エンジニアがカナダ・バンクーバーに来て1年半経ったので振り返る
初めまして、Kanaと申します。
カナダ・バンクーバーに来てから1年半が経ちました。
現状3年いられるビザを保有しており、半分が経過したこのタイミングで一度カナダの生活、就活、仕事を振り返るべきかと思い、noteを書くことにしました。
カテゴリ別に振り返ろうと思うので、もし就活のことだけ知りたい!などという方がいれば、そちらの項目だけ読んでいただければと思います。
この記事が、これから海外に挑戦したいと思っている方、今頑張っている方など、誰かの何かの役に立てれば嬉しい限りです。
ちなみにありがたいことに、数ヶ月前にFrogからインタビューを受けました。
その時の記事がこちら↓
※Frogとは、北米でエンジニアを目指す人が参加するコミュニティです。こちらで活躍する現役エンジニアも多く参加しており、アドバイスや情報を得ることで大変助けられました。もし北米圏でのキャリアをお考えであれば、Frogに是非相談してみてください。(頼まれて紹介しているわけではなく、勝手に紹介しています。笑)
今回のnoteでは、できるだけインタビューで話さなかった内容や、深く語らなかった部分などを重点的に書いていこうと思います。
簡単に自己紹介
バックグランドを簡単に紹介しておきます。
高校卒業後、神田外語学院に進学しTOEICのスコアは向上したものの、実践的な英語力は十分に身につけられずに卒業
学生卒業後は営業アシスタント、外資ホテルの予約センターなどの事務系の仕事に従事
2019年、26歳の時に未経験でカナダを目指すがコロナで断念し、日本でエンジニアを目指す
東京でフロントエンドエンジニアとして2年半働く
2023年4月からカナダ・バンクーバー
元々海外に住むこと、働くことに興味がありました。
カナダ・バンクーバーを選んだ理由は、姉が住んでいるということ、ビザ的に働きやすそう、エンジニアとしてキャリアアップがしたかったという理由です。
1年間の学生ライフ
最初の1年間はCICCC(Cornerstone International Community College of Canada)という学校のWeb Developmentのコースに通いました。バンクーバーに来るエンジニアにとっては王道の道かなと思います。
CICCC(Cが多過ぎて最初は覚えられなかった)という学校は、1年間座学を勉強すればその後1年間働けるCo-opというプログラムがあり、オープンワークパーミットビザ(会社に縛られずに働けるビザ)が発行されます。それに加えて30歳以下であればワーホリが使えるので、Co-opと合わせて2年間働けるビザが取得できるわけです。
ちなみに学費で払った費用は円安の影響もあり200万円です。私は海外で働くためだけに、この時点で200万円を投資しました。
CICCCという学校について
一応さらっと学校の話もしておくと、カリキュラム的には現場で使われている技術に沿っている印象です。しかし授業のクオリティは低いと思うので、本気で学校に頼ってる人には向いていないです。よく言われていますが、この学校は未経験でも自走できる人、経験があるエンジニアがビザのために通いたいという場合はぴったりかと思います。
※今は経験者に最適なもっと良い学校の選択肢があるらしいですが
他のクラスの話を聞くと、経験者なら課題を免除してくれるなど、融通が効く先生もいるらしいです。私のクラスは残念ながら難しかったですが。
私としては、フロントエンドの経験があったのでそちらの授業は基本聞いていませんでしたが、興味のある分野(アルゴリズム、SQL、Node)は、自己学習の復習やキャッチアップも兼ねて聞いていました。SQLなんかは、自分で書いたことがなかったので課題を出すことで勉強になり良い機会だったと思います。
あとは単純に学校で友達ができるので、そういう場としては良かったです。残念ながら、知り合いの日本人はトロントのAmazonに移ったり(一時的に日本人向けの大量採用があったため)、帰国してしまったりして、まだ1年半しか居ないのにほとんど残っていません。日本人以外のクラスメイトもすでに母国に帰ったり、帰国を予定していたりします。もう既に色んな人を見送っていますが、見送る側は寂しいものです。ただ、唯一学校で仲良くなった韓国人の友達がいて、その子は永住権を持っているため、これからもこちらに残ります。大人になってから「本当の友達」を作るのは難しい中、彼女と出会えたことは自分にとって大きな財産だと感じています。
ジョブマーケットが良くなることを祈っていた2023年
去年は、とにかくずっとジョブマーケットが悪いのを知っていたので、頼むから自分が就活する頃には良くなっていてくれ!と祈っていました。
当時フルタイムで働けるビザもなかったので、就活をすぐ始めるというより、まずこちらの生活に馴染んだり、フルスタックの求人も見ていたので学校の授業に合わせて自分の足りていなかったバックエンドの方の勉強に集中したり、ポートフォリオを作成していました。
