電話でしか注文できないお米屋さん
こんにちは。旅するおむすび屋の菅本香菜です。
今日は、電話でしか注文できないお米屋さん『飯塚商店』について書きたいと思います。私は飯塚さんのお陰で、暮らしがちょっと豊かになりました。
この記事が、おうちごはんが増えている皆さんにとって少しでも役立つ情報になりますように。
“1番おいしいお米”を求めて
『飯塚商店』は、旅するおむすび屋の相方さくらちゃんが
新潟でお世話になっているお米屋さんです。
約3年前、旅するおむすび屋を結成した直後に
私は初めて『飯塚商店』を訪問しました。
「飯塚さんに出会って、お米の面白さに惹かれたから新潟に移住したんだよね」
と言うさくらちゃん。
南国宮崎生まれのさくらちゃんを
雪国新潟まで移住させちゃうほど面白いお米屋さんって・・。
早く会いたい。
正直、私は旅するおむすび屋になるまで、
そんなにお米に詳しくなかったんです。
ネットなんかでお米を選ぼうとしても
どれも「おいしい」って書いてあるし、
「特A」とか「金賞受賞」とか書いてあるし
結局どれを買って良いか分からない。
1番おいしいお米を飯塚さんに教えてもらいたい!
念願の『飯塚商店』に到着。
「おおお〜、よく来たね」
飯塚さんが、おっとり、でもちょっと緊張気味に迎えてくれました。
私たちがまず飯塚さんにお願いしたのは、
旅するおむすび屋のイベントなどで使うお米の選定です。
「1番おいしいお米を・・!」と私が言う前に
さくらちゃんが飯塚さんへ一言。
「おむすびに合うお米をお願いしたいんです」
なるほど、私にはなかったオーダー方法。
「具材は何にするんかいな?」
え!具材によってお米を変えるの!?
「イベントは色んな具材を入れるから
どんな具材でも合うと嬉しいですね〜」
うんうん、たしかに。
「おむすびだったら、口の中でお米がほぐれる感じが良いよなぁ。
“こしひかり”だけだと、もっちり感が強くてちょっとほぐれにくいかもしれないからサラッとした“こしいぶき”もブレンドしてみようか。
これなら、具材もそんなに選ばないと思うんだよ」
ブレンド米って良いイメージが無かったけど
用途に合わせてブレンドすることもできるんだ・・!
私は2人の話にすっかり引き込まれていきました。
“おいしい”にも、個性がある
「飯塚さんは、“おいしい”ってひとつじゃないことを教えてくれたんだよね」
と、さくらちゃん。
「出身地で、味とか食感の好みも変わってくるし
どんなおかずをよく食べるのかによっても合わせたいお米が変わる。
“特Aだからおいしい”とかじゃなくて
“それぞれのおいしい”に寄り添ってくれるから
飯塚さんと話してると楽しくて」
「さっき飯塚さんとさくらちゃんが話すの聞いて
その感じ、なんとなく分かった気がする。
おむすびに寄り添ったお米の選び方をしてくれとったもんね」
「そうそう。
この前もね、九州から新潟に嫁いできた方がお店に来てて。
『せっかくだから新潟のお米を食べたいけど、どうしても胃もたれしちゃう』
って飯塚さんに相談してたんだよね」
「お米で胃もたれとかあるんや!」
「西側で育った人は、あっさりしたお米を食べ慣れてて
毎日もっちり甘いお米を食べるのはキツイっていう人もいるみたい。
そのときは、新潟の中でもあっさりした品種をいくつか精米してあげてたよ」
「お客さん、新潟のお米食べられるようになったと?」
「うん!またお店に来て、『やっと新潟のお米を毎日食べたいと思えるようになった』って感動してた。飯塚さんが精米してくれたお米からお気に入りを見つけられたみたい」
「すごい!なんか薬局みたい!」
「ね。飯塚さんは丁寧にお客さんの話しを聞いた上で、合ったお米を選んでくれる」
“おいしい”にも、個性がある。
”誰かが決めたおいしい”を押しつけない。
飯塚さんかっこいい・・!
1番おいしいお米を教えてもらおうと思っていたけど、
私がおいしいと思うお米を探していきたいな、と思えた1日でした。
「自粛時間も楽しめるかも」と思えた飯塚さんとの電話
それ以降、飯塚さんには電話でお米を注文しています。
電話にこだわっているという訳ではなく、
飯塚さんはメールの仕方を知らない。
だから結果的に電話でしか注文できないのですが
(FAXもOKだけど私がFAXを送れない)
それがとても良い。
「おむすび米の配合、
新米時期はお米のもっちり感が強いから
こしひかりは少なめにブレンドしてみたよ。
この時期は米の水分が多めだから
水も少なめに炊いた方がいいかもしれんです。はい。」
とか、じっくり丁寧にお米の知識も一緒に教えてくれます。
とは言え、これまでは
仕事でおむすび用のブレンド米を注文することがほとんどで、
おうちごはんは仕事で余ったお米を食べることが中心。
それでも充分おいしいし満足していたのですが
なかなか家で新しいお米に挑戦する機会がなかったのです。
ただ・・
コロナの影響で、旅するおむすび屋のイベントが全滅。
私はふだん月の半分くらい地方出張で、
東京にいるときもイベントや会食が入っていて
おうちごはんの機会が少ないのですが
急に家で毎日ごはんを作って食べることになりました。
さて、自炊生活がんばるか。
と思った頃に、都の外出自粛要請。
スーパーから食べ物がほとんど消えてしまいました。
一瞬あせりましたが「こんなときこそ」と
電話をかけた先は、もちろん飯塚さん。
「この先、いっとき自炊生活になりそうなんです。
スーパーで買い物もあまりできないだろうから
おかずが少なくても満足できるお米ってありますかね・・?
