手編みの素晴らしさ
こんにちは。刺繍作家のKanaeです。
このnoteは、心が動くこと、インスピレーションの元になる、日々読んでいる本や映画の話を書こうと思って始めました。
しかし11月は受注の作品作りだったりで思いのほか忙しく、映画も観に行けませんでした。ガーン。
映画や本ではないのですが、最近夢中なこと。それは刺繍の合間にする、編み物の数々。教室に行ったり、自主練と称して色々な編み物本を買い、自分で出来そうなものを試しに編んでみています。
先日、初めて本を参考に編み図を読んで、仕事の合間にちょっとずつ編んで完成させた、ベスト。この表紙のもので、初めての模様編み。そしてサイドオープンベストなので、肩のとじはあるけど脇のとじも、袖もなく、セーターよりは、ちょっと簡単なんじゃない?と思って編み始めました。
結果、初心者には色々と難しく、1年くらいかかってしまったんですが、このたび、やっと完成しました。DARUMA PATTERN BOOK5の野口智子さんデザインのものです。野口さんのデザインて、シンプルなのだけど糸の選び方や、ニットの細部に気が利いていて、本当可愛いのばかりなので、最近『ナニコレニット』という野口さんといにいにさん、お二人の共著も買い足しました。
今週初めてこのベストを着て刺繍の仕事をしたのですが、本当に暖かい。まあまあ寒い日でも、この時期の東京、室内での仕事なら長袖のロンTなどに重ねる暖かいベストがあれば十分なんですね。
刺繍をするときは手元をずっと見ているので、その度に自分で編んだベストの模様編みが目に入り、それもとっても嬉しいのです。自分が好きなものを自分で作って着る喜び。最初は表編みと裏編みしかできなかったのに、なわ編みや玉編みができるようになった自分の成長。毛糸一本から編み地が出来て、そこから更に編み地を繋ぎ合わせて暖かいニットになっていく過程が、とてもゆっくりだけれど、このゆっくりさが自分に合っているのかも。
元々、産後数ヶ月の頃、毎日朝も晩も赤ちゃんのお世話ばかりしていて、自分自身のやりたい事やアイデンティティを見失いかけていたころ、何か自分のために新しいことを始めたいなーと思って息抜きに行き始めた編み物教室。初めは小物や赤ちゃんの洋服を編んだりしていて、すっかり毛糸の奥深さ、編み物の楽しさにハマったのですが、子が三歳になった今も、冷めるどころかどんどん編み物が好きになっていっています。
もっとスキルが上がって色々編めるようになったら、刺繍の作品にも織り交ぜて行きたいなーなんて。そんなことも思ったりしています。こんなにハマるとは。そしてこんなに自分で編んだものを着ることが幸せに感じるとは。お店に行くと、安くてかわいいニットも沢山売られているこのご時世だけど、やっぱりいい毛糸で手で編んでいるものは全然着心地が違うのでした。
趣味のランニング、早朝のスペインサッカー観戦、編み物、一人で出来る趣味だけど、どれも自分の日々の生活へのモチベーションを高めてくれる。自立とは、親元を離れて仕事を持つことだと思っていたけど、そのまた先の、自分で自分を幸せに出来るって、こういうことなのかもなあと、随分と大人になった最近は思っています。
【今年になって買った編み物の本】
まいにちのかぎ針編み / Ame Life
ナニコレニット / 野口智子といにいに
ガーリー&フリルな編み物 / LIPSTICK NAILS KNITTER
ニットマルシェ Vol.29