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いいこと、あったね!
こんにちは。きっかけアクセサリー作家の、音海奏乃です。
今日は金曜日、音海奏乃が思ったことや感じたことをつづっていく、かなのわーずの日です。
今回は、4年にわたる介護が中心の生活で、身についたスキルのお話を。身に着けた、ではなくて、身についた、というのがポイントです。
意図的に身に着けたのではなく、自然と身についていたスキルが役に立ったとき、とてもうれしかった、なんてお話です。
会話は苦手! だった
会話。
それは、音海奏乃が苦手とするものの一つです。個人差があるとは思いますが、私の場合は「気にしすぎて」会話ができないタイプでした。
店員さんにも、申し訳なくて声がかけられない。何度か会っている人でも、失礼じゃないか、変なことはしていないか、と気になって、疲れてしまう。
そんなわけで、会話というのはすごく神経を使う、大変な作業なのです。特に、厳しく育てられたこともあり、「自分の失敗は家族に恥をかかせる」と思い込んでいました。
それが強く影響しすぎて、「何かあってからでは遅い、失礼のないように、失敗のないように」ということばかりを意識して、話ができなかったのです。
また、気の利いた一言がすぐに言えないことも、コンプレックスでした。親は日常の会話でも、さらっと相手を褒めたり、上手に話題を変えたりできる。なのに私ときたら、ちょっと予想と違うことを返されると、返事に詰まって無言になってしまう。
そういう背景から、家族以外との会話はとても苦手でした。ところが、ある日、リハビリ担当の方と話すことになり、そこで介護中に身についた質問力が生かされたのです。
介護で身についた会話力
きっかけは、要介護者が、何かあると思い出話を聞かせてくれるからでした。
要介護者が思い出話をするとき、その内容にとても興味がありました。そこでいつも、「いつ、どこで、だれと、どんなふうに」という質問をして、話を深めていたのです。
後は、言ったことを少し繰り返していたのです。「多摩川でよく遊んだ」と言われれば「多摩川に行ったんですね」といった具合で。
それが、知らず知らずのうちに、ほかの人と会話するときにも役に立っていました。
相手が、思ったことを話す。具体的な行動や名称があれば、繰り返す。そのあとに、少しずつ詳しく聞いていく。これだけで、自分から積極的に会話ができなくても、相手の方が楽しそうに話してくれる。
リハビリ担当の彼が偶然、お話し好きな方だったというのもあります。しかし、ほかの人と会話することになっても、基本的には一緒でした。この方法なら、自分のことを積極的に話すことが苦手な私でも、話が自然にできると、気づいてからは、楽になりました。
コミュニケーションの技法などをいちいち思い出しながら会話するより、そのやり方で、自然に話していたほうが、相手も自分も、幸せになれることに気が付いたのです。
これは、介護がなければ身につかなかったと思います。頭で理解しようとは今まで何度かしてきましたが、知るとやるとでは大違い。
今まで苦労していたのが嘘のように、自然に、さらりと、会話をできるようになったのは、自分でも驚きました。介護は嫌だと思う時期もありましたが、予想外の力が身についていてビックリです。
段取り、ごはんづくり!
突然ですが、質問です。
料理は、好きですか?
私は、好きです。けれど、最初の頃は、覚えることが多くて、とても時間がかかっていました。
けれど、今では30分あれば家にある食材に限りますが、準備からはじめて3品は作ることができます。もちろん、調理方法によっても時間は変わってきますが、大体1時間あればお腹いっぱい食べられるほどのおかずを4品ほど作れます。
でもこれは、一朝一夕で出来たことではありません。下味をつけるとか、あらかじめ食材をカットしておくとか、いろいろな情報を集めては、挫折しました。
様々な方法を試しても、うまくいかなかったのは、私の家にはあっていなかったからです。それよりも、私には「定番レシピ法」があっていました。
定番レシピ法とは、家にある食材、特に多くある食材と、必ずおいしくなる味付けの組み合わせを把握しておくことです。
時間があるときは、新しい料理に挑戦する。
時間がないときは、定番のレシピからさっと作る。
下味がついていてもいなくても、作るものが始めから決まっているので、悩むという最大の工程が一つなくなります。そして定番なので、作り方も把握しています。
そうすることで、いくつもの手間がかかる工程を省くことができて、結果的に時短につながりました。もちろんこれは、私にあったやり方なので、ほかの方法で時短の方法を見つけている方は、それでいいと思います。
実は、介護を始める前は「間が悪い」とか「段取りが悪い」とか言われて育ってきました。でも、料理を始めてからは、それらが変わったのです。楽しみながら挑んできた料理が、知らない間に他の場所でも役に立つなんて、驚きですね。
いろいろ、あるけれど
介護をしていると、本当に日々、いろいろなことが起こります。予測可能なものはあまりなく、素敵な表現でいえば、新鮮なことばかり。
それらに意識を集中して、取り組んでいる間は、夢中になっているので、「この力がつくぞ!」なんて考えたり気が付いたりする暇はありません。
その暇があったら、自分のために時間を使いたいと思うくらい、介護と家事には時間がかかります。少し時間がたって、振り返るタイミングが来た時に、やっとわかるのです。
だから、介護が始まってから数年は「なんでこんな思いを」「つらいだけだ」と思っていました。けれど今、冷静になる時間ができて、振り返ってみることができたからこそ、気が付けたことです。
きっと、介護以外の場所でもそうですね。取り組んでいる最中は、夢中で巣進んでいるため、気が付きません。あるとき、今までできていなかったことができたことで気が付いたりするのです。
だからといって、無理してその場にとどまり続けることはありませんよ。
このかなのわーずの記事でも何度か書いていますが、命を削ってまで、身を粉にしてまで犠牲になることはありません。
あなたの命や時間は、あなたが納得いくことに使うためにあるからです。
今、何も見えていなくても、焦らないでください。進んでいる限り、それはあなたの力になります。気づくタイミングは、きっと訪れますから。
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今回は、介護を通していつの間にかついていた力について、少しお話ししました。
まだ、身についた力はあるかもしれませんが、それはまた、気が付くタイミングが来たら書いていきますね。
きっかけアクセサリー作家
音海奏乃
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