1ヶ月50冊読書 【4日目】
『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』(菅野仁、ちくまプリマー文庫)
少し前に流行った覚えがある。ひねくれ者なのですぐには読まない。おかげで積読として眠っていた。
「友だち」だけでなく人と人との関係とはどうしてこうも難しいのだろう?
どんな人も生きていて他者と関わる以上、一度も摩擦が生じないことなどないのだから過度に恐れる必要などないはずなのに。自分がどう思われているか不安に思う。
この本はそんな不安で強張った肩の力をふっと抜いてくれる。
「人はどんなに親しくなっても他者なんだということを意識した上での信頼感」を構築するのが大切なのだと教えてくれる。価値観が全く同じならもはや他者ではない。価値観が違えば傷ついたり苦い思いをすることもある。無理に付き合う必要はなく適度な距離感を保つこと。
傷つくことへの耐性が薄れているから、一度のダメージが大きくなる。傷つくのは当たり前と思えば傷の治りも早かろう。必要以上に人とのつながりを恐れるのは精神衛生上よろしくない。と自分に言い聞かせてみる。
『歩道橋の魔術師』(呉明益、天野健太郎 訳、白水社)
台湾の作家、呉明益さんによる小説。
今はなき中華商場という商業施設(というよりむしろ一つの町のような場所)を舞台として過去を振り返る形で物語られる。幼い頃に過ごしていた場所は断片的だけれど強く記憶に残っている。そんなノスタルジーの湧き上がる場所としての「中華商場」、その棟と棟を結ぶ歩道橋の一つにくたびれた魔術師がいた。誰の記憶の中にも彼は登場する。普段は子供騙しのようなマジック道具を売っているが、時折信じられないような魔術を披露する。
その魔術は本物なのか、時を経て埋められた記憶なのか。
雑多な店、人で溢れた少し仄暗いそこには時として苦い思い出も眠っていた。この小説がそうであるように暴かずにそのままでいるのがいい。
おまけ
『ベランダは難攻不落のラ・フランス』(衿沢世衣子、イースト・プレス)
読書の合間の休憩に読んだ漫画。
少し前に書店で見かけて気になっており、今日また見つけたので購入。
事前にあらすじもイラストのタッチも知らずに読んだ。惹かれたのは表紙にでかでかと書かれたタイトルの訳の分からなさ。
私ではない誰かが経験しているかもしれない通り過ぎる日常のような話とファンタジー要素の強い話が混在していてまさに難攻不落(?)
おもしろかったです。
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