腎細胞癌 1:人間ドック

人生初の人間ドックを受けました。

昨年から夫の扶養を抜けて、自分で社会保険に加入したためです。
会社や保険団体にもよるのでしょうが、被扶養者と被保険者では、無料で受けられる検診の内容が違う。

被扶養者のときも、もちろんお金を払えば人間ドックを受けることはできるのですが、その金額がなかなかなもの。
それに、一般検診は毎年受けていたし、婦人科検診の有料オプション(子宮頸がんとか乳がんの検査ね)もプラスしていたので、まあ世間で推奨される一般的な健康チェックはできてるだろう、となんとなく思っていました。

結論からいうと、私の場合は、まったくそんなことなかったです。

人間ドックの最後に医師による問診があったのですが、呼ばれて部屋に入るなり、先生は険しい顔。

(あれ、これはなんかあったな……)

つい先日、知人に「健康診断で一度もひっかかったことない」なんて伏線はるようなことを言ってしまったからか?

乳がんかな、と思いました。
乳房のエコー検査がやけに丁寧だったので、検査中から気にはなっていたのです。
女性は二人に一人はかかる病気だというしね。
だからこそ、私も毎年、乳がん検診を受けていたのだし。
そうか、とうとうきたか。

「これ見てください」
とエコー写真を指ししめす先生。
「腎臓に腫瘍があります。3cmくらいの」
「?」
ここ、と言われたが、さっぱり見方がわからない。
ていうか腎臓?
腎臓ってなにする臓器だっけ? どこにあるやつだっけ?

混乱していると、いろいろと質問されます。
「最近、体調で変わったところは?」
「特には」
「これまでに腹部エコーを受けたことは」
「たぶん、ないです」
一瞬、あります、と答えそうになった。
腹部エコーは、お腹にプローブと呼ばれる棒みたいなのをグリグリしながら超音波を当てて、中の様子を画像化するという検査。
何度もやってる気がしたが、私がこれまで受けてきたのは妊娠時の胎児をチェックするエコーだ。検診でやる腹部エコーとは、きっと見る場所が違うからノーカンのはず。
それ以外の、検査としての腹部エコーは、そういえば記憶にない。
「喫煙も飲酒もないんだよね」
「そうですね」
タバコはもともと吸わないし、お酒も、妊娠出産でここ10年ほどまともに飲めていない。

うーん、と腕組みする先生。もう一度エコー写真を見ながら
「でもあるね、腫瘍。2.8cm、いやもうちょいかな」
と、はっきりとおっしゃった。
そんなに断言しちゃうってことは、相当確実なんでしょうね。
そして、先生のご様子から察するに、悪性の可能性が高そうだ。
「血尿は出てないよね?」
「ないです。目に見えるものは、出てないです」

ここの検査結果を持って、必ず泌尿器科で精密検査を受けるように、と言われて問診は終わりました。

まったく予想外の展開で、理解が追いつかないまま診察室を出て、待合室のソファーで先ほどの問診内容を反芻してみました。
腫瘍? 精密検査?
腎臓の?
……まったく実感はわかない。

困ったときはGoogle先生です。
スマホで検索してみると、病院や泌尿器科が説明する腎腫瘍のページをいくつか発見。
それらによれば、腎臓の腫瘍はほぼ癌らしい。

ほぼ癌!

8割が癌、9割は癌、などページによって多少の誤差はあるけれど、医療機関がそういうたぐいの数字で誇張したものを書くとは思えず、ということは、私もほぼがんなんだろうなあ。

癌かもしれない、とわかっても、思っていたほど動揺はしませんでした。
自覚症状もないし、サイズも今の感じだと小さいよう。

それにしても、初めて受けた人間ドックの、初めて受けた腹部エコーで、いきなり当たりとは。
これが人間ドックのチカラか! と妙に感心したのでした。

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