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非凡でなくともプロダクトは平凡にしたくないプロダクトマネージャーへ

この記事は 「Product Manager Advent Calendar 2019」 最終日の記事です。24日目は@okutakuさんによる「自分が欲しいモノを創る」でした。

こんにちは。
エウレカでVP of Pairsをつとめている@kanadadadaと申します。

このnoteでは2019年のプロダクトマネジメントを振り返って2020年について考えてみるをテーマに好きなことをただ書き連ねようと思います。

2019年の日本はプロダクトマネージャーの拡大期

Product Manager Conferenceが今年2019年も開催されました。想定来場者が1,200名。2018年がおよそ650名だったことから考えると約2倍です。

「プロダクトマネージャーと何か、その役割は?」そんな悩みに答えるスキル・役割の明確化についてのセッションも人気でした。

裾野が拡がっているんだなぁと感じています。

拡大期のあとに来る細分化・専門化

このカンファレンス後、@yohhatuさんに裾野が拡がっている話をした際にスクラムマスターも同じようなところがあると話を聞けました。

スクラムマスターもかつてスタートアップ創業者(主にCTO)の専売特許だった。だんだん色んな人がその仕事を担うようになり、役割やスキルの明確化が進んだ。
プロダクトマネージャーもそうなのかもしれない。スタートアップ創業者(主にCEO)の専売特許だった時代は終わりを告げて、創業者的プロダクトマネージャーと専門家的プロダクトマネージャーに分かれることになるかもしれない。

ここで話をしていた2つのプロダクトマネージャー像を無理やりまとめるとこんな感じになります。

創業者的プロダクトマネージャー
・市場、自社の関係を見据え、常にその間を繋ぐためのプロダクトを定義する役割
・外部環境と自社の間をプロダクトで繋ぐために必要なモノを見抜くセンスを有していることが重要で、必ずしも特定のスキルを保有していればなれるものではないかもしれない

専門家的プロダクトマネージャー
・創業者的プロダクトマネージャーの元に共感と共に集まり、自らの知見やスキルで彼らを支える役割
・創業者的プロダクトマネージャーが持つ切り出し可能なスキルを担う人材なので、スキルチャートでそのスキルや役割が定義ができる可能性が高い

日本で細分化・専門化のトレンドは進むだろうか

2020年は2019年よりある程度の細分化や専門化も進むのではないかと考えています。先の話以外にこの答えに至った興味深い出来事2つを紹介をさせてください。

1つ目はUSのプロダクトマネージャー事例の発信で有名な@Haruki_Soneharaさんに、日本がUSにおいて遅れていることはあるか?と質問をした際にいただいた時の答え。

USでは非常に細分化が進んでいる。ドメインでの切り方もそうだしフェーズ別にプロダクトマネージャーのJD(Job Description)は分かれている。

領域が細分化されているが故にエキスパートが育ちやすく、各人の強みを活かし合って1つのプロダクトを成長させることができる環境があることが細分化のメリットだと仮定した場合、確かにこれは強い。

1プロダクトに1プロダクトマネージャーの知見・スキルのみを投下することのリスク - 例えば10→100フェーズに0→1の人を呼ぶのは、素人を呼ぶのと同然ということ - を彼らはよく分かっているのかもしれないです。

2つ目はSmartHRさんのPMM職の新設の話です。

プロダクトマネージャーが持っている役割を切り分けて別の職種にするといった動きが日本でも見られるようになりました。PMMの詳細な説明はここでは割愛させてもらいます。

重要なことは、今まで手広く見てきたプロダクトマネージャーという職業の仕事を切り分けて細分化するような動きがこの日本でも見られてきたということです。

どう切り分けるかはそのプロダクトが直面している課題、産業構造、フェーズ、ポジションニングそして組織構造によって変わってくるでしょう。決してすべてのプロダクトにPMMという職業が到来するということではなく、切り分けが進むトレンドが来るかもしれない、そしてその準備をしておいた方が良いということが真にお伝えしたいことです。

プロダクトマネージャーは非凡なスーパーマンなのか

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これは先日年末年始の課題図書を整理していた時の写真です笑 なんと幅も広く、量も多いことをインプットせねばならない仕事なのだろうと考えてしまいます。

Mini CEOという言葉で形容されることもあります。それだけ重い責務と広い視野が問われるということなのでしょう。

しかし人間ひとりの時間は限られています。全てに同様にBetすることが自分のプロダクトの成功への近道ではないことは誰もが分かっています。だからこそ皆何をしたいか知りたがっています。非凡な才能とスキルを手に入れたいと考える人もいるかもしれません。

