華生ばかり #0047
さ。今回は書いてる時間が取れなかったので、原作てんとう虫の第二弾を。第一弾を出したのがもうかなり前なので、いつぶりなんだろ? という感じです。ドラマCDのほうのてんとう虫とは登場キャラクターや設定が微妙に違っていますが、これも歴史。物語のひとつとしてお楽しみ頂けますと幸いです。
――ばたばた――
「なっちゃーんっ! 早く、お風呂入っちゃってねー!」
キッチンで洗い物をしながら、部屋にいるなっちゃんに呼びかける。
はっきり言って、まだ頭が対処しきれてない、というか……
衝撃冷めやらぬ、感じ。
でも……
明後日から、大学行かなきゃならないし。
届いた荷物を自分の部屋に入れて、早めに片付けなきゃ、だし……
もう私、晩ゴハンのハンバーグを焼いてる時点で、腹くくっちゃってた。
どーにでもなれーっ!!
って。
――別に悪い人たちじゃ、なさそう、だし。
それに、思い返してみれば……
私、「さくらさん」の性別、聞かなかった。
……女の人だって、思い込んでたんだもん……
んで。
なによりも。
晩ゴハンを三人で食べながら……私、思わず笑っちゃってた。
――だって……
佐倉さんと、なっちゃん。
どう見たって、どっから見たって、姉妹! なんだもん。
「あー! ましろっ! 人のソース取んなよな――っ!」
「だあって、この和風ソースが、めちゃ美味しいんだもーん。なつみはキホン的に、野菜嫌いじゃん」
「大根おろしはいいんだよぉ! ソースになってたら野菜じゃねーもん」
「僕はねー、久々の家庭料理にカンドーしてんのっ!」
「んなの。俺だって、一緒!」
なあんて。
言い合い、してて。
「佐倉さん、大人気ないですよー」
突っ込んだ、私にも。
「佐倉さん、って……なんか、他人行儀だなあ。ね、ましろって呼んでー」
美少女満開フェイスで。
こなれた感じの、ウインクなんかするんだもん。
「なんだよー。ましろと菜々葉ちゃんは、大人同士なんだから。苗字で呼ばれてりゃいーじゃん! サクラさん、って」
「あー、なつみ! もう菜々葉ちゃんに懐いて、ヤキモチぃ!?」
「へへー。可愛くて優しくてお料理上手なお姉ちゃんに懐いて、どこが悪いのさー。男ばーっかのレディバグにやってきた、一輪の花なんだからねーっ」
「なんだよー。僕だって、街に出たらナンパされまくりよ?」
「うえー。気色わるっ! イイ年した男だって気付いたら、そいつら首くくるねー」
「くくれ、くくれー」
そんな、空気。
――居心地……悪くないなあ。
って、思っちゃったってのも、あるし、ね。
「なーっちゃん! なにしてんの、早くしてよぉ。私が最後に入るんだからーっ」
もっかい呼んだ、私に向かって。
遠くから、なっちゃんの声が返ってくる。
「待ってよぉー! 今、いいとこなんだー。一気に書いちゃいたいの! 先に、ましろに入ってもらってよーっ」
――ああ、そっか。小説、書いてるのかぁ。
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