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華生ばかり #0111

 わー久しぶりー! お久しぶりです! ここのところ、とにかく昴くんのスピンオフのために時間を使いたかったので、というか今でもそうなんですが、久々に気分転換もしたくて、ちょうど書きたいこともあったのでコラムを更新することにしました。あんまり明るい内容ではないんですけど、本当になんていうか、知ってほしくて。
 相変わらず映画やコスメやお洋服、ジャニにお笑いと趣味にも忙しい私ですが(資料として聞いたり見たりしたものにハマったりもしてます)こないだのマコちゃんスピンオフこと「最上眞子の生」は楽しんでいただけましたか? 資料映像を数え切れないぐらい見て、その世界観をがっつり頭の中に入れた状態で毎日書いては直しを繰り返してやっとできたので、仕上がった時はいつも以上に感慨深いものがありました。あと何よりも、眞子役の中田順子さんと久々に会えて嬉しかったというのもあるし、LINEでもたくさん作品について話しましたよ。劇中歌があるのですが、それについて私が「誰が歌ってもああいうふうにはならないと思う。人としての基礎が美しいんだよ。だからきっと、聞いてると何か泣けてくるんだよ」みたいなことを言ったら「この仕事しててよかった生きててよかった華生ちゃんに会えてよかった!!!」的な感じで喜んでもらえて、それもすごく嬉しかったです。次に着手している脚本もあるので、是非今回の新作や過去作を聞いてお待ちいただけたらなぁと思います。何しろ、あと二日(今月いっぱい)は「走れ! 昴くん」のコンプリートセットが史上最大にお安いですし(聞いてもらえなければ話にならないので限界突破の価格設定です)「最上眞子の生」や、昴くん本編の後日談というか、本当のラストシーンが入っている「走れ! 昴くん ~終~」や、壱智村小真さんと吉川華生が絡みまくる好評企画CD「おなかま企画4」も入った、超お得な和曲パックも是非いま、めっちゃお安くご購入いただける、いま!! お手に取って頂けたらめちゃくちゃ嬉しいです。