実はわたし個人も焦っていました。というか今も焦っています笑
プロダクトを更に大きくするために足らないスキルがあり、そしてそれを1から習得している時間もない。

実はこの状況がMini CEOと呼ばれる所以でもあるのではないかと、先日及川さんにこの記事を通して教えていただきました。

そもそもプロダクトとはなにかを考えてみたいと思います。プロダクトというと、例えば日本語だと製品や商品というかたちで考えられます。実際には製品を作る人がいる。(スライドを指して)これは作る人が中心になっているので、開発とわざわざ書いていませんけど、それ以外に売る人やマーケティング、広報など、いろんな部隊がいます。
事業の核に製品プロダクトがあったとしても、それを周りが支えるという考え方が従来のものでしたが、現在は右の図のようなかたちになっていると考えられます。
例えばふだんみなさんが使うようなプロダクト、サービスを考えてみてください。デジタルのオンラインでのマーケティング的な活動。実際にそれから使いだして、その後なにかわからないことがあった時に問い合わせますよね。
例えばWEB系のサービスやスマートフォンのアプリケーションであるならば、そこが一体化していることがわかるのではないかなと思います。そもそもその製品をどこで見つけたのか? 昔はテレビCM、雑誌の広告、新聞の広告などだったと思います。
しかし今はオンラインで友人から紹介されたり、オンラインの広告を見たというところから動線が張られ、サインアップしてユーザー登録をして使い始めます。その時、果たして広告、マーケティング的なところから製品の導入に至るまで、ここに境があるでしょうか? 実際にはないと思います。
こういったかたちで、今はプロダクトがニアリーイコール、ほぼ事業と言われているものに等しくなってきている時代になっています。
(中略)
このようなプロダクト、もしくは事業に等しくなってきているプロダクトを考えた時に、どういったことが現代の企業では必要かを考えますと、(スライドを指して)ここにあるビジネス・テクノロジー・クリエイティブの三軸だと言われています。
これはBTC(ビジネス・テクノロジー・クリエイティブ)モデルといって、日本でTakramというデザインファームの田川(欣哉)さんが提唱しているものです。昨年は経産省でこういったデザイン経営のプロジェクトがありまして、そこにも同じく田川さんが出ています。
(中略)
プロダクトマネージャーには、この3軸のバランスをうまく取っていく役割が求められます。企業によってはある1軸、例えばクリエイティブ専属のデザイナーがいないといった時に、プロダクトマネージャーはその穴を埋めるような役割をしないといけません。
ビジネスサイドのドメイン知識が必要だったり、ある業界での規制や市場構造、産業構造を知らなければ成り立たないような場合には、プロダクトマネージャー自身がその部分の専門家になることが求められる時もあります。

プロダクトと事業が切り離せなくなった社会が到来した結果として、プロダクトマネージャーがBTCの3軸をバランスを持って舵取りをしていかなければならないだけでなく、必要なスキルが自社にないのであれば自らがそれを補うべきということを仰っています。

プロダクトマネージャーに課せられた責任はとてつもなく重いのです。

非凡でなくてもプロダクトは平凡で終わらせたくない

及川さんのお話を呼んでいると非凡なスーパーマンを求められる気がしています。

コレに対して現在のわたしは以下のように考えるに至っています。

①自分が創業者的プロダクトマネージャーならプロダクトと自社だけを見てはいけない。社会と自社を結んで、築きたい関係を描きプロダクトのビジョンに落とすこと
② 1で描いた関係に近づくために足りないスキルをいかに借りてくるか、誰か自分より強い人に補ってもらうかを考えて、必要な時に必要なスキルにBETできるようにしておくこと
③もしくは、2でBETされるような専門的スキルを身につける人になること

図で描くとこんなイメージです。

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いったんあの有名なプロダクトマネジメントトライアングルで描かせてもらいました。創業者的存在はBTC3箇所を常に見ている必要がある一方で、各出っ張りはそれぞれの専門家的存在のスキル/知見を引き出す役割に徹します。