自分のGithubの草を見ると活動内容が面白いほどわかるのですが、4月に渡航して2ヶ月ほどは現地の生活に慣れることに集中していたので、プログラミングからは一切離れていました。エンジニア人生を始めてからここまでプログラミングから離れたの初めてだったので、「やばい、鈍る」という感覚で過ごしていました。
あとは、前職の知り合いの会社のプロジェクトを手伝ったり、パートで少し働いていたりしました。その時、デザインも担当していたのでFigmaを勉強しました。そのあと何個か個人プロジェクトのデザインもFigmaで作ったので、今何かを「自分でデザインして作って」と言われても、抵抗なくできるようになったので良い経験をしたなと思います(もちろんデザイナーと比べると品質は落ちる)。
学生の頃は、もともと留学中に働かなくてもよい程度の貯金をしていたので、数ヶ月パートで働いただけで基本的には仕事をしていませんでした。しかし、家賃や生活費がかかるため、貯金がどんどん減っていくことへの不安はありました。仕事人生だったので尚更そう感じたのかもしれません。もちろん、仕事と学業を両立することもできるかと思います。ただ私は基本的に「しっかり働きたい」タイプなので、そういう意味でも、大人になってからの「学生生活」はこれで十分です。
まあそんな感じで去年は、どうせ就活してもマーケットが厳しいからと割り切って、夏を楽しんだり、足りないスキルの準備の方に集中してたのですが、結局マーケットが良くなったという気配はないまま、就活時期に突入しました。
しんどかった海外就活
学校の座学期間を終える約3ヶ月前の、2024年2月から就活を始めました。
この時点で本格的に企業への応募を始め、最初に結果をお伝えすると下記の通りです。
応募数: 66件
書類通過: 4件
面接: 3件(うち1件は電話で終了)
最終オファー: 1件
私は応募した企業をスプレッドシートでまとめていたのですが、多分記載していない企業もあるので、もう少し応募数はあったかもしれません。
だいたいの数がこれくらいとイメージしてもらえればと思います。返信率としては6%になりますが、これは良くも悪くもなく、標準的な返信率らしいです。
こちらの応募数を見て少ないと思う方もいるかもしれませんが、私はいわゆるマスアプライをしていませんでした。一つ一つほぼ毎回カバーレターをつけて、履歴書もチェック/修正し、魂を込めて(?)書類を送っていました。
このやり方は疲れるので、1日就活に集中できる日であったとしても3-4件が限度かなと。
余談ですが、就活については最近現地就職されたYugoさんがとても上手ににまとめていらっしゃいました。時期が一緒なので全共感で、昨今の就活をリアルに伝えるソースとしてオススメなので共有しておきます。
カナダで就活する際に使用する書類は日本での作り方とは大きく異なります。
こちらでは履歴書とカバーレターを使います。
カバーレターは人によっては必要ないという考えもありますが、私はほぼ毎回つけていました。大手企業は一切読まれないという話をよく聞いていたので付けていませんが。
企業によってはカバーレターの添付を必須にしている場合もあります。そういう企業で一社書類が通過した「シニアフロントエンドエンジニア」のポジションは、カバーレターのおかげだったと自信をもって言えます。(面接で落ちましたが…)
海外で就活する際に書類を整えることは最初の壁ですが、日本語でのソースはあまりないので、折角なので履歴書とカバーレター、それぞれ自分がやったことを残しておこうと思います。
ただ正解はないですし、何が正解かいまだに分かっていないで、自分のやり方が正しかったとも言えません。こういうやり方もあるのかーくらいで見てもらえればと思います。調べたり、色々な人のアドバイスをもらうとわかると思いますが、皆さん違う意見を持っていたりします。なので、試行錯誤しながらも、自分のやり方を信じて進めていました。
履歴書の作り方
履歴書の書き方は、学校のソースを使ったり、ググって調べたり、YoutubeでTipsを学んだりました。
Frogの先輩メンバーにも履歴書の添削をお願いしました。企業に応募する前に「これで完璧だ」と思って仕上げた履歴書でしたが、就職活動を進める中で10回以上もブラッシュアップを重ねました。なので最初と最後の履歴書を比べると、かなり異なるものになりました。
履歴書の難しいところは、自分のスキルと経歴をうまく最大限に表現するために、どうまとめれば良いかというところです。まあ当たり前なんですけど、日本と違って職務経歴書がないので、履歴書一枚で勝負する必要があるというのが難しいポイントです(カバーレターは見られない可能性があるので)。ちなみに日本とは異なり、フォーマットというフォーマットがないので自分で考える必要もあります。
最終的に自分の履歴書の作り方はこんな感じでした。
MacのPagesで作成。ATS対策のため、アイコンなどの画像は一才削除するが、カラーやフォントでシンプルながら少しだけ自分の色をつける努力をした
