あいだに17ツバメ観察日記3
2月10日〜12日 試練 駆ける3日
年下のイケメンをナンパした翌日、月が導き出したデートへ至るための第一歩は、どのみちイケメンの提案に乗ることからだ、ということだった。
そりゃそうだ。
即ち、店舗に店長さん名指しで電話をかけること。
前日のジョークめかしたお誘いも、相手が仕事中であることを忖度して、あくまでジョークの形にしたし、核心には触れなかった。
なのに、また相手の仕事中の職場に100%下心の私用電話をすることに矛盾を感じる。
あぁ、これはあのイケメンの罠かもな、きっとこうして言い寄るお客さんをサクッと淘汰するのだろう、なんて考えた。
さて、月はどうするか。
逡巡、逡巡、…。
しかし、月が迷った時の選択は、いつも決まっている。
動くか動かざるかならば、動く。
どちらにも失敗が待ち受けているにしても、動いたか動かなかったかで後悔の密度が全く違うと信じていた。
デートの誘いに応じたからには、向こうにもその気がある程度はあるはずだ。
まさか職場の電話で仕事中にデートプランを練るわけにもいくまいし。
決まりだ、月の要件はただ一つ、連絡先をゲットすること。
しかし、仕事中のイケメン店長にいきなり電話でそれを投下する訳にもいかないだろう。
2月10日
お昼休みの時間を狙うも、イケメン店長はお休みのシフト。
2月11日
退社前ならと閉店間際の時間に電話するも、既に退社。
2月12日
2日連続2回なかったご縁は果たして?と疑問を抱きつつも、天命を待つほどの人事を尽くしていないと思い直す月。
名前と電話番号、そして折り返し電話の依頼。
そう、折り返し電話依頼、これをまだやっていない。
月の詰めの甘さは、こういう局面でもろに出るのだ。
さて反省を活かし、午後を狙っての三度目の正直。
やはり店長なので忙しいようだ。
取り次ぎはなかったが、要件を伝えることには果たして成功した。
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