■骨の髄までイカれているよ

 Twitterで超久々につぶやいたんだけどね。信じられないぐらいしつこい宗教勧誘に遭っちゃって、およそ二時間くらいに渡って、だいぶ疲れました。
 はじまりは、数週間前のこと。いつも仕事をする喫茶店の近所にあるCDショップに行って、ジャニヲタらしくジャニーズのCDをしげしげ見てたのね。そしたら急に、明るい声の女性(仮名:A田さん)に「あのー。もしかして、ジャニーズ好きなんですか?」と声をかけられて、びっくりして「え?!」ってなりながら「そうですね、好きですけど……」と答えたら、声をかけてきた女性の後ろにおとなしそうな女性(仮名:B野さん)が立っていて「この人、私の友達なんですけど、この人がすっごくジャニーズ好きなんですよ! ね?」って感じで、A田さんがB野さんを誘導する感じで少し引っ張って「なんていうグループが好きなんだっけ?」って促すわけ。B野さんが小さい声で「ジャニーズWEST……」と言ったので、思わず「あー。あんまり詳しくないですけど。WESTだと最近、桐山くんが好きですねー」って笑ったら、B野さんが急に涙浮かべて、無言でめっちゃ頷きだしたのよ。そしたらA田さんがB野さんの腕をぶんぶん掴みつつ「えー!! B野さんが一番好きなのって桐山くんじゃん!! よかったねー分かってくれる人がいてーー!」みたいに盛り上がって、なんというか、あまりに突然のことすぎて面食らったんだけど、好きなアイドルの名前がちょっと出ただけで泣くほど喜ぶ人がいるだなんて、節操なく全グループのこと見まくってた甲斐があったなって感じで、私としても嬉しかったのね。その感じで、その場に立ったまま30分近く喋ってたのかな。
 んで私、一応仕事しに来てるから「じゃあすみません、そろそろ」みたいな感じで切り上げようとしたんだけど、その時にA田さんが「あのー、急にこんなこと言ったらアレかもしれないんですけど、LINEとかやってませんか? もっと話したいよね。B野さん、話したいよね? LINE教えていただけませんか?」って聞いてきたのね。「えっ」ってなって瞬時に色々考えたんだけど、まーーー最悪何かトラブルが起きたとしても、LINEは簡単にブロックできるしなー。と思って、私的にはすっごい珍しいんだけど、LINE教えたわけ。
 その日から暫く、主にジャニヲタのB野さんとLINEをするようになったんだけど、最初は全然普通。ただ、B野さんはとにかく会話が苦手というか、一度に複数の質問をすると混乱するし、レスの文章を考えるのに丸一日ぐらい要するほど繊細らしい、ということが分かったので、なるべく彼女のペースに合わせてゆっくり話をすることに努めて、こないだのVS嵐は面白かったですねーみたいな、至ってのんびりと、平和な話をしてるだけだったんだよね。そんで、B野さんの方から「今度の土曜日なんですけど、夕方からお会いできませんか?」と誘ってくれたので、仕事のスケジュールを確認して、待ち合わせ場所を決めたんだけどさ。当日の朝になって、ふと「初対面のあの時、B野さんは殆ど声を発さないで無言でうんうんと頷いてるだけって感じだったけど、これもしかして二人だけで会うのかな。……それって結構、大変なんじゃないかな……」「こないだのA田さんっていう、あの通訳っぽい人がいてくれた方が有難いな」と思ったから、B野さんに「今日はお一人ですか? 先日ご一緒だったお友達はいらっしゃらないんでしょうか?」と聞いたら「じゃあ、来てくれるように今から頼んでみます」と。私が言い出したことだし、A田さんのLINEも聞いてたから「有難うございます。急なことなので、私からもお願いしてみますね」ということで、その旨のメッセージをA田さんに送ったところ「わかりました!! 今日はちょっと用事があるんですけど、行きますね!!」というお返事をいただけたので、その時点の私の心境としては「あーよかった、有難い!」って感じで、とにかくB野さんと会話をし続ける自信があんまりないという不安の方が大きかったから、すごく安堵して待ち合わせ場所に向かったって感じだったのね。
 何しろ前日のLINEで、B野さんに「WESTのいい曲とか、おすすめのコンテンツがあったら是非教えて下さいね」と言ったら「喋れるかどうか分かりません……」って返ってきたという経緯もあったので。今思えば、この時の私の判断が圧倒的に失敗だったんだよね。

 喫茶店で落ち合うと、まあまあ混んでてしばらく待つことに。既にA田さん、B野さんが揃っていたので、何となく「お二人はお友達ですか? 職場が一緒とかそういう感じですか?」と聞いたら、B野さんが「友達っていうかー、共通の知り合いがいて。それで紹介してもらってみたいな?」と言うので「友達の友達ですか?」と改めて聞いたら「まあ、そうですね」と。のちのち、この何気ない会話にすごく納得することになるんだけど、その時は私も本当に平和な気分だったから何にも気にすることもなく。会話の流れで、二人とも27歳だと知ったりして。その時に「あー結構年下だったんだな」と思ったりはしたんだけど、まあ共通の趣味の話題だったらあんまり世代は関係ないし別にいいかなと。
 で、席についてメニュー表を見てる段階から、やっぱりという感じではあったんだけど、だいぶテンション高く「えー全部おいしそー! どれにしよっかなー! これも、こっちも美味しそうだしー!」とぺらぺら喋るB野さんに対して「………、………」なA田さん。私はそのお店に行くのが二回目だったから「ここのコーヒー美味しいですよ」とA田さんに勧めてみたんだけど「私、コーヒー飲めない……」と、俯いたままの苦笑いでぽつりと呟く感じ。それぞれ頼んだものを飲みながら、1時間半ぐらいはジャニの話をしたのかな。
 A田さんは元々KinKi Kidsが好きで、そこから関ジャニ∞が好きになって、今はジャニーズWESTなんですとか。あーじゃあ関西系が好きなんですねーとか。吉川さんは最初どういう入り口だったんですか? っていう質問が来て、私は最初、嵐さんがやってた「Wii」のCMを友人に「面白いから見てみて」って勧められて、面白いね可愛い子たちだねって感じで好感触だったんで、何となく嵐の番組とか見るようになって、でもまージャニーズのコンサートDVDとかを買うのって私の中ではハードルが高かったので、吟味に吟味を重ねて初めて買ったのが2004年の「いざッ、now」というDVDで、何でそれにしたかって言うと、そのツアーでの大野智くんのダンスが圧倒的に素晴らしく、テレビを観てるだけじゃ絶対分からない魅力が詰まってるというレビューがすごくたくさんあったから、それがきっかけなんですよーとか。どうでもいいけどジャニッ子たちの女装が美の暴力すぎてびっくりするんで、とりあえず手越とマリウスの女装見てもらっていいですか? とか。
 この序盤の辺りってすごい平和な空気だったんだよね。A田さんは無口ではあったけど、それでも徐々に笑ったり、自分から話したりもしてくれたのよ。饒舌ではないまでも。
 結果から言ってしまうと、宗教勧誘の本丸はB野さんで、A田さんは恐らく、ダシに使われたジャニヲタ。でも、強引な勧誘に負けて入信してしまった人。多分、勧誘にはあまり積極的ではない。