1枚にまとめるのが理想とは思いつつ、結局2枚。個人開発と、パート・ボランティアの経験をAdditinal Experienceとして追加(一応フルスタックも視野に入れていたので)
Summaryは書いた
一番見てほしい経験は一番上に記載できるように工夫した
なるべく定量的な数字を入れる(これが本当に難しい)
ちなみに、ATSとは「Applicant Tracking System」の略で、私も就活を始めてから知りました。現在の求人市場では、1日で大量の応募があるため、企業が効率よく書類を絞り込むために使われているシステムです。応募書類は人の目で確認される前に、まず機械で自動的にフィルタリングされます。
ATS対策として、KeiさんのYouTubeで紹介されていたLaTeXを使い、自分なりのテンプレートを関数で作成して履歴書を書き直していた時期もありました。しかし、応募のたびに履歴書の内容を微調整する必要があったため、LaTeXは使い勝手が悪く最終的にはPagesに落ち着きました。こちらの動画からも、いかにATS対策が今の就活では大事なのかというところがわかるかと思います。
私の場合、ポジションごとに2種類の履歴書テンプレートを用意し、応募するたびに求人内容と自分の履歴書を比較して、必要な情報を追加したり、言葉や文章を調整したりしていました。
カバーレターの作り方
カバーレターは履歴書よりも情報量が少ないため、最初はかなり苦労しました。インターネットで調べたりもしましたが、同時にカナダ人の彼氏が書類の作り方について詳しかったので、書き方について色々とアドバイスをもらいました。
ChatGPTは最終的な言い回しのチェックでは使いましたが、最初からは使用していません。この為にGrammarlyのプレミアムプランも購入しましたが、ChatGPTが優秀すぎて結局ほぼ使わずに終わりました。
注意点としては、ChatGPTが完全に合っているとも言えないので、ここは英語力の必要性を感じます。合っているというより独自性がなくなるという言い方の方が適切かもしれません。例えばネイティブに見せると、ニュアンスが良くないと言われて直されたり。英語にあまり自信がない場合は、ネイティブまたはネイティブレベルの人にチェックしてもらえる機会を作ると、より確実だと思います。
私の場合は、フルスタックとフロントエンドでそれぞれ2パターンのテンプレを用意しておき、求人に応じて必要であれば内容を少し変更しながら応募していました。
構成は4つです。
Introduction(Hook)
Body Paragrah 1
Body Pragraph 2
Closing
最も重要になるのが1. Introductionの部分で、ここで企業に興味を持ってもらい、「もっと読みたい」と思わせる内容(フック)を書くことが求められます。特に最初の一文にはこだわっていて、就活を通して何度もブラッシュアップしてました。そのため、正直なところ毎回少しずつ異なっています。すでに自分の人生や生活と関連する内容があれば理想的ですが、ない場合がほとんとなので、そのポジションに興味を持った理由を自分のスキルと合わせて文章化しました。最後に自分の経験とスキルを簡潔に強調する形で締めくくり、全体で2文程度にまとめるようしていました。
Body Paragraphでは、自分が最もアピールしたい経験やスキルをまとめます。具体的には、そのときの役割、やったこと、そしてその結果を記載します。後の面接でも触れることになりますが、内容は常にSTAR(T)フレームワークを意識して書くようにしていたと思います。
Closingは、最後のアピールです。ここは同じで良いので、毎回こんな感じで書いてました。
カバーレターというのは日本にないので、多分一番苦労しました。企業にラブレターを書くイメージです。ここにどれだけ力を注ぐかは人それぞれだと思いますが、最初にある程度のテンプレを作れば、その後はそこまで面倒くさくはなかったです。
面接対策
面接対策については最初の頃は正直全く手をつけられませんでした。というのも、書類を通さないと始まらないので、まずは書類を通すのに必死でそれどころじゃないという感じです。最初の50件くらいは本当に返信がなかったので。あとは、就活しながら学校のファイナルプロジェクトにも真面目に取り組んでいたので時間確保が難しく、面接対策はかなり後半になってから始めました。
Behavioral interview questionsの対策から始めましたが、こちらはよくある質問集に対してSTAR(T)に沿ってロジカルに自分の回答を用意しました。
Situation (状況)– Explain the situation you were in when you needed to accomplish something. It could be from your current job, a past job, volunteer work, or college activities.