三角形が四角形に変わっても対応できるようにする

まだ創業者的プロダクトマネージャーはスーパーマンのイメージがあるかもしれませんが、基本的には役割の細分化と分割によってかなり渡していくイメージです。少なくとも1日24時間の限界突破をしてまであらゆる知識習得、仕事を引き受ける必要がある、と考える必要はありません。チームメンバー全員で得意なところをカバーしていけばいいですし、チームメンバーが何が得意で何が好きかを知っていることが責務にもなります。非凡なプロダクトを創りたいのであれば、チーム全体で突破すべきスキルを身につけていくことが重要です。

創業者的プロダクトマネージャーが答えなければいけない問いは、三角形に一個角が増えて四角形になった社会を見通して、自分のプロダクトに必要なスキルを自社というチームに取り入れられているか、になります。Hiringすべき時にHiringするスキルと人材を間違えないことです。

特定のスキルにBETするよりも常に社会の変化を見て、BETする機会と人材に目を光らせておくことが重要になります。逆に社内に留まってウンウンと数字だけを見ているようではいけないかもしれません。誰か代わりに創業者的動きの人を入れるか、自分がその動きになれるよう社内を守ってくれる専門家を作る必要があります。

ここまでの話をいったん図にしたのがこちらです。

スクリーンショット 2019-12-24 14.58.24

なんだか怪しい図になってしまいましたが......
社会と自社の間に結べる関係(線)は無数にあって、その中でどんな線があって自分たちの製品はどこを繋いでいるのかを適切に設定していることが必要になります。社会と自社が変化するとき関係性が変わる可能性もあるので、チームがBETすべきスキルに変遷が生じたり、新しい製品を投じる必要あることを常に念頭に置かなければなりません。

戦略はセンスでつくり、センスは知識によって磨く

創業者的プロダクトマネージャーはスキルチャートで語れる存在ではない、というのがわたしの考えです。

そんな創業者的プロダクトマネージャーでもBETした方が良いと考えているのが、古今東西の戦略に関するインプットです。

あなたのプロダクト = ビジネスが直面した課題は過去〜現在を含めて必ず誰かが直面しています。そのためのインプットをして知識を付けましょう。知識を応用するセンスも磨かなければなりません。この戦略を構築するセンスがあなたのプロダクトを社会と自社の間にどう置くか、そのためにどんなスキルにBETするかを決めると考えているからです。

偉大な経営者の考え方や採った戦略を徹底的に知ることは自分の力になります。

CAを成長させ続けてきた藤田さんの考えが話題になってましたが、TwitterなどSNSもその宝庫です。どこまでが本当か分かりませんが。

戦略に関して、ベースとなる考えは楠木 建先生のストーリーとしての競争戦略の「戦略はスキルではなく綜合=シンセシス」という考え方と、水野学先生のセンスは知識からはじまるなのですが、残念ながら今回、これをnoteにまとめるだけの整理の時間を準備できませんでした...笑 また別の機会に筆を取ることにします。

まとめ

・2019年日本はプロダクトマネージャーの拡大期だった。
・2020年プロダクトマネージャーは細分化と専門化のトレンドをたどるかも。
・特定のスキルにBETする専門化的プロダクトマネージャーと横断的にBTCを綜合する創業者的プロダクトマネージャーは分かれるだろう。
・非凡なプロダクトを創るためにそれぞれの個性を活かそう。プロダクトマネージャートライアングルを一人でカバーするのではなく、チーム全員でカバーしよう。

あとがき

・創業者型も、専門家型もそのプロダクトを成長させたいというマインドを持っていることは前提に書いてます。
・専門家型のキャリアについて書く時間がなかったのでまたどこかで書きたいです。
・ちなみにわたし自身は現在、創業者型に身を置くよう努めています。足りないスキルを今年コンサル契約で一気に補うなどで大きなメリットが得られたため今回のような考えに至っています。
・戦略に関する知識収集に特化した結果、年末年始の課題図書は4冊まで減りました。この過程だけでもnoteにかけるかもしれないのでいつかまた。
・専門家的プロダクトマネージャーは、もはやプロダクトマネージャーでなくてもいいと思っています。Data Sceientist、UX Designer、Product MarketerなどなどBTCの各面に特化した人材であればすべてに適用できる考え方だと考えています。
・もっと社会と自社を結ばなければならないという気付きからエウレカのプロダクトマネジメントも「もっと顧客対話型でなければならない」という方針を強く打ち出しています。それが今年のProduct Manager Conferenceの登壇資料にまとめられています。もっと深く知りたい、聞きたい、手伝ってもいいよという方はぜひ@kanadadaまでご連絡ください。


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