見出し画像

240617_人間を進化させた集団脳とは何か?

NHKスペシャルを見て、「集団脳」についてまとめてみた。
そこには、ホモサピエンスがなぜ唯一の人類として生き残ったのか?
現代人の技術はなぜ、急速に進化し続けるのか?
進化し続けていった先に予測されるのは何か?
という問いに対する一つの答えがあった。

【集団脳とは?】
・集団脳とは、集団が大きければ大きいほど、技術革新が加速しやすくなるという考え。
①情報のやり取り中に一定の確率で新たなアイディアが出現。
②集団が小さいと技術に詳しい人がいなくなった時に古い道具に逆戻りしてしまう。
③大きな集団になると情報のやり取りが盛んになり、新たなアイディアを思いつく人が多く出現。
④簡単に技術が逆戻りすることなく、世代を超えて進化していく。
・ホモサピエンスとネアンデルタール人は脳みその大きさや働きが大きく違うわけではないが、ネアンデルタール人は少数の家族単位、ホモサピエンスは150人単位で生活していた。
 集団が大きい方が多くの種類の道具を有していたことがわかっている。
・人間が次々技術革新を起こせるのは、個々人が賢いわけでも一握りの偉大な天才のおかげでもなく、何世代にもわたって技術が累積するからこそ高度な技術革新が生まれる。
 そのためには大きな集団が必要不可欠。

【技術の進歩により形を変えた集団脳】
・紀元前3500年前頃、シュメール文明で文字が生まれ、知識や知恵を多くの人が共有して、時代を超えて伝承することが可能になった。
 15世紀頃、活版印刷が情報の拡散を急加速させ、近代文明を花開かせていく。
 現代、インターネットを手に入れた人類は、巨大な集団脳を入手した。
・例えば3Dプリンターが生まれたのは1980年代頃だが、性能の飛躍的な向上はインターネットが登場してから。
 2009年特許の制約がなくなり急激に進化を重ね、ロケット技術に使えるまでに進化した。
・国としては統一されていなくとも、地球はもはや一つの集団脳になったとも言える。

【巨大化した文明は同じ末路を辿るのか?】
・大き過ぎる文明は急速に滅亡する。   
 100万人規模の古代ローマは、戦争により経済混乱を引き起こし、貧富の差が増して滅亡。
 1000万人規模のマヤ文明、森林伐採により食糧危機に陥り滅亡。
 増え続ける人間は際限なく豊かさを求め、自ら破滅の道を進む。

【人間の欲望は止まらないのか?】
・生物が、生きるために必要なものを手入れる時、欲望物質と言われるドーパミンが放出される。
 際限ない欲望を生む人間は、他の生物とは異なり、課題解決時にドーパミンが放出される。
 それ故に課題解決…即ち技術の進歩や領土の拡大、豊かさへの欲望に歯止めが効かなくなる。
・ホモサピエンスが集団を拡大させていったことにはオキシトシン、愛情ホルモンも影響するとも言われる。
・オキシトシンは人を協力的にするだけでなく、仲間を守るために仲間以外を攻撃する特性もある。
・人は時に、国や信仰を軸に協力して、命を投げ出すまでの献身を示すことがある。
 アイデンテティを強めるためには、敵が必要になる。
・15世紀以降、活版印刷などのマスメディアによりプロパガンダを使って敵愾心を高められ、会ったこともないコミュニティに仲間意識を感じ、大量殺戮を繰り返すようになった。

【感想】
近年環境問題が話題になるけど、私の友人は「温暖化は地球上で数千年ごとに起きてるんだから騒いでも仕方ない」なんて言っていました。
理屈としてはわかる、でも私の中には、
そこで諦めてしまったら人としてどうなのか?
なんとかしようとするのが人間じゃないのか?
という謎の正義感がありました。
人は未来のためにより良いものを生み出し、残そうとするもので、考える葦であり、飛ばない豚はただの豚…この本能は一体何なのか?と。

別の話で、最近映画オッペンハイマーを見た際に、
何が起きるかわかっていても止められない、
自分が止めても誰かが絶対にやる、それなら自分がやった方がいい、
という葛藤が描かれていて、その中で「知識の呪縛」という言葉を知りました。
知ってしまうと知らない状態には戻れず、想像力が阻まれるということ。
これは技術の話だけではなく、コミュニケーションの障壁とも言われています。

じゃあ知らないままでいられるのか?
作らないままでいられるのか?
仕方ないと見て見ぬ振りができるのか?
…と、考えた時に、人間を突き動かすのは″正義感″なんて曖昧なものではなく、欲望物質ドーパミンによる課題解決欲なのだ、と言われるとしっくりきました。

現代人は特に、美味しい食事や快適な睡眠、清潔な住処、安全な暮らしなどかつてに比べて多くの欲求が満たされつつあるが故に、日常生活の中で「解決すべき課題」が減ってしまって、ドーパミンを得にくくなっているのかな、とか。
逆に今はもう、課題解決のためのドーパミンではなく、ドーパミンのための課題解決になっている気がする。
それが承認欲求や自己肯定感につながり、ドーパミンを得られないことでうつ病などにつながっていくのではないか、と。

ちなみにオキシトシンは人との触れ合いだけじゃなく動物との触れ合いでも分泌されるので、世界中の人間すべてがペットを飼えば、現代人を蝕む精神疾患が少しは減るかもしれない。
人間の赤ちゃんとの触れ合いでもオキシトシンが分泌されますが、ペットに比べて育てるのが難しい。
子育て中の女性が育児の役に立たない夫に攻撃的になるのが、赤子との絆、オキシトシンの影響によるものとも聞くと、それなら仕方ないなと思ってしまう。
(もちろん男性が子育て中に女性が無関心であれば、逆のことが起きうるけれど、男女で分泌のされ方が異なるので比較はしづらい。)

人間が今、解決すべき課題の一つに、ホルモンのコントロールもあげるべきなんじゃないだろうか…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?