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DMXが死んじゃった。

DNXが死んでしまってなんとも言いようのない喪失感を抱えてる。

そもそもDMXが好きだったかというととても微妙なところだと思っていた。
声はくどいし、スウィズの曲も最初は盛り上がっても慣れると単調で飽きてしまう。近年彼がどんなことをしていたかなんて気にしたこともなかった(全裸ホテル事件はびっくりしたけど)。でも昔は本当にDMXが大好きだった。

私がブラックミュージックを好きになるきっかけは色々あるんだけど、「天使にラブソングを2」のローリンヒルだったり、そして「洋楽」として聴いていたマライアキャリーだったりする。でもそこから辿っていったのはRnBで、HIPHOPはいつまでたっても私にとって難解な音楽だった、

中学時代に交換留学で日本にきたオーストラリア人からビギーのCDももらったんだけどどっちかというとバックコーラスのケリープライスのフックが好きだった。エイベックスのコンピで知ったKRS-ONEのStep in to the worldも良さに気づくのにかなりの時間を要した。

「あくまでラップはRnBの添え物」という楽しみ方をしていた私にHIPHOPの面白さを教えてくれたのがDMXのParty upだった。

一度聴いたら忘れられない野太いシャウト、おもわず口ずさみたくなるフック、シンプルながらも中毒性の高いトラック。

当時は子供だったからまだ知らない、例えば渋谷の薄暗いクラブで流れていそうな音楽だった。とっぽい兄ちゃんたちがシーマとかマジェスタで流してそうな音楽だった。これがHIPHOPだと思った。これがアメリカだと思った。
茨城のかっぺだった自分には本当に衝撃だった。そんなわけでDMXは私のHIPHOP観を変えてしまうくらいの存在だったのだ。


DMXはSwizz beatz率いるRuff ryderzというクルーにいたラッパーだ。Swizz beatsが主にトラックを作っていたんだけど、99年はParty upのヒットもあってRuff ryderzの時代が来たなって感じがあった。
スキンヘッド、マッスルボディ、野太い声に勢いのあるトラック。特にDMXは分かりやすいHIPHOPスター像に当てはまっていて魅了されてしまった。
Party upの他にも"X Gon' Give It to Ya" やら"What's My Name?" やらヒットしていた。スウィズのアッパーな曲ばかり有名だけど、意外とR&Bとも親和性があって泣かせる曲もあった。

実際01年前後のRuff ryderzの勢いはすごかった。スウィズの曲も流行っていたけど、EVEも注目されていた。その頃、ようやく都会のクラブにも行けるようになったんだけど、大箱ではひっきりなしにスウィズのオラついた曲が流れていた。

もちろん、世間はスウィズの他にもヒット曲はたくさんあった。ティンバにネプ。なんだかんだでPuffもソロで名曲を出していた。Ja Ruluの一連のヒット作で台頭したマダーインクも外せない。HIPHOPがビルボードの上位を制覇するようないい時代だった。

私はその直後にNujabesの出現により、アングラHIPHOPに傾倒してしまうので、実はDMXの没落は体感していない。その辺の流れ関しては池城大先生の記事がものすごく詳しいのでぜひ読んで欲しいんだけど、DMXの没落を見ていないからこそ、ずっと私のヒーローで在り続けるような気がする。

荒っぽいパーティーサウンドで、威勢のある声で。筋骨隆々でスキンヘッドの恐ろしい姿で。やっぱり彼は偉大なHIPHOPスターだったんだよって思う。
あーちきしょー。なんで死んだんだよ。
すげー好きだったよ。
DMXの輝いていたあの頃の姿を私は決して忘れない。


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