夜に鳴いてる鳥、一体何?
夜に鳴く鳥って、いませんか?(唐突)
田舎あるあるかもしれないけれど、私の住む地域(北海道)には、春先〜夏頃にかけて、夜から明け方までずっと鳴き続ける鳥が現れる。
* * *
高校生のとき、夏の夜は窓を少しだけ開けてから布団に入っていた。
そうすると家の裏あたりから、
「チョッ ピッ↑ チョ↓ ピッ↑ ピチョチョチョチョ」
みたいな鳴き声が聞こえてくる。
(最後、ちょっとデクレッシェンドする感じ)
1、2回だけ鳴くとか、そんなレベルではない。
この不思議な鳴き方を絶えず繰り返し、夜から明け方まで何かを訴え続けている。
一体いつ息継ぎしているの?といった感じである。
当時、鳥のことをよくわかっていなかった私は、家の裏の人が大きなオウムを飼っていたことを思い出し、てっきりそのオウムが夜の時間だけ外に出されて、その開放感(?)ゆえに張り切って鳴いているのだと思っていた。
「オウムって声でかいなぁ」
くらいにしか思っていなかった。
それでも、その鳴き声を聞きながら眠るのは嫌いじゃなかった。
むしろ当時不眠気味だった私にとって、その鳥の鳴き声は、入眠前のほどよい自然音としての役割を果たしてくれた。
「ああ、今日も鳴いているな」
と、謎の安心感を覚えながら眠りに落ちていく心地良さを、今でも思い出すことができる。
この鳴き声の主をてっきりオウムだと思っていた私は、大学に入ってからその正体を知ることになる。
* * *
大学に入学し、同じ北海道内ではあるものの、私は一旦地元を離れた。
それ以来、しばらくあの鳥の鳴き声を耳にすることはなかった。
しかし、4年生のときに鳥の研究をメインにしている研究室に配属となり(もとから強く希望していたわけではないが、何となく鳥かな〜というノリでチョイスした)、フィールドワークで夕方頃河原を歩いていたときに、運命の瞬間が訪れた。
「チョッ ピッ↑ チョ↓ ピッ↑ ピチョチョチョチョ」
奴だ!!
懐かしい鳴き声。
傍にいた先生がすかさず
「あれはエゾセンニュウだね」
と言った。
奴はエゾセンニュウというのか……。
どうやら鳴き声の主は、オウムではなかったらしい。
先生曰く、声が馬鹿でかいからすぐ近くにいると思いがちだが、実際は想像より遠くにいることが多く、姿を捉えるのは難しい、とのこと。
(エゾセンニュウで検索すると写真があります。YouTubeで鳴き声も聞けるので、気になる方はぜひ!)
正体の判明とともに、彼らに謎のミステリアス属性があることもわかった。
* * *
大学を卒業して、再び地元に戻ってきた私は、再び彼らの鳴き声を聞きながら毎日を過ごしている。
この前、飲み会の帰り道を上司と歩いていたら、上司の家の近くで、案の定エゾセンニュウが元気に囀っていた。
「馬鹿だから一日中鳴いてるんだわ!」
呆れたような、でも親しみを込めたような上司の言い方に思わず笑ってしまった。
夜に鳴く鳥、エゾセンニュウ。
なんだかんだ、自分の中で春から夏の風物詩になりつつある。
これからもずっと、変わらぬ存在でいてほしい。
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