Task (タスクやゴールは何だったのか)- What was your goal? What challenge did you face and what needed to be done to achieve a good result?
Action (そのための行動)- Describe the actions you took to solve the problem. Be specific about what you did and how you contributed. Focus on your role, not the team.
Result (結果どうなったのか)- Share the outcome of your actions in a measurable way. Mention the positive results. If the outcome wasn’t ideal, show how you learned from it or adapted.
Transfer (学びやスキルをどのように活かすか)- Explain what you learned or what skills you gained that you can use in the job you’re interviewing for.
最初は英語ということもあり、スクリプトを用意していました。しかし、練習を重ねる中で、スクリプトを暗記すると忘れた時に焦ってしまうと気づき、日本の面接対策と同じようにエピソードだけを用意し、あとは自然に話せるように準備しました。その中で語彙力が足りない部分は単語だけ暗記しました。「Tell me about yourself」については、何度も練習した結果自然とスクリプトを暗記する形になりましたが。
準備していた質問は主にこちらです。
Tell me about yourself
Tell me about something you’ve worked on recently.
What was your primary contribution to that project?
What is your greatest achievement as an engineer?
What is your favourite thing to work on? Why?
Tell me a time when you let your team down. What happened and how did you fix it?
What makes you a highly valuable member of a team?
What is your greatest strength?
What is your greatest weakness?
Tell me about a time when your team didn’t work well together. How did you help resolve it?
What is a technical challenge you’ve faced, and how did you overcome it
Where do you see yourself in 5 years? 10 years?
後半になって、1週間の間に立て続けに2件の面接連絡がきました。(なぜこうも重なるのかと…)
その時点で技術面接の対策がほぼできていなかったので、その企業に関連する技術を面接前の2〜3日で一気に詰め込みました。この数日間は辛すぎましたが、これは最大のチャンスだ!と自分に言い聞かせ、当時一緒に住んでいた姉にも手伝ってもらいながら、何とかできるだけ多くのフロントエンドの質問と回答例を確認しました。元々知識はあってもうまく言語化できない質問が結構多いもので、その辺りは回答の仕方をほぼ暗記していました。知識が曖昧だった部分は、Youtubeで復習しました(JSのイベントループなど)。
その時に使用したツールがこちら
一次面接を終えると、次はライブコーディングが待っていました。対策としては、YouTubeでフロントエンドのライブコーディングを調べ、どのように対応しているのかを学んだり、実際に手を動かすなどでシミュレーションをしていました。フロントエンドの場合、LeetCodeのようなアルゴリズムの問題ではなく、実際に何かを作るような実践的な問題が多いと思っていたので、LeetCodeは学生時代に少し触れていましたが本格的な対策はしていませんでした。ただし、企業によってはアルゴリズムの問題が出ることもあるので、次回の転職活動ではその点もしっかり準備しておこうと思います。
メンタルとの戦い
