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LDHのFC運営移管発表で感じたこと

   9月8日、EXILE ATSUSHIなどが所属するLDHが新ファンクラブ(以下、FC)サービス開始を発表した。

  このサイトの見出しだけだと、何が変わるのか非常に分かりにくいが、

アーティストごとのFCが開設されること
・11月よりFC運営を株式会社ソニー・ミュージック・ソリューションズに委託し、現行のFCサービスは引き継ぎ不可能であること

  まずファンにとっては、この2点が大きい変更点だ。
  前者はEXILE TRIBEとして多数のグループを同時に応援してきたファンにとっては異論があるようで、ライブで長年「セット売り」をしてきた経緯を踏まえると、LDHはそういった意見にも耳を傾け、対応する必要があるだろう。 
(例:2グループ目からはプラス料金で他のグループのFCに入会出来る等)
  ただ、グループ数が増えた現状を鑑みると利点もありそうだ。それぞれのアーティストが扱われる量が減っていたという意見には対応出来るはずだ。
  後者は長年継続をしてきた会員も全てリセットされてしまう。会員歴10年以上の人はゴールド会員証が発行されているが、それもなくなることを意味する。
 
2002年6月に発足した前身の「EX FAMILY」から継続してきたファンなら20年以上入会している人もいるはずで、継続してきた人たちへのフォローは一切発表されていない。
  上記のサイトでは各グループからのコメントを付加させているが、まるでアーティストに説明させているようにしか読めない。
 
しかも継続手続きしたばかりのファンも多いようだが、現時点では何もフォローはない。

  個人的にはEXILE ATSUSHIのように、EXILEを勇退し個々に芸能活動を続けているメンバーにも個別のFCが出来ることを望んでいたが、それは叶わなかった。現役のEXILEメンバーとは活動が全く違うことが多いので、FCを分けるなら、勇退したメンバーは別に作るべきであった。

  いずれにせよ現在のFC会員に対する配慮がない状況で、新しいFCの形も上記のお知らせだけでは何も分からない。正直いって20年続いてきた芸能事務所やFCとは思えない、雑な対応だ。

 
  ここからは個人的な雑感である。
  株式会社LDHは2003年9月に設立された芸能事務所だ。EXILE第一章メンバー6人が50万円ずつ出し設立していたエグザイルエンタテイメント有限会社がモデル事務所を吸収合併して、設立された。
  2003年はEXILEがヒットし始めた時期と重なるので、多忙になったメンバーに代わる、マネジメントの委託が必要であったのは間違いない。しかしなぜここで、音楽のプロの芸能事務所との連携を模索しなかったのだろうか。所属レコード会社のavexに相談しても良かった。
  現在の株式会社LDH JAPAN代表取締役CEOの森雅貴氏の2003年当時から振り返ったインタビュー記事によると、

基本的にはHIROさんがやりたいことをとにかく具現化するんだと仕事をし続けて今に至る

https://www.musicman.co.jp/interview/19674

 とある。
   当時のEXILEのリーダーは間違いなくHIROであった。ただ他にメンバーは5人おり、中でもEXILEのヒットの源であった音源には、ボーカリスト2人の存在は非常に大きかった。第一章や第二章以降も他のメンバーの意見も真摯に聞いてきたのだろうか。音楽系芸能事務所との連携が必要だったと述べた理由は、当時アーティスト、特にボーカリストをマネジメントする能力が著しく欠けていたのではと思わざるを得ないからだ。
  清木場俊介(SHUN)の脱退前にファンに対して脱退事実を伏せさせたままツアーを行ったことや、EXILE ATSUSHIの喉に出来ていたポリープへの対策、EXILE TAKAHIROが入った後にSHUNのパートをそのまま歌わせ第一章の曲のベスト盤を何枚も出したこと、二代目JSBをEXILEに吸収させボーカリスト4人体制になったこと
など、ファンにとっても理解しがたいことが何年も続いた。
  いや、今も理解しがたいことは続いている。EXILE第一章の楽曲(ATSUSHIとSHUNがボーカルだったときの楽曲)は全てサブスクリプションサービスで聴けない状態だ。avex松浦会長は自身の生配信動画の中で、第一章の楽曲のサブスク化に賛成している。つまりレコード会社としては何ら問題ないのだ。
  そしてこのFCの問題が出てきた。
事業拡大やFC業務委託は悪いとは言わないが、ファンとアーティストを大切にする姿勢は2003年頃から失われつつあり、今も続いているように見える。

  例えばEXILE TAKAHIROが加入時から長年ネット上で叩かれてしまったのは、個人的には事務所としての戦略ミスが原因だと思っている。
   EXILE TAKAHIROと清木場俊介(SHUN)は得意な声域が全く違うのに、プロになって1年の彼にSHUNのパートをそのまま歌わせてしまい、結果的に比較され続けた。
  自らの声域よりも低い声域を広げていくのは、たとえ才能があっても長い年月がかかるものである。
そういった音楽的視点があれば、第一章の曲のSHUNのパートを歌わせてベスト盤を発売する暴挙には出なかったはずである。EXILE TAKAHIROとEXILE ATSUSHIの声域にあった曲を歌い続けたり、第一章の楽曲はパート替えをしながらライブで披露するなど工夫が出来たはずだ。
  清木場俊介(SHUN)は脱退直後から"裏切り者"などと言われ続け、EXILE TAKAHIROなど加入してきた新たなボーカリストたちも長年忍耐を強いられてきているように見える。これらは全てLDHのボーカリストに関する戦略ミスによるものではないだろうか。

  LDHには若いアーティストが多数所属するようになり、それぞれの才能が開花している。
  しかし今回のFCの扱いを見るにつけ、LDH自身が戦略ミスを省みているようには到底見えない。ミスに気づくことすら出来ていないかもしれない。まずはLDHは新しいFCの全体像を所属事務所としてもっと具体的に提示し、ファンの意見にも真摯に向き合い、対応するべきだ。
  そして関わったアーティストとファンを二度と傷つけないよう、公明正大な運営をすべきだ。EXILE ATSUSHIが所属している以上は今後も注視していかざるを得ない。

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