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手芸という言葉に罪はない

1月13日(月・祝)に、下北沢BONUS  TRACKで手芸蚤の市というイベントを開催しました。鈴木いづみさん、渡邉紘子さん、sneeuw雪浦さん、あお山ヒュッテさん、Printiloさんと私という、知る人からしたら、みんな知り合いじゃん!というなんとも楽しい会でした。

鈴木いづみさんとは長くお茶飲み友達で、年に何度か、そろそろお茶行く?そろそろ布買いに行く?と集まる仲である。お茶をしながら、いつか家にある大量の手芸用品を売るイベントしたいね、なんて言っていたけど、最初に言い出してからは数年は経っていたので、本当にやるかはわからない感じではあったけど、BONUS TRACKの運営のあいちゃんに相談したらスルスルと日にちと概要を決めてくれた。(あいちゃんいつもありがとう)

最初は、知り合いとかが来て楽しいかな、みたいな気持ちでいて、前日までそんな感じだったけど(イベント前は弱気になりがち)、当日イベント会場には25名もお客様が並んでくださっていて、それはもう大盛況。写真もあんまり撮れなかった。

開店前のお客さま。寒い中ありがとうございました。

手芸蚤の市、というのは鈴木いづみさんが考えてくれたタイトルで、このタイトルも良かったんだろうなあと思う。いつもイベントの集客というのは緊張するものだけど、共通の知り合いやお客様も多かったりする、この6組だったから、覗いてみようかな?と思った方も少なくなかったんじゃないかと思う。出店のみんなとも、こんなに手芸に興味がある人が沢山いるんだね、なんてしみじみ話していた。

一人で刺繍をしながらの販売はなかなか
ハードでした。立ち寄ってくださったお客様とあんまり
お話しできなかったことが心残りです。

イベントを主催してくれたいづみさんの作品たち。なかなかこんなに沢山見られることはないので嬉しかった。

私のブースでは刺繍BARと言って、お持ちいただいたお洋服に刺繍をして変身させるワークショップをしました。販売していたサンプル品や、アトリエで
眠っていた布なども沢山あったけど最後はほぼゼロに。ありがとうございました。

渡邉紘子さんのブースは、小さな展示会場のように素敵でした。会場が落ち着いた頃に遊びに行ったらほとんど何もなかった!泣

あお山ヒュッテのブースは、一番品数があった気がする。ヴィンテージのお洋服から、小さなパーツなどの手芸材料まで。写真からも活気が伝わりますね。

手芸という言葉については、実は色々と考えたことがあって、その身近さ、親しみやすさから、アートよりも軽んじられやすいところがあると思う。英語だとクラフト、でいいのだろうか。イギリス留学時代、美大の先生にもクラフトっぽすぎるとお叱りを受けたことは何度もあったように思う。手芸、クラフトには手作り、温かみのある、のようなポジティブな意味合いから、プロではない、とか、洗練されてない、というような、少しマイナスな意味も含まれている気がする。

先日、沼津のRIVER BOOKSという本屋さんで買った本に、Knitting’n Stitching Archivesという本がある。そこには、愛知県で『港まち手芸部』という活動に参加している、あらゆる世代の方達の作品と、生き様が記されていた。

読んでみると色んな人のパーソナルな手芸の歴史がそこにある。花嫁修行だったり女学校で編み物や洋裁を習い、結婚した後もずっと家で続けている方から、手芸店を営んで、余っている毛糸でなんでも編んでお洋服にしていく方など。スキルは高いのに、どの方も控えめで、自分の技術で稼いだり、自分が手芸のプロであると言ったりしている方はいないようだった。

そもそも、プロであることは、アマチュアであることより優れているのだろうか。
アートは手芸よりも上なのだろうか。
資本主義的な視点から言うと、きっと沢山時間がかかるのにお金を生まない手芸は、社会の中でそんなに重要とされないことはわかる。でもそんなふうにヒエラルキーで物事を考えるのは、なんだか悲しいことのような気がする。
それは家庭で行われる家事や育児が、社会的な、資本主義的な活動よりも、誰でもできることのように捉えられたり、軽視されることと無関係ではないと思う。

今振り返ってみても、自分が美大で勉強したことが無駄だとは全然思わないけど、私自身は家庭で作られた作品の、ちょっと隙のある雰囲気が好きだ。利益のためじゃないからこそ、たっぷり時間を掛けられることだって沢山ある。そもそも私がこの道に足を踏み入れたのも、当時好きだった雑誌Relaxの手芸部、と言うページが好きだったからだった。全然アートじゃないじゃん!手芸大好きじゃん!

ワンピースブランドを営む花びらさんという友達とも、家庭的な作り方、アプローチを大事にしたいよね、と言う話をしたことがある。具体的に何が家庭的と言うかは人それぞれだけど、私には丁寧に作ること、素直な気持ちで作品に向き合うこと、生活も大事にすること、大量生産じゃなく、本当に好きな人に届けること、、なんかを思い浮かべていた。

著 宮田明日鹿さん 
ELVIS PRESSの本は素敵なものが多くて
この本も私の宝物になりました。

アートでも手芸でもファッションでもいい。その時に自分が作りたいと思ったものをのびのびと作る年にしたい。作品がアートか手芸か、それを決めるのは作品をみる人に委ねたらいいんじゃない?と思う。控えめになんてならなくていい。自分の手を動かして、可愛いもの、面白いものができたら、誰かに見せようよー!と思う。私も沢山見せるからさ。

長い文章にお付き合いくださりありがとうございました。

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最後にお知らせです。今月は三軒茶屋のアトリエにて、刺繍のレッスンを開催します。ご興味のある方は、Instagramの@kanaeembroideryまで、DMにてご予約を承っております。

刺繍ワークショップ
くまと朝食の刺繍のレッスン

画像の6種類の図案の中からおひとつお選びいただき、ポーチに刺繍していきます。刺繍糸は当日、お好きな色をお選びください。


日時 

1/24(金)13.00- お席に余裕があります
1/25(土)11.00- お席に余裕があります
1/28 (火) 11.00- 残り1席
2/1(土)13.00- 残り3席
2/2(日)13.00- 残り2席

参加費 6000円 (材料費込み、お茶とお菓子、ワークシートつき)
定員 4名

持ち物 お持ちの方は糸切りばさみ、刺繍針、刺繍枠(お持ちでない方は無料でお貸出しします)

場所 kanaeのアトリエ
東急田園都市線・三軒茶屋駅より徒歩10分くらいです(以前のアトリエの近くです)ご予約をいただいた際に、詳しい住所をお伝えします。



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