就活全般ですが、本当にしんどかったです。元々日本での就活もマジで嫌いだったので、海外で就活なんて尚更辛かったですね。書類は全然通らないし、書類の作り方など勝手がわからないのでまずそこから学び、面接に関しては対策することも多いです。+英語です。
特に北米圏での経験がないと、書類選考の通過率が一気に下がると感じました。私のような中途半端な経験年数(就活時点で約2年半)では尚更。
私の就活時のマインドとしては、「やれることは全てやる」でした。
カバーレターは見られない可能性を承知しつつも少しの可能性があるならと毎回添付し、見られるコードのためにポートフォリオを整え、ポートフォリオサイトも作り、英語のブログ記事(数件ですが)も書きました。
ネットワーキングが大事ということも聞いていたので、学生時代からイベントにはちょくちょく参加してましたが、こちらは正直上手く活用することはできませんでした。現地のイベントに登壇ということも考えていましたが、忙しい中での費用対効果を考えるとかなり後回しにしており、結局こちらはやらずに終わりました。「失うものはない」精神で、応募した企業にメールや電話もしました。
そういう活動をしながらも中々仕事が決まらないので、メンタル的にはきついです。私の場合無職だったので、そちらの焦りもありました。
永住権のポイントを考えると早くに就職するに越したはことはないのですが、就活の途中で少しマインドを変えて「これは長期戦だ。永住権は一旦後にしよう」と割り切り、日本のリモートの仕事をゲットした後は少し気持ちが楽になりました。
面白いくらいにその直後辺りから、面接の連絡が来て仕事が決まったので、日本の仕事は契約にサインをしていましたが断ることになりました。(申し訳ない気持ちで何度も謝罪しましたが、あの会社から再度仕事をもらうことはないでしょう…)
Xを見直しましたが、この時くらいが多分就活でストレス溜まりまくりの時期でした。
https://x.com/Chana230128/status/1778870891927286258
ストレスに対しては、考え方を変えたり、美味しいものを食べたり、周りの人に「全然決まらねーよー」と愚痴をこぼしたりすることで乗り越えられました。私は身近に支えてくれる姉や彼氏がいたので、その存在が本当に大きかったと感謝しかないです。また、Frogでもパートの仕事のお誘いをいただいたり、励ましてくれる仲間がいたことは本当にありがたかったです。
最終的には、X経由で現地で働く人の目に留まり、たまたま経験がマッチしていたのでリファラルをいただくことができ、そちらでオファーをもらいました。これほどまでに人生で「運」に恵まれたことがあるだろうかという程、運に恵まれました。
これは今振り返ると思うことですが、当初フルスタックというポジションも目指していたので、フロントエンドとフルスタックの両軸で応募をしていました。しかし、結局返事が来たのはフロントエンドなので、北米圏の一社目でキャリアップを目指すというより、自分の経験を活かせる仕事につくのが妥当と思いました。フロントエンドに完全に舵を切っていたら、就活の辛さはもう少し変わってたかもしれません。まあ一社目からキャリアアップを目指すほど現実甘くはないということですね。
海外でエンジニアとして働いてみて
今年の5月下旬から実際に働き始めまして、約半年が経ちます。
折角なので振り返ろうと思うのですが、まず一つ結論として言えることは、北米圏はキラキラしたイメージを持っていましたが(エンジニアとして)、それは本当に会社によるなーと。色々と現実を見ることができているので、何事もやってみないとわからないものだなと思います。
技術との向き合い方
フロントエンドは、React、Styled Component、Redux(オリジナル)、Redux-Sagaなどを使用しています。Reactは慣れていますが、他の技術スタックについては個人で触ったことがある程度でそこまで経験はないので、時代に沿う流れですが、入社当時は昔の技術を学んだりしました。
私は前職のプロジェクトを通して、新しい技術の便利さや快適さをすでに知ってしまっているので、ストレスは勿論あります。しかし、5年以上続くプロダクトの技術を変えるのは簡単ではないので、これまでの完璧主義スタイルを手放す努力をしています。
今まで新規開発のプロジェクトばかり担当していたので、既存プロジェクトの大変さというのを学ぶいい機会とも捉えています。技術負債が溜まりに溜まって非常に読み辛い設計コードになっていたり、デザインシステムは全く整っていなかったり、APIドキュメントも存在していません。
「何でこんなことになってんねん」とツッコミを入れる毎日ですが、環境というのは入ってみないとわからないのですし、いつも綺麗クリーンな環境とは限らないので、今は改善することに集中して業務に取り組んでいます。
