あいだに17ツバメ観察日記5

2月12日(深夜)嬉しい誤算

お互いに一度会っただけだし、その時に一方は仕事中だったわけで、お互いを知ることが次に必要なステップだと月(つき)は思った。
月が彼について知っていることは、彼が店長であること、見た目と苗字くらいだ。
彼が月について知っていることは、身分証に記載されている表面的な情報だ。
そして、一方がナンパをし、他方がそれに乗ったということ。
奇想天外合縁奇縁の面白い状況で、そしてとても素敵な状態だなと月は笑った。

イケメンはLineのかなり早い段階で「月さん」と名前で呼ぶことに決めたようだ。
月は互いのあいだに17歳という驚愕の年の差に多少の自虐ジョークと皮肉を交えて、ツバメと呼ぶことにした。そう、年下のツバメ。
17歳年上の女の誘いに乗ってくる、おそらくジゴロの才能もあるであろう、年下のツバメだ。

その夜、月とツバメは電話で話した。
Lineのラリーを文でするよりも話した方が手っ取り早く、自己紹介や相手のことを知ることもできるだろうと月から提案した。
そしてもちろん、本題のデートの約束をしなければね。

ツバメには、好き嫌い、日々の生活、趣味、興味があることなどを主に尋ねた。
月にとっては人間性のリサーチは常に最優先。
人となりを知って、相手の気持ち良いラインで押すのだ。

ツバメは月のこれまでの人生のことや価値観、月が持つ知識について知りたがった。
なるほど、面白い人格だと月は思った。
若さを無視した引き際の良さと知識欲、そして若さ故の傲慢さが彼の中に同居しているようだった。

月とツバメの会話は途切れることなく、退屈することもなく続いた。
互いの表面的な情報交換、デートの日程や内容はもちろん、ずいぶんたくさんの内面的な話もした。
多くの共通点を見つけ、さらに多くの提供し合える利を互いの中に見出したと月は感じた。

電話越しに話すこと、まさかの6時間。
夜は明けようとしていた。
一度会っただけの相手と、これほどの長時間、一切のストレスもなく話し続けたという事実が、これから何を語り出すというのだろうか。

デートは4日後に決まった。

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