竹のある暮らし
今や日常生活の中で、竹を使う機会はほとんどないかもしれませんが、戦後プラスチック市場が拡大する以前の暮らしの道具は、木などの植物で作られたものがほとんどでした。中でも「竹」は木に比べると生育が格段に早く、しなやかで扱いやすく、中が空洞になっていることもあり、様々な使い方ができるということで、日本人の生活の色々な道具に利用されてきました。
・家屋の土壁の下地、外装、内装材などの建築材料
・華道や茶道、筆、笛や尺八などの楽器、扇子などの文化道具
に
・ざるや傘、提灯やお弁当箱などの生活道具
暮らしの中の、様々なものが竹を使って作られていました。
今でも、私たちのいる京都では少し郊外へいくと、いろいろなところに竹林を目にすることができますが、最近は竹の使いみちが格段に減ってしまい、放置竹林となって、生態系への影響や影響や、土砂・土壌崩壊の問題などにも繋がっています。
生育も早く、多くの余剰があり、最後は土に還る自然素材の竹。サステナビリティが求められる現代、活用する手はないのですが、課題となるのが効率性。竹を伐採するにも、竹を使った何かを作るにも、職人さんが一つひとつ手仕事で進めていかなくてはならなず、ここに膨大な時間と手間がかかってしまいます。例えば竹でかごを作るにも、竹皮をへぎ、へいだ竹をさらにへぎ、さらにへぎ、を繰り返して、かご編みに使えるほどの薄さにしていく必要があるのです。
以前、竹かごをつくるワークショップに参加したことがあるのですが「編むよりも準備工程が一番大変」とおっしゃっていました。(その時は、職人さんが用意してくださった竹ひごを使わせてもらったので、30-40分くらいでかごを完成させることができましたが)
科学技術をうまく組み合わせながら自然素材をうまく使い、できるだけ環境に負荷を与えない、そんな暮らしの実現を考えていけたらなと思います。
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