それでも、Twitterで「Next.jsのサーバーコンポーネントが〜」と言った話を見ると、最新技術を使えて羨ましい気持ちと自分の業務とのギャップを感じます。最新の動向については個人で勉強してキャッチアップしていくしかないです。
技術や環境についていうと、よっぽど日本の方が綺麗じゃないかと思いますが、これは会社によると思うので、北米圏で他の会社も経験した後にまたシェアさせてください。
多文化社会で働くこと
最初の1-2ヶ月は15名ほどのチームに配属されていましたが、チームが大きくなったため分担され、現在は最近できた小さなチームでフロントエンドを一人で担当しています。私のチームは計6人ですが、スペイン人2名、ウクライナ人2名、ブラジル人、日本人(私)の構成です。PMがスペイン在住なので、非同期でコミュニケーションを取る必要がありそこは不便ですが、毎日のデイリーなど雰囲気はとてもいいです。PM含めて皆いい人ですし、PMがバケーション休暇をよく取るので私としては休暇取る時にあまり気を使わず取れるので、それもありがたいです。笑
基本的にドメインごとにチームは別れていますが、コードはチームを横断して共有するので、フロントエンドメンバーと関わる機会が多いです。
色々な整備を整えたり改善するために、同僚とフロントエンドのミーティングを主催し、2週間に一回の頻度で議論をしています。
フロントエンドは合計10名なのですが、こちらも非常に多国籍で、カナダ人と日本人が二人ずつ在籍していますが、それ以外は本当にバラバラですね。
仕事をする中で、自分のコミュニケーションの取り方など、色々と訓練されているように感じています。英語もそうですが、文化的背景が異なる人々と一緒に働くことの大変さを実感しています。自分の意思を曲げなかったり、言い方が非常に強かったり、チームワークを理解していない人は一定数います。これまでそこまで強すぎるメンバーと一緒に仕事をする機会があまりなかったので、経験としては良い学びになっています。
最近は自分の対応の仕方を少し工夫していて、絶対に相手のレベルでコミュニケーションを取らないように気をつけています。態度が悪い人がいると、つい同じような態度で返したくなる気持ちをグッと抑え、仏の笑顔で対応をするように心がけています。その掻き乱す系のメンバーに、いかに自分が掻き乱されないで仕事をするかという訓練です。
正直これが文化による違いなのかと言われると、日本でもそういう人は一定いるかもしれないので、長年こっちで働いている日本人の同僚も言ってましたが、多文化と言いながらも結局は人によるのかもしれません。
仕事のスピードについては、今のところの感想では日本は優れているなと言う印象です。例えば一つ機能を作るのに、数週間で終わるはずのAPI開発が2ヶ月かかったりと。自分のPRがマージされずに2ヶ月過ぎて何回コンフリクトを解消してforce pushをしたかわかりません..。
これは色々な要素があるので一概にその人の仕事が遅いとは言い難いですが、日本の忙しい環境で働いていた身としては、どんなに忙しくても基本皆スピーディーに仕事をしていたので、そのあたりのギャップは感じています。ちなみにこの件についてはPMも異常と判断して、マネージャー陣が改善に取り組んでいるようです。前職で働いていたときには、このような問題は一切経験しませんでしたし、一緒に仕事をしていたエンジニアやデザイナーたちは本当に優秀だったと思います。英語の壁はあるものの、気配りもできてスピードも速い日本のエンジニアは、グローバルで活躍できるだろうなーと今のところ自信を持って言えます。
そんな感じで正直日本で仕事をしていたときほど楽しめていない現実はありますが、基本的に残業はしないようにしていて(している人もいますが)、仕事終わりにランニングで気分をリフレッシュしたり、自分の勉強をしたり、休日を楽しんで、うまくバランスを取っています。
バンクーバーの生活スタイル
ここからは、バンクーバーの生活について、少し振り返ってみようと思います。「カナダ」というと、州や都市によって大分生活スタイルや雰囲気も変わるので、あくまでバンクーバーの話になります。
シェアハウスと4回の引越し
私はここ1年半で引越しを4回もしました。日本の賃貸は最低1年契約が一般的だと思うので、考えられないですよね。もちろん好きで引っ越していたわけではなく、アクセスが悪かったり、オーナーとその家族に問題があったり、姉の家で暮らしたり、彼氏と同居を始めたりと、それぞれに理由がありました。今は5件目でやっと落ち着いたので、当分引っ越す予定はありません。
その中で最初の3件は、シェアハウスでした。一人暮らしを経験している人なら共感できるかもしれませんが、個人的には想像通りあまり好きではありませんでした。やはり他人なので気を使いますし、トイレやキッチンは使いたい時に使えないといったストレスもあります。また、家の古さにもよりますが、木造だと音が丸聞こえで自分の部屋で電話しているだけで隣の部屋の子に怒られたりもしました。笑
