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入管法の上陸拒否について①_20231111

1:上陸の手続きとは

日本に入国しようとする外国人は、到着した空港において入国審査官による上陸審査を受けなければなりません(入管法6条等)。

上陸審査において、上陸許可要件を満たしていると判断されれば、在留資格が付与され上陸が許可されます。
しかし、上陸許可基準を満たしていない(疑わしい)と判断されたときは、別室にて特別審理官による口頭審理を受けることになります(入管法9条6項等)。
口頭審理の結果、上陸許可要件を満たしていると判断されれば、すぐに上陸許可が出されます(入管法10条8項)
しかし、上陸許可要件を満たしていないと判断された場合、外国人はその認定に対して異議を申し立てるかどうかを選択することになります(入管法10条10項)。
外国人が異議申し立てを行わない場合は「退去命令」が出されてそのまま帰国することになります(入管法11条)。
一方で、外国人が異議申し立てを行った場合は、法務大臣が改めてその外国人の上陸を認めるかどうかを判断します(入管法11条)。
この判断は下記3種類のいずれかになります。

①上陸許可要件を満たしているため、上陸を許可する
②上陸許可要件は満たしていないが、特別に上陸を許可する
(上陸特別許可)
③異議申し立てには理由がないとして、異議申し立てを退ける

法務大臣の判断が①もしくは②であれば上陸が許可されますが、③と判断された際には改めて「退去命令」が出されます。
退去命令が出されているにも関わらず、外国人が退去命令に従わない場合は、そのことが退去強制事由となり退去強制手続きが進められます。「退去強制」の対象となった外国人には上陸拒否期間が設定され、日本に上陸することができなくなります。
また、上陸を拒否された場合、その上陸拒否事由が薬物の不法所持や武器・弾薬(銃砲・刀剣類・火薬類)の不法所持であった場合は1年間の上陸拒否期間がありますが、その他の理由による上陸拒否であれば上陸拒否期間はありません。
一方、退去命令に従わないことにより退去強制令書が発布されると、上陸拒否期間は5年になります。

2:上陸許可の条件

(1)上陸許可要件
上陸審査時に審査される事項は以下のとおりです。
①旅券が有効であること(入管法7条1項1号)
②査証が有効であること(入管法7条1項1号)
③在留資格該当性が認められること(入管法7条1項2号)
④本邦で行おうとする活動が虚偽でないこと(入管法7条1項2号)
基準省令に適合していること(入管法7条1項2号)
⑥在留期間が適合していること(入管法7条1項3号)
⑦上陸拒否事由が存在しないこと(入管法7条1項4号)

これに加えて、上陸審査の際には個人識別情報(指紋情報と顔写真)を提供しなければなりません。
外国人がこれらの情報を提供しない場合、上陸許可要件を満たすか否かを問わず、特別審理官による口頭審理の対象となります(入管法7条4項)。

(2)上陸許可要件の解説
①旅券が有効であることは入国の要件です。例えば、偽造された旅券を持っての入国は不法入国であり退去強制事由に該当します(入管法3条1項)。
②例外として、日本が査証免除協定を締結している国から「短期滞在」の在留資格で来日する外国人は査証不要です。日本人が海外旅行に行く際、多くの国ではノービザで入国できますが、これも査証免除によるものです。
③外国人が日本において行う予定の活動(職業等)や外国人の身分(日本人の配偶者であること等)が、在留資格の要件に該当していることが必要です。
④在留資格の前提となる事実が虚偽ではないこと。例えば「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に滞在する場合は、当該外国人と日本人との結婚が真実の結婚であること(偽装結婚でないこと)を意味します。
⑤入管法7条1項2号の省令です。実務では「基準省令」や「上陸許可基準」と呼ばれています。
⑥外国人が申告する滞在予定期間が、その在留資格に定められている在留期間に適合していること(入管法7条1項3号)。
⑦上陸審査において上陸拒否の根拠となる法定事由です(入管法5条1項)

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