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バイト先にきた外国人女性を救えなかった話

こんにちは。[かなで]です。

今日の話の舞台は、私が働くお弁当屋さんです。

私は大学生なので、お金がありません(再三)。なので週3-4、ここでバイトをしています。

ちょうど2週間前くらい、私が厨房でお弁当を作っていると、レジに立っていた子から

「外国人が来てるから〇〇(私の本名)さん、対応してほしい」と言われたのです。

レジに行ってみると、南アジア系の若い女性、見立てだとおそらくスリランカの方が、オドオドした様子で何かを伝えようとしていました。

その女性は習いたてであろう日本語を使って、

「ここではたらきたいです」

と言いました。

うーむ。なるほど。私の働くお弁当屋さんは、誰もが知っている大企業が経営しているところで、店頭でバイトを受け付けてはいなかったのです。

インターネットで申し込みをして、担当者とやり取りをしながら面接、合格したら研修を踏んで正式採用という流れになっていたのです。

また、外国人採用も行っていましたが、業務上、かなり高度な日本語が求められていて(日本語能力検定1級相当)、ほとんど採用していないといっても過言ではない状況でした。

私は、その外国人女性に対して、上述のような流れで申し込んでほしいと伝えましたが、あまりよくわかっていないようで、LINEを開いて「ばいともうしこみ」と検索していました。

「ごめんね、そうじゃなくて、インターネットで検索してほしいんだ」

そう伝えても、彼女は理解していないようでした。

私が苦戦していると、奥の方からベテランの従業員がこう言います。

「喋れねえなら早く帰ってもらえ」

たしかに、他のお客さんもいる中でずっとこの方に時間を取られていては、通常営業に支障が出てしまいます。

私は、紙の端に会社の電話番号を書いてその女性に渡しました。

「ここに電話をして、働きたいと、伝えてください」

そう言いました。

すると彼女の表情は、ぱぁっと明るくなって、

「ほんとうにありがとう」

そう言いました。


私はその日、全く仕事に集中できませんでした。

おそらく、あの日本語の能力だとここで仕事を貰うのはまずできない。そしたら、彼女はどうするのだろうか。それを彼女に伝えるべきだったのだろうか。伝えて、他に仕事を探せるアプリやサイトなどを教えるべきだったのだろうか。

全く知らない言語を必死で覚えて、全く知らない土地で一人、朝から夜まで働いて、家族を養うためのお金を貯める。いわゆる、「出稼ぎ」というやつだ。日本で働く外国人の若者の中には、そういった人たちがたくさんいる。

彼女もそうだったのではないのか。

だとしたら私は、そんな背景をもつ彼女に対して親切に対応したと言えるのだろうか。

いや、言えない。

私は、結局彼女に対して何もしてあげることができなかったのです。

日本人として生まれた私たちは、日本語さえ話せれば、月に生きていく以上のお金を簡単に稼ぐことができます。

でもそれは、当たり前ではない。
世界は、それができない国の方が多い。

私は、世界を変えたい、なんて仰々しいことを言うつもりはないのですが、そういった人を前にして素通りしたり、知らんぷりすることはできません。

それでも、困っている彼女に対して何もしてあげられなかった。

この出来事は、それから数日経った今でも私の心の中に鉛のように沈んでいて、これから就職活動を始め、将来についてより深く考えなければいけない私に対して、ひとつのテーマを突きつけているような気がしてなりません。

タイのローカル食堂。深夜まで仕込みを行う店主。
家族もそれを支えるが、
1日の売り上げは1-2万円ほどで、生活が苦しいという。


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