5キロくらいお願いしたいんです」
「そうだよね。東京は今特に大変だよね。
お米でお米を食べられるような、しっかり食べ応えのあるのは
新しい品種『新之助』かなあ。
あとは佐渡島の特別栽培米も満足感が高いから入れておこう。
うーん。でも、しっかりしたものばかりだと飽きるかもしれないから
箸休め的に、ちょっとさっぱりめの『ゆきん子舞』も入れてみようかな。
3品種で合計5キロになるようにするから、食べ比べてみたら面白いかもしれない」
自粛生活に少し不安を感じていた私ですが
飯塚さんとの電話で、家での楽しみがグンと増えました。
香って食べて、しあわせ
後日、無事にお米が届きました。
中には一筆箋が。
「ああ、人生何が起こるかわかりませんね。
この豪華3点セットで巣籠もりライフを楽しんでください」
いつも電話ごしで聞く飯塚さんの声が頭の中で再生される。
こういう一言もすごく嬉しい。
さっそく、まずは『新之助』から。
しっかり浸水させて、土鍋で炊く。
蓋をあけると、炊き立てごはんの良い香り!
精米したてのお米は本当に香りもツヤも良くて
食べる前からテンションが上がります。
ほかほかのごはんを1口。
甘さがふわっと口の中に広がります。
もっちり食べ応えもある!
しあわせ・・・・・。
お米の味をしっかり感じられるから
まずはごはんだけで進んじゃうし、
海苔の佃煮なんかあれば何杯でも食べられちゃいそう!
生姜焼きとかしっかりした味のおかずも合うな、うん。
悪くないぞ、おうちごはん。
さて、翌日は『ゆきん子舞』。
さっそく箸休め的存在に手を出してみる。
こちらも土鍋で炊いて、ほかほかごはんを1口。
たしかに、『新之助』よりさっぱりしてる!
おかずの味を邪魔しない、脇役タイプ。
お刺身とか、薄めの味のおかずなんかに合いそう。
最後、佐渡島の特別栽培米は
食べ応えはありつつも、すっきり上品なお味。
朝ごはんはこのお米で食べたいなあ。
おかずや気分や体調で
お米をチョイスできるの楽しい・・!
飯塚さんのお陰で、改めてお米にハマりました。
私の食卓を想ってくれる存在
豪華3点セットでおうちごはんを楽しみ始めて数日後、
飯塚さんからの着信履歴があったので、折り返しました。
「あ、どうも飯塚です。
お米どうだったかな、と思ってかけちゃったんだよ」
「それぞれ個性があって楽しいです!
そしてどれも本当においしい!」
「そっか〜。よかったよかった。
いやね、感想を聞くまでソワソワして。
電話って緊張するけど、かけちゃうのうよ」
飯塚さん、基本は電話でしかコミュニケーションとらないのに
電話のたびに緊張するらしいのです。
だけど、ちょっと自分に自信がないタイプなので
緊張してでもお客さんの感想を電話で聞いて
その上たくさん勉強して、なるべく良い提案ができるようにしているそう。
ほんとに、尊敬しちゃいます。
信頼できるお米屋さん。
「お米どうだったかな?」
少し不安げな飯塚さんの声を聞いたことで
人とほとんど会えない自粛期間でも
わたしの食卓を想ってくれてる人がいることを感じて
安心しちゃいました。
そろそろおうち時間がマンネリして来た方や、
お米選びに悩んでいる方へ。
電話でお米を注文するなんて
少し緊張するかもしれませんが、
飯塚さんに電話してみると新しい世界に出会えるかもしれません。
「しっかりした味のおかずが多いのですが合うお米ありますか?」
「こういうお米を食べてるけど、飽きたから変えたいんです」
「まだ自分の好みが分からないから数種類を食べ比べてみたいです」
といった感じで伝えてみたら、
あなたより緊張しながら、じっくり考えながら、
“あなたのおいしい”に寄り添ってくれるはずです。
『飯塚商店』
所在地: 〒950-2112 新潟県新潟市西区内野町977
電話:090-4817-6874 (飯塚さん直通)
※記事を書かせてもらったことを飯塚さんに伝えているので、お電話の際は「菅本の記事を見た」と一言伝えてもらえると飯塚さんがビックリしないかもしれません。
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