梅切らぬバカ 感想

梅切らぬバカ、という映画を観てきました。自閉症の息子とその母親の暮らしを描いた映画です。ネタバレになっちゃうかもです。御了承ください。


加賀まりこが母親役、塚地(我が家では塚っちゃんと呼んでいます)が息子を演じていました。淡々とした映画で、こういう映画によくある涙とか感動とか見せ場とかがなくて、お涙頂戴じゃないところに好感が持てました。

わたしの弟は自閉症で、塚っちゃんの演技にはちょい辛口で観ようと思ったのですが、手の動きとかこだわりが強いところとかがリアルで、映画だからの演出も少しあったけど、塚っちゃん頑張ったな、と思いました(偉そう)

塚っちゃん演じる忠さんが50歳の誕生日を迎え、わたしはつい自分の弟と重ねてしまい、弟が50歳になる頃はわたし52歳だな、普通に元気だと思うし、ちゃんと誕生日を祝ってあげたいなって思いました。

忠さんは、ただ馬が好きで、悪気はないけど近所の人たちからは良く思われてなくて。住宅街にあるグループホーム入所したけど上手くいかなくて。映画の中ではグループホームの存在自体が疎まれている。わたしは弟が自閉症だから、どうしても障害者は怖い、危険だと思われるのがとても悲しいけど、何も知らない人から見たらやっぱ怖いし、変質者として扱われるんだなと思う。実際、わたしの弟も塀の上を声をあげながら歩いていたら、警察官が来て、不審者になっちゃったこともありました。本人としてはただ高いところを歩きたかっただけなんだけど、他人から見たら変な人、危ない人なんだなぁって思いました。悲しいけど。

映画ではやっぱ加賀まりこがすごかったです。全然湿っぽくないの。泣くこともないしサッパリしてて、ただ息子と暮らしてる母、それ以上でもそれ以下でもないわ。というスタンスでした。

わたしがちょっとだけうるっときたのは、帰り道で廃品回収の車が通りかかったとき、塚っちゃん演じる忠さんが「構いません。壊れていても構いません」と言ったところで加賀まりこが忠さんを抱きしめたところです。ちょっと、涙ぐみました。

でも他はただ、親子の暮らしが続いていくだけで、日常ってこんな感じだよね。何か劇的なことも起こらないし、誰がかわいそうだとかもないし、世界の隅っこで、親子は暮らしている。それだけだよ、という映画でした。

加賀まりこのインタビュー記事を読んで、「理解してくださいとは言いません。ただ、微笑んでくれたらいいんです」というようなことを言っていて、そう!ヘンテコかも知れないけど、出来たら微笑んで見ていただきたいな、と思いました。


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