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ちょいちょい私が出てきます。なつい思い出。



”私の次” の男の子と結婚した、式は挙げなかった、大勢に注目される事が苦手な彼女、ましてや司会なんてものがいたら醒めすぎて笑ってしまうだろう、彼女には似合わない納得だ、子供を産んだ、慣れないながらに母になっていった、その間私はうつ病になって薬を飲んでいた、それでも変わらずそばにいてくれた、そして私があの部屋で死にかけたあたりから記憶は飛んで、実家に戻ってきた私、連絡を取り合う唯一の外界の人となった彼女は毎年、私の誕生日にはプレゼントを送ってくれた。

加奈子、ローラアシュレイ好きだったでしょ、とくれたティーセット、今でも大切に使ってる。
加奈子に似合うと思って、とくれた真っ赤なトップス、夏の友。
私の家族全員が知っている、頼りにしていたであろう、まどかちゃん。
おかげでうちの加奈子はじわじわと元気になりましてございます。



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ひどくない?完全によっぱ、脳腫瘍開け、2年前かな?変わってないのが可笑しくて、楽しい夜だったな。


「また歌えばいいじゃん」「歌うわけないじゃん」「月が綺麗だよ」「なんも見たくねえし」「自分の殻を破るのは自分だよ」「・・・」


「近所の市民プール通ってみようかな」「いいと思う!私も頑張らないと〜」
「仕事決まった、アルバイトだけど」「すごいじゃん!いつも教えてくれてありがとう♡」
「ネイルの資格取ってプロになる」「絶対似合う!いつか私もやって〜」
「私の歌、待ってる人いると思う?」「いると思う、誰より私が待ってる」


「ライブやりたいなと思うんだけど、何をどうしたらいいのかわかんなくて。当時すごく親身に、力になってくれた子がいるの、電話してみようかな」「してみなしてみな〜」(写真のよっぱな夜、横浜飲み)

私の可愛いチビッコ、ムラタマリエに電話(真夜中)して、途中でまどかに電話を代わる(なぜ)。



SNSの名前を軒並み芸名に変えた。少しずつファンの子(ベイビーちゃん)が私を見つけてくれ始めた、言葉でやり取りする度に元気になった、ツイキャスに出た(TV感覚)、インスタで一番初めにあげた歌は高校の部活の忘年会カラオケ、私が恐る恐る世界に歌い出したそのはじめの一歩から今日までのすべてを、彼女は見ていてくれた。
みんなと楽しそうにしている私をきっと、「ほらね」と思いながら、この先もきっとずっと、彼女も私の ”ベイビーちゃん” でいてくれるのだろう。


東京に出て来て、初めて出来た友達。ややもすると恋。同い年。
同じ時代を、時には別々の場所で、そしてまた時には同じ場所で、断言できるわ、しわしーわのおばあちゃんになるまで、死ぬまで一緒に駆け抜けるの、大好きなあなたは私の親友、いてくれてありがとう。


ライブで着るドレス、安全ピンつけたまま送ってくる、
友よ、そういうところが大好きだよ!




読んでくれてありがとう♡すーき。

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