バンクーバーに来て1年ほど経った頃から姉の住む家で暮らすようになり、シェアハウス生活から解放されて幸福度は爆上がりしました。現在は彼とアパートを借りて住んでおり、自分(達)だけの居場所があるという、日本では当たり前に感じていた幸せをやっと取り戻せた気がします。
これまでずっと一軒家に住んでいたので、やっとシルバーフィッシや蜘蛛からも解放されて住めるようになったことも最高です(虫が本当に嫌いなので)。
あとはシェアハウスと自分でアパートを借りて住むとでは、契約の際に提出する書類や情報が圧倒的に増えるので一応シェアしておきます。多くのオーナーは下記を求めて来ました。
残高証明
クレジットスコア
給与明細(最新〜2ヶ月分)
オファーレター
私たちの場合は、夏に引越さなければいけない理由がありましたが、夏の引越しはおすすめめしません。できるなら冬の引越しをおすすめします。夏は、少し家賃が割高になっているのと、競争率が高くなります。実際私がアパートを見つけた時は競争率が高く、6件応募して1件契約できたので、就活みたいな状態でした(笑)。
生活費
バンクーバーは家賃がバカ高く、外食費も高く、物価も日本より高いです。実際どれくらいの生活費になるのかと言いますと、自炊をすれば抑えることができます。大体になりますが、これから来る方に向けて、一応シェアハウス時代と、現在のアパート暮らし時代の生活費をシェアします。
シェアハウス
家賃(光熱費込み):$900-1,250
食費や外食等の生活費:$800-1,000
合計:$1,700-2,000
アパート
家賃:$1,375(合計家賃$2,750の半分)
光熱費など:$65(電気代・インターネット・テナント保険代の半分)
食費や外食等の生活費:$800
合計:$2,250
家賃$2,750って、日本円にしたら30万円です。ただの1ベッド(広くない)+デン(という小さい収納部屋)でこの家賃ですので、まあバグってますよね。日本で30万円払ったらそりゃーめちゃくちゃいい家に住めると思いますが、そこは考えないようにしてます。
とりあえず家賃がバカ高いし、ソーシャライズや本当に面倒な時は外食しますが、基本自炊ばかりしているためバンクーバーにしては生活費は抑えられている方かなーと思います。
夏が最高すぎる
バンクーバーの夏は最高すぎて、一番の魅力と言っていいほどです。日本の夏は暑すぎて外に出たくないという感覚でしたが、こちらは最高でも30度、平均は26度くらいでしょうか。まだ2回しか経験してないですが、今年は去年より少し肌寒かった印象です。毎日のように晴れていて暑すぎない気候なので、ビーチに行ったりスポーツをしたり、ハイキングに出かけたりと、太陽を浴びながら自然を満喫するアクティビティがとても気持ち良いです。
日本の夏は日傘をさして日焼けを避け、肌を隠すために長ズボンを履いていた私ですが、今では肌が白すぎるのが嫌で、むしろ積極的に日焼けするように肌を出しています。自分でも信じられない変化です。
冬は雨が多いので、個人的には夏に思いっきり遊ぶことが大事だと感じています。今年は引越しで忙しくてあまり遊べませんでしたが..。その分冬は引きこもって勉強モードになります。うまく調整できると思っています。
女性にとっての生きやすさ
折角なので女性の生きやすさについて少し話そうかなと思います。日本に比べてバンクーバーは非常にカルチャー的に生きやすい印象です。
服装に関して、日本では露出を避けた服装が一般的で、スタイルを目立たせない服を着るのが文化だと思います。こちらでは露出に対して特に気にすることはなく、みんなスキニーやレギンスパンツをよく履いています。そういう私も冬は寒いので流石に無理ですが、レギンスばかり履いてます。めちゃ楽です。日本では痩せていないとそういった服装が許されないという風潮がありますが、こちらでは体型に関係なくどんな服装でも問題ありません。おばあちゃんでも夏にノースリーブ、短パンを履いているほどです。みんなそれぞれ違って、それでいいという、とても素敵で生きやすい文化です。
あとは最近少し出かける程度ではメイクをしなくなりました。東京で暮らしていた時は、買い物に行く際もジャージなんてNGで、メイクをしなければならないという固定観念?がありましたが、今は超適当な服装でノーメイクで出かけたりできます。これが良いことなのか悪いことなのかはわかりませんが、オシャレもそこまでも気にしなくなったなと思います。色々と気を張らなくていいという精神になったので、自由な気持ちで過ごせるようになったと思います。
