「好き」と「似合う」が分からない
服もメイクも髪型も、
何が似合うのか分からない。
服は好きを貫けばいいじゃん、
と思っていたのに、
何が好きだっけ?と思う始末。
久しぶりに、結婚する前によく見ていたオンラインショップを人差し指でひたすらスクロールする。
これ可愛いかも、と思ってカーディガンをカートに入れてみたが、今年は襟付きカーディガンが流行りらしい。
流行りとは。
流行りと聞くと、一歩が進めなくなる私。
カートに入れたまま数日たち、多分カートのデータが消えた。
今までに、何度そんなことを繰り返しただろうか。
好きが分からず似合うも見出せていないと、自分としっかり向き合えてなく心も荒んでいるんだろうな、と少し悲しくなる。
でもどう改善していいか分からない。
田舎に住んでいると、都会に出ない限りお買い物はネットショッピングになりがち。
本当はそのものに触れ、感じ、好きと似合うをすり合わせたい。
そんなことを思っていた頃、お誕生日旅行として、京都へ一泊。
京都の街を楽しむというより、元々音楽ライブの予定があったので、それに合わせて京都に泊まった。
ライブが始まる30分前に、ハートランドで乾杯する。
私たちにしては時間をかけて飲み、開始7分ほど前に席に戻る。
お酒を飲むと、この話は後にしよう、というストッパーが消え去り、ライブ直前なのに、自分の好きが分からなくなっている、心が疲れている、とつらつらと話す。
「なんで今そんなことを話すんだ。」って思っているだろうなって考えていたら、「明日はお買い物しよう。色々試着したら良い。」と言ってくれた。
夫は見た目に反して優しい時がある。
「えっ、何その返答。」と思っている矢先、ライブがはじまった。
今回のライブはドライブ中によく一緒に聴いているアーティストによるもの。
久しぶりの生の音楽は身体の芯に響いた。
人々の文化のような、民謡のような、そんな有機的な風を感じる音楽たち。
今、私が欲している音だったように感じる。
翌日、お昼ごはんを食べた後、前日夫が言ってくれてたようにお買い物へと街に繰り出す。
たくさん歩くのは疲れたが、割と昔から好きなアウトドアブランドのシティウェアゾーンに好みに近いカーディガンを発見。
カーディガンって子供が引っ張るとすぐ悪くなるよな、という印象だが、さすがアウトドアブランド、作りがしっかいしている。
形もゆったりめで、試着してみるとなんだかいい感じ。このブランドには珍しく、年配の方に接客していただいた。
ほぼ心はそちらに傾いていたけれど、一軒目だったので「一周してきます。」と伝え、名古屋に住んでいた時に好きだったお店にも向かう。
丈の短めのシャツが並ぶゾーンを見ていたら、男の子の店員さんに、「そのシャツも可愛いですよね、丈の短いシャツは流行で、他のブランドでもよく見かけます。」と声をかけてくれた。
他のブランドにもある形をなぜわざわざその店で買わなきゃいけないのだろうか、と考えてしまった。
「ありがとうございます。」と挨拶して、最初に試着したカーディガンを求め上の階に向かう。
すると年配の店員さんが待ってましたとばかり笑顔で接客してくれた。
なんとその方は67歳で、50歳の時にこどもを授かったらしい。だから、子ども大好きなんですよね、と我が子を相手してくれた。
「なんか、今日いい日。」と思いながらお会計。
なんか、今日いい日って、そういえば今日誕生日か。