 それで、ジャニ話を和気藹々としながら、私はなるべく口数の少ないA田さんに話しかけつつ問いかける感じを心懸けていたわけなんだけど、ちょいちょい、B野さんがよく分かんないこと聞いてくるわけ。急に「最近、何かいいことってありましたー?」とか。「えっ?」ってならない? 本当に唐突なんだよ。流れ的に無理があるというか、例えば

吉川「タキツバのデビュー時ってクラスが沸きませんでした? どっちが好き? とか、みんな話してましたよ」
A田「あー、そんな感じになりましたよね! どっちですか?」
吉川「翼ですねー」
B野「あったかもー! それで最近、何かいいことってありました?」

 こんな感じ。一瞬、「は?」ってなっちゃうの。質問自体は別にいいんだけど、何で急にそんなこと聞くんだろうなって思いつつ「あー、そうですねぇ、物書きの仕事とかをしてるんですけど、こないだ大きいのが一本上がったとか。そういうのは、私にとってはいいことですね。じゃんじゃん大量に書けるタイプではないので」とか答えるわけ。そうすると更に
「へぇー。ちなみにですけどー、運っていい方ですか?」って聞かれたりするのね。何か明確な目的があってそういう質問されてるとは考えてないから、こっち的には世間話の一環として「私、運はむちゃくちゃいいですよ。コンビニのくじとか、ああいうのは大抵、飲み物とかクーポン券当たりますね」とか言うのね。その流れで「私の後輩で、死ぬほど運悪い子いるんですよ。家から駅まで、急いでる時に限って信号が全部赤とか。ただ歩いてるだけで犬にめちゃくちゃ吠えられるとか」って言ったら、B野さんが「その人やばくないですかー!?」、A田さんが「大変ですねー」ってウケたりとかするの。それでまた、関ジャニからすばるが抜けたのは凄まじいことですよねーとか普通の会話に戻る。

 また暫く話してると、B野さんが「そういえばー! A田ちゃん、KinKi Kidsのコンサートですごいことあったんでしょ? あれ教えてあげなよ!」みたいに言って、A田さんもその時ばかりは一生懸命「そう……、あの、キンキのコンサート……剛くんが、突発性難聴になって、暫くライブがなかった時の、その、復帰の、コンサートの時、(東京)ドームだったんですけど……その時、私、スタンド……あっ違うスタンドじゃない、えーっと……」みたいに喋り出したので、私も「東京ドームね」とか「アリーナ?」とかA田さんの言葉を補足しながら聞いてたんだけど。
 要約すると、ドツヨが突発性難聴になったことっていうのはジャニヲタにとっては結構ショッキングなことだったので、その復帰ライブはいつもより倍率がすごかったんだけども、何とそのドームコンサートのチケットが当たり、なおかつ席が最前でド真ん中と言っても差し支えがないような神席だったから、大好きな剛くんをすごく近くで見られて大感動だった……と。
 それを聞いて「おぉーそれはすごい」と言ったら、B野さんが「やっぱり運って大事だなって思いますよね?」と同意を求めて来たんで、何となく「あぁ、まあ……そうですね。ただ私、ファミクラ(ジャニーズファミリークラブ=FC。殆どのコンサートや舞台はここに加入していないとチケットが取れない)に入ってないので、コンサートに行くこともないから、勿論いいなぁとは思いますけど、そこまで悔しい的な感じではないんですけどね。コンサート自体はDVDで観られるし」と言ったのね。そしたらB野さんが訝しげに「何でですか?」と聞くので「何で、というか。ジャニーズは大好きなんですけどね。1グループにつき、年会費がおよそ4000円ぐらい。ってことは、まず私的に、嵐さんは活動休止が目の前でライブなんかもう取れないのでいいとしても、NEWSとJUMPのどっちに年会費払うかっていう問題ですね。2グループは無理。どっちか選んでお金払って、応募できる権利があったり、さらに行けるのに行かないっていうのは、こっちが勝手に損した気分になるわけで。あと行ったら絶対楽しいでしょ。(すごい勢いで頷くA田さん)てことは今以上にド嵌まりすることも分かりきってるから、それはちょっと行けないなーと。お笑いとか他の趣味もありますし、あとやっぱり仕事もね」と。「どういう意味ですか?」とB野さんが追撃してくるので、こっちとしてはあまり仕事の話はしたくないなと思ったんだけど「いや、そもそも私、昔からやりたかった仕事をやらせてもらってるんですね。それ自体が誰でもできることではないし、その時点で相当恵まれた境遇にいるんですよ。趣味を仕事にした感じなので。ベースとして、仕事がすごく好きなんですよね。だから自分の中の優先順位として、常に仕事はトップにしておきたいんですよ。そこでジャニーズとかがトップになってくるとブレるというか。仕事以上に嵌まるものを作りたくないっていうのは、ずっとあります」みたいな感じで説明したのよ。
 
「でもそれって、吉川さんは自分に嘘ついてますよね?」
 って言われて「ん?」ってなる私。
「いや、嘘ではない……笑」

 と言いかけたあたりで、B野さんの特殊SPECこと、壊れたラジカセ能力が発動したわけだよ。喋る喋る喋る、一人で延々と喋る。何故かスイッチの入ってしまったB野さんを止めることはもう誰にも出来ないという状態。対照的に押し黙り、無言でアイスティーの氷をかき回すだけの人になってしまったA田さん。

 ここからの文章は、私の記憶です。普段書いているドラマCDの脚本と同じ文体で、記憶の中の彼女たちと私の会話の様子を書いてみます。
 是非頭の中で音声を再生して、情景をお楽しみ下さい。B野さんはママさんコーラスっぽい高めの声。A田さんは低めで籠もった感じの声です。私の声は私の声(あたりまえ)です。

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B野「私、昔ね、すっごく納得した話があって。人の運ってね、量が決まってるらしいんですよ。生きてるうちにどんどんなくなっていくの。そうすると、もう何もいいことが起こらなくなるんですよ。運がなくなってるから。それ聞いて『そうか! 私は運を使い切ったんだ!』と思って。でもそんなのって耐えられないじゃないですか。それで、どうしたらいいかを聞いたんですね。それが本当に簡単で。南無妙法蓮華経って聞いたことありますか?」

私「……ない人、いるんですか?」

B野「南無妙法蓮華経って。これだけなんですよ、朝と夜。大体、一回15分で終わるんですけどね。これだけで運のパワーって貯まるんですよ。A田ちゃんがそれでKinKi Kidsのコンサート行けてね、すごくいい席が当たったって聞いてね、あぁこれは本当なんだなって、A田ちゃんも分かったんですよ」

私「……分かったんですか?(不穏な空気を感じまくっているので、A田さんに問う)」

A田「…………(力のない笑顔)」

B野「これなんですけどね。これって見たことあります?」

(いきなりテーブルの上に大きめのチラシを出す。しかも私のiPhoneの上に置く)

私M「(あぁー最悪。見たことあるわ。どこで見たんだか忘れたけど絶対見たことある。これはやばいな、始まってしまった……)」
※M=モノローグ。心の声。


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