そういば職場は女性エンジニアが圧倒的に少ないですが、性別を意識したことがないです。この前、バンクーバーで飲み会を開催したのですが、途中まで女性一人の予約だったのですが、言われるまで気づきませんでした。それほど女性だからと言って何か引き目を感じることもないですし、気を使うこともないです。日本のスタートアップも欧米的な文化があるので、日本のすべての職場が「女性だから…」という慣習にとらわれているわけではないと思いますが。
これは性別関係ない話ですが、カナダに来て性格が少し柔軟になった気がしています。日本にいる時は、中途半端が嫌いで白黒しかない、自分にも他人にも厳しい性格だったのですが、そこが少し変わってきている感覚があります。元々そのような何となく生き辛い性格を変えたいという思いがあったので、少しずつeasygoingな性格を学んでいる自分を嬉しく思います。Take it easyとよく周りからもよく言われますが、それが文化ですね。勿論キャリアップや、目標達成のために努力することは変わらないですが、将来に不安を持つことが減り、日本にいる時より今を大事に生きている感じがします。
フレンドリーなカナダ人
カナダ人はとてもフレンドリーで優しいです。バンクーバーは色々な人種が住んでいるので、もちろん人によってサービスが悪かったりしますが、その中でこちらで生まれて育った純粋な「カナダ人」はいい人ばかりです。
接客もそうですが、問い合わせで電話をしたときも、カナダ人と他の人種の方とでは対応の違いを感じることが多いです。態度ですぐにカナダ人だとわかります(その前にアクセントでわかりますが)。
ハイキングをしている時も、カナダ人は知らない人でもすれ違う際に「Hi」と挨拶してくれます。前に自力で登れない箇所があったのですが知らない人でも助けてくれます。素敵ですね〜
このフレンドリーで優しい文化がとても好きです。カナダは移民によって支えられている国ですが、移民が増えすぎるとこうした素敵な文化が次第に見えにくくなってしまう気がするので、ぜひ守られてほしいと願っています。
とりあえず今後の話
そんな感じで1年半、初海外就活という想像以上にしんどかった経験を乗り越えて、なんとかバンクーバーで楽しく生きています。
残りのビザが1年半となりまして、日本に帰ることもできるのですが、もう少しカナダで頑張るつもりです。それは自分自身がキャリア的にまだまだ満足ができていない点や他の要素があるためです。冒頭でもお伝えした通り、こちらでのキャリアアップの為に200万円を投資して、英語も頑張ってきました。そういう過程を踏んでいるので、自分の中で今の仕事に満足をしていないという事実があるのと、このまま日本に帰ったら後悔する気はしています。
1年半後に働けるビザが必要になりますが、実は最近会社からスポンサーになるのは難しいとハッキリ言われてしまったので、BCPNPを通して永住権を獲得するか、スポンサーになってくれる会社を探す必要があります。ちなみに、永住権を取得したからといってカナダで一生暮らすつもりというわけではなく、単純にビザに縛られずに仕事をしたいという想いから取得を目指しています。早くビザから解放される人生を送りたいですね〜。
永住権は現状自分のポイントが足りてないので、英語力でポイントを稼ぎ一時的にでもポイントが下がった時のチャンスを逃さないようにしたいと思っています。その為には、CLB9(CELPIP9、英検1級)を取る必要があり、簡単ではないですがこれからCELPIPの勉強を始める予定です。IELTSの方が慣れてはいますが、嫌いすぎるので今回はCELPIPに挑戦します。
結果がついてきたら、CELPIPの勉強方法も共有できたらと思います。
ここ数年に一度、英語試験のための猛勉強をするという人生を送っているのですが(IELTS5.5/2020年、 IELTS6.5/2022年)、その時期がまたやってきたようです。いずれにせよ、英語は勉強したかったので良い機会ではありますが、今回で最後にしたいところです。
転職活動に関しては、まだ就職したばかりでまさかこんな早くから意識しなければいけないとは思っておらず、あの就活をまたやるのかと腰が重いです。しかし、ROワーホリ(というプログラム)や永住権は不確定要素が多いので、スポンサーになってくれる会社を探す必要性を感じています。こちらでの経験もまだ浅いので次も苦労する予感しかしませんが、いずれにせよいつレイオフがあるかもわからないので、徐々に始めていく予定です。フルタイムで仕事をしながら、英語の試験勉強と就職活動を同時に進められるか不安もありますが、少しずつでもやっていかないといけません。いつになるかわからないですが、転職活動の経験もまたシェアさせてください。
というわけで、また人生ハードモードですが一つ一つ今できることを進めていきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
この記事が誰かの何かの励みや役に立てれば幸いです。
それでは、また!