【大人のための童話】ケチケチ王、はじめてのおつかい
~アイスクリームの巻~
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ある国に、とてもケチな王様がいました。
その王様のくちぐせは、
「お金を使うからなくなるのだ。
お金をつかってはならない。」
でした。
王様はお金を使わないでためておくことに
いきがいをみいだしていました。
お金をためるために生きていたのです。
*
あるとき、ケチケチ王はアイスクリームが食べたくなったので、
けらいに
「アイスクリームをもってこい。」
といいました。
すると、けらいは、
「それでは、アイスクリームをかうためのお金をください。」
といいました。
するとケチケチ王はカンカンにおこって、
けらいにむかってこういいました。
「さてはおまえはわたしから、お金をとろうとしているな?
そのてにはのらないぞ。
おまえにわたしのだいじなお金はいっせんもやるものか。
アイスクリームはじぶんでかってくるから、おまえはもういい。くびだ!」
けらいは、しかたなくおしろをでていきました。
王様がこうしてけらいたちをまいにちくびにしているのはしっていましたが、
まさかじぶんがこんなめにあうとは・・・。
さて、
「じぶんでかいにいく。」
といった王様ですが、
どこにいけばアイスクリームがてにはいるのか、また、お金はいくらひつようなのか、まったくしりませんでした。
そこで、おしろの地下にかくしてあった金庫から、おおきなふくろにはいるだけお金をつめこんで、
どっこいしょ、とせなかにせおうと
王様だとばれないようにぼろぼろのふくをきて、まちにむかってあるきだしました。
まちまでいけば、アイスクリームをうっているおみせが、きっとみつかるとおもったのです。
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ケチケチ王は、ある食料品店にめをつけました。
おみせのかんばんに
「ないものはないみせ」
とかいてあったからです。
「『ないものはない』ということは、『なんでもある』ということにちがいない。」
とおもったのです。
お金がぎっしりとつまったふくろはとてもおもかったので、王様はもうへとへとでした。
あせもだらだら、のどもからから、
あたまもなんだかくらくらします。
王様はやっとのおもいでお店にはいると、きをうしなって、そのばにたおれこんでしまいました。
*
王様がやっとめをさましてあたりをみまわすと、いつのまにかふわふわのベッドにねていて、ベッドのそばでは、かわいらしいむすめさんがしんぱいそうに王様のかおをのぞきこんでいました。
王様がめをさましたことにきがついたむすめさんは、
「ああ、よかった。めをさましたんですね。すごいねつだったんですよ。
でも、よーくひやしましたから、もうだいじょうぶです。」
といいました。
そして、
「さぁ、これをのんで。」
とつめたいのみものをすとろーでのませてくれました。
それは、王様がのんだこともないほどおいしい、れもんのあじがするのみものでした。
「これは、なんというのみものか?」
と王様がきくと、
むすめさんは、ふふっとかわいらしくわらってから、
「これは、おみずですよ。
うちのにわでとれた、レモンのわぎりをうかべただけの、おみずです。」
といいました。
そして、
「ほんとうは、アイスクリームもたべてもらおうとおもったのですが、
あなたのねつをさますためにつかってしまいました。」
と、すこしざんねんそうな表情をうかべて、かたわらにあるぼうるをゆびさしました。
ぼうるのなかには、くりーむがかったしろいえきたいが、なみなみとはいっていました。
「あ、あいすくりーむ。」
王様はおもわずみをのりだしましたが、はっとして
むすめさんにたずねました。
「それでは、もしかしてあなたは、わたしのために店じゅうのアイスクリームをとかしてしまったのですか?」
すると、むすめさんはすこしはずかしそうに、こくり、とうなずきました。
そして、ほほえみながらこういいました。
「ちょうど、お店のれいぞうこがこわれてしまったの。
わたしのてづくりアイスクリームはこの店の一番のにんきしょうひんだったから
ちょっとさびしいけれど、
れいぞうこをなおすお金も、
アイスクリームのざいりょうをかうためのお金もないから、しかたがない。
でも、とけてしまうアイスクリームがむだにならずに、あなたのためにやくだてられてよかったわ。」
すると王様は、しばらくかんがえてから、
こういいました。
「わたしにそのとけたアイスクリームをうってもらえませんか?
わたしは、とけたアイスクリームがなによりのだいこうぶつなのです。」
そして、かたわらにあったお金のつまったふくろをむすめさんにさしだしました。
そして、びっくりしてなにもいうことができずにいる娘さんをよそに、
ぼうるをかかえると・・・
とけたアイスクリームをおいしそうにごくり、ごくり、とのみはじめました。
さいごのいってきまできれいにのみほした王様は、くちのまわりをくりーむだらけにしながら、こどものようなえがおでこういいました。
「ああ、おいしかった!ごちそうさまでした。」
これが、バニラシェイクの始まりといわれています。※うそです😉。
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袋いっぱいのお金はりっぱな馬車がなんだいもかえるほどで、むすめさんはこのお金でお店の冷蔵庫を直すだけでなく、
おいしいアイスクリームをたくさん作ることができるべんりな『アイスクリームめーかー』や、おいしいケーキがやける『こんべくしょんオーブン』までかうことができました。
のこりのお金はびょうきのちちおやのために『りくらいにんぐベッド』をかったり、
お金がなくてがっこうにいけないこどもたちのために、ぜんぶつかってしまいましたが、
むすめさんは
「わたしは、なんてしあわせなんだろう。」とおもいました。
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さて、とけたアイスクリームをのんで
すっかり元気になった王様は
おしろにもどると、さっそくけらいたちをあつめました。
そして、ちかの金庫にのこっていたお金をぜんぶもってこさせると、
けらいたち一人一人にお金を手渡していったのです。
「いつもありがとう。これでかぞくとおいしいものをたべてくれ。」
「いつもごくろうさま。これでかぞくとおんせんりょこうにでもいってくれ。」
「いつもわがままをいってすまないね。これでおいしいアイスクリームでもたべてくれ。」
王様は、金庫にのこっていたお金をぜんぶつかってしまいました。
*
・・・ぜんぶ、けらいにあげてしまったのでしょうか?
いいえ、ごしんぱいなく。
ちゃんとじぶんのためにものこしておきましたよ。
「ないものはない屋」の娘さんの作る、
美味しいアイスクリームをいっぱいいれておける、
「アイスクリームせんようれいとうこ」をかうために。
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そしてもちろん、その美味しいアイスクリームをじぶんだけではなく、
けらいやおしろにくるおきゃくさんたちに、いつでもたべてもらえるように。😋🍦
*
「ないものはない屋」はそのあとどうなったかって?
娘さんの作るアイスクリームは町中で人気になっただけでなく、
こくみんのためにお金をどんどんつかった王様のおかげで、
くにじゅうの人たちが冷蔵庫をかえるようになったので、くにじゅうに
「ないものはない屋」のしてんができました。
お金持ちになった娘さんは、もうけたお金をくにじゅうのびょういんやがっこうにどんどんきふをして、たくさんのひとたちによろこばれました。
いま、まちのひろばにたっている銅像が
「ないものはない屋」の娘さんがモデルだったって、、しっていましたか?
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それと、今では誰もが知る人気のアイスクリーム、「NNアイス」が
「ないものはない屋アイスクリーム」のことだときづいたひとも、
もしかしたらいるかもしれませんね。
あしたになれば、いまはむかしのものがたり。
♡♡♡最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたの幸せのヒントが見つかると嬉しいです^^!いっっぱいの愛をこめて。♡♡♡
桑田華名
※この物